【相模原市中央区】田名中吹奏楽部 相模原市内初 全日本の舞台へ 「笑顔でステージを降りる」
市立田名中学校吹奏楽部=写真=が9月7日にカルッツかわさき(川崎市)で開催された第31回東関東吹奏楽コンクールに出場し、金賞を受賞した。市内の中学校として初めて、10月に開催される全日本吹奏楽コンクールへの出場権を手にした。
同部は昨年も東関東コンで金賞を受賞したが全国出場は叶わず、悔し涙を流した。今年はその雪辱を果たすため、目標を「全国の金賞」と掲げて日々の練習に励んだ。部長の高澤真凛さんは今回の結果を受け「今でも信じられないくらいまさかの結果。うれしいよりも驚きが勝っている」と話す。
東関東コンの舞台では課題曲「祝い唄と踊り唄による幻想曲」と自由曲「ダンテの神曲・I地獄篇」を演奏。課題曲について副部長の武末心暖さんは「リズムを取るのが難しく合わせるのに苦労した」と話す。顧問の榊原聖人教諭は「自由曲は今の3年生が1年生の時に先輩がコンクールで演奏していた憧れの曲。今のこの子たちならば完成させられる」と選曲に込めた思いを語る。
「先生を全国へ」
コンクール前日、士気を高めるために円陣を組んだ際、部長の高澤さんが「先生を全国の舞台に連れていく」と宣言。「指導、指揮を振ってくれているのは先生だが演奏するのは自分たち。今年こそはという気持ちを込めた」と振り返る。
迎えた本番。冒頭でミスが出てしまうもあきらめない気持ちを皆で共有して演奏を続けた。自由曲の中盤、副部長の平井陸さんのトランペットソロで大きく流れが変わったという。「当日に変更があったがうまくいってよかった」と平井さん。この演奏が後半の演奏の勢いとなり、金賞と全国出場を決めた。
全日本吹奏楽コンクールは10月18日(土)、宇都宮市文化会館(栃木県)で行われる。目指すは目標に掲げる金賞。高澤さんは「集中力を切らさず全力で取り組んでいきたい」と意気込む。榊原教諭は「目標は金賞だが、演奏後に生徒が笑顔でステージを降りることができれば」と話した。
地域の支えが力に
近年、教員の働き方改革を踏まえた部活動改革の影響で、部活動の時間が制限されている。同部の活動時間は基本的に平日放課後に1時間弱、土曜日は半日程度。「平日は個人やパートごとの練習。土曜日に全体で合わせている」と高澤さん。「時間の制限がある中で効率よくできるよう生徒主体で工夫している」と榊原教諭は話す。
ただ、この時間内の練習のみでは全国出場を目指す演奏を完成させることは難しい。そこで、生徒の保護者が休日の部活外の自主練習の場所を確保、見守りを行った。公民館など地域の施設を利用することもあり、その際に地域の人から応援の言葉をかけてもらうこともあったという。榊原教諭は「ここまでの成果を出せたのは保護者や地域の人の支えのおかげ」と感謝の言葉を述べた。