【喫茶サンシャイン】慣れ親しんだ土地を離れて…創業５１年目のお引越しドキュメント

6/4(水) 17:20配信

昭和48年創業の喫茶サンシャインは、行列が絶えない大人気の純喫茶。 4月に慣れ親しんだ東梅田を離れ、無事に5月23日に徒歩3分ほどの場所に新店舗をオープンした。移転オープン前の工事中のある日「この日に焙煎機を運び込みます。」というお知らせをいただき、オープンしてからでは決して見ることのできない「改装中」の喫茶サンシャインを訪れた。

移転先は大阪駅前第3ビル地下2階

大阪駅前第3ビルの地下と言えば、安価で大満足の居酒屋などが軒を連ねる庶民派スポット。

ランチタイムには近辺のオフィスからラーメンや定食を目指してスーツ姿の人の波がドッと押し寄せるエリアでもある。そんなビルの地下2階、メインストリートから少し入った元本屋さんの区画が、喫茶サンシャインの新店舗。以前の場所から地下道で繋がっているため、常連さんには引き続き通いやすい場所での営業となった。

再オープン日は5月23日

以前取材をさせていただいた、旧店舗の最終日には決定していなかった再オープンの日が5月23日と正式に決定したことを知らせる貼り紙もあり、着々と準備が進められていることが伺えた。さて、店舗内はというと……

おいしさと居心地の良さを支えたベテランたち

壁や天井はすでに整えられていたのだが、店内の床には資材や脚立に台車、さまざまなものが置かれ、多くの工事関係者が忙しく出入りしていた。邪魔にならないように気を付けながら見まわしていると、その雑然とした中に、ふと見覚えのあるモノを見つけた。

これはもしや、旧店舗で使われていたランプシェイドでは？
マスターにお聞きすると「できるだけ、使えるものは全部持ってきたんです。テーブルや椅子、照明や天井に使っていた材料とかも。今日は焙煎機を入れるんですが、重量があって大変なのとビルが変わると入居条件も変わるため、新しい設備も必要になったり、色々気を遣うところもあります。」

長年活躍してきた焙煎機が、店舗客席内にドン！　と存在感たっぷりに運び込まれた。意外と大きくて、そしてメカっぽさがカッコイイ。どこをどう撮ってもキャリア充分な職人の風格が伝わっきて渋い、そして逞しい。

しばらく焙煎機ばかりを撮っていたが、これだけでは伝えたいことが伝わらないぞと我に返り、他の箇所もキョロキョロと見まわしてみると、今度は見覚えのある壁が。

右側にある壁に縦長に貼られた銅色のパネルは、旧店舗では天井にあったものだという。年季が入ってはいるが同じ年月を共にした壁の照明器具とともに、長年連れ添った名コンビとして新たな日々をこの場所で歩むことになった。

そして工事用の照明の後ろにある白っぽい壁は、コーヒー豆が混ぜられた素材で誂えられたのだとか。ぴたりと雰囲気にマッチして隣のベテラン勢にも劣らない風情を醸し出している。新人もなかなかやるじゃないか！

入り口付近のインテリアも以前と変わらず、ホッとするなぁとしみじみしていたら、マスターが「ドアのハンドルもね、はずして持ってきたんですよ。」と教えてくれた。
単に、もったいないから……ではなく、どれほどまでに旧店舗とこれまでの日々、訪れるお客さまを愛おしく思われているかが伝わる重みのある言葉だ。

客席の工事が進む中、厨房はと言えばまだこの状態。
まずは焙煎機が搬入されてから、厨房の工事が本格化するのだという。わずかに以前よりコンパクトになった印象だが、またここから名物のオムライスや絶品ホットケーキが送りだされるのかと思うと、その日が待ち遠しくてならなかった。

焙煎機の搬入

ところで自家焙煎コーヒーが自慢の喫茶サンシャイン。人気を支える焙煎機の搬入がいよいよ始まった。がらんとしていた厨房にまずは運び込まれ、その奥の通路から見える場所に置かれることになる。まだガラスが入っていない窓からマスターが作業員さんたちと搬入の様子を見守っていた。

常連さんの間では、喫茶サンシャインのコーヒーは2カップで楽しむのがセオリーとなっている。以前密着取材をさせていただいた時には「ここはやっぱりコーヒーが一番ですよ」「今日は久しぶりに友だちと長話をしたかったので」「ホットケーキやプリンと一緒に楽しみたいから」と、コメントはさまざま。しかし、実は自家焙煎コーヒーの香りと深みのある味こそが「2杯分を楽しみたい１番の理由」に違いない。

定位置近くまで運び入れられた焙煎機を真剣な眼差しで見つめるマスターの姿に、技術と味、そしてお客さまの思いを大切に継承していく覚悟と自信が伺えた。
ここ大阪駅前第3ビル地下2階で行列を見かけたら、それがきっと喫茶サンシャイン。唯一無二の名店として、引き続き愛され続けるだろう。