WHITE SCORPION「Beach opening」インタビュー――ホワスピ初のサマーチューンは爽やかなシティポップ
――2025年第1弾となる新曲「Beach opening」を最初に受け取った時の感想から聞かせてください。
ACE「デビューしてからこれまでずっとクールでメッセージ性のある、どちらかというとカッコいい系の曲が続いていたので、前作「I do love you」が来た時は“わあ、こんな感じか!”って驚いたたんです。だから、今回は、可愛い系になるのか、カッコいい系になるのか、楽しみにしていたんですけど、“わあ、また違った感じだ!”っていうのが率直な感想でした。でも、曲名を聞いた時に“初の夏曲だ!”と思って。夏フェスやイベントで披露するのが楽しみな楽曲だと思いました」
HANNA「「I do love you」がこれまでのWHITE SCORPIONとは違う雰囲気の元気で明るい感じだったので、メンバー全員が“7枚目のシングルはどっちになるんだろう?”って思っていたんです。でも、「Beach opening」は青春感があって、爽やかだけど切なさもある曲調になっていて…それを表現するのが楽しみでした」
ACO「最初、「Beach opening」というタイトルをいただいたときに、“ザ・夏曲だ!”と思いました。自分の頭の中でメロディをつけたりしていたんですけど、いざ聴いてみたら、シティポップな感じで。夕方のドライブとか、ライブの締めの曲として、みんなでバイバイってシーンで使いたい曲だと思いました」
――まさにドライブにぴったりな良質のシティポップになっていますね。歌詞はどう捉えましたか? 今回もラブソングですよね。
ACO「そうですね。今まで、恋愛系じゃない楽曲って「心が目を閉じる」と「雑踏の孤独」くらいしかなくて。しかも、WHITE SCORPIONは大人の恋愛を歌うんですよ。「Beach opening」には<カーレディオのオールディーズ>とか、<ロマンス>とか、私たちにとって聞き馴染みのない言葉が歌詞にあって…でも、調べてみると、ちょっと懐かしいレトロなものだとわかって。ヤシの木が道沿いに生い茂った道路をオープンカーで走る、好きな人と初めて過ごす夏といった情景を思い浮かべながら聴くと、味のある素敵な楽曲だなって思いました」
HANNA「私たちの曲は、最初から“こんな曲だな”って想像できる曲が少ないんですけど、今回は<トンネル 抜けてしまえば/青い海が見えてくるよ>って、とてもわかりやすい歌詞が最初にあって。“めっちゃ夏!”って思いましたし、車の中で思わず口ずさんじゃうような、恋をしていて思わず笑みがこぼれてしまう感じもあって。爽やかな青春で溢れている恋愛ソングだと思いました」
ACO「WHITE SCORPIONは今まではとても重い恋愛の歌詞が多かったんですけど(笑)、今回は“こういうデートができたらいいな”くらいのライトな感じになっていて。すごく想像がつきやすいですし、親しみやすい歌詞だと思いました」
――レコーディングにはどんな思いで臨みました?
ACE「私はとにかくエモーショナルに歌うことを心がけて歌いました。細かいニュアンスが大事な楽曲だと思ったので、息遣いとか、エッジを効かせたボイスを織り交ぜて、どれだけこの曲の雰囲気に持っていけるかを頑張りました。私がいただいたパートは<窓を全開にして/波音のイントロを聴こう>だったので、窓を開けて、風がふわって吹いてきて、波音を聴く…そんなシチュエーションを思い浮かべながら歌いました。その爽やかさが伝わると嬉しいです」
HANNA「最初のところはメロディが平坦なので、声の抑揚をつけるのが難しかったです。声色の差をどうつけようかな?って試行錯誤したんですけど、逆に<Live it up>のところは“とにかく元気に!”って言ってくださって。一番最後にこのパートはレコーディングしたんですけど、手の動きもつけて、目一杯はしゃぎながらレコーディングしました」
ACO「そうだね。私も最初はしっとり歌って、サビに向かうにつれて、どんどん声のテンションを上げていけるように歌いました」
――MVも撮影されていますよね。先ほど拝見させていただいたばかりなんですが、これはどんなストーリーといったらいいですか?
ACE「まず、夏曲なのに室内なんだ!?っていう…」
ACO「砂浜だと思ったよね」
HANNA「ね!」
――(笑)水着を期待したファンの方もいるでしょうね。
ACE「私もそう思っていたんです。“もしかしたら私たち、水着を解禁して、ビーチを駆け回るのかな?“って想像していました。でも、そこで室内というところがWHITE SCORPIONらしいとも思いました。今回は、レトロな雰囲気の劇場にエキストラさんにも参加していただいて撮影しました。みんなで盛り上がっている雰囲気と、私たちのエモーショナルな表情が織り交ざって、とても素敵なMVに仕上がりました」
HANNA「私は初めてスタンドマイクを使って踊ったんですけど、スタンドマイクに憧れがあったので、MVで使えて嬉しかったです。あと、今回のMVはストーリー仕立て…物語になっているので、そこも楽しんでいただけるMVになっています。いちばん印象に残っているのは一番最後のシーンで青い風船がブワーって落ちるところです! 私、小さい頃に、風船がいっぱいなところで寝たかったんです。その夢が今回、叶って、すごく嬉しかったんです!」
――寝ました?
HANNNA「寝ました! 浮き輪もあったんですけど、そこにポツンと座ってスタッフの方に青い風船をわさわさしてもらいました」
――じゃあ、夢が二つ叶ったんですね。スタンドマイクと風船ベットで。
HANNA「はい! とても楽しかったです」
ACO「(笑)ストーリー的には“みんなで夏を楽しもう!“って言っている時に、夏が嫌いな強盗が入ってきて、パーティーを台無しにしちゃって。でも、結局はみんなで踊り出しちゃうストーリーになっています。私、このストーリーが大好きなんです。私がMVのアイデアを考えたとすると、”砂浜でわーい!“みたいなMVになっていたと思うんです。でも、その台本をもらったときに、”監督、さすがだな!“って思って。特に好きなシーンが、夏が嫌いな強盗と私たちで大乱闘して、浮き輪が飛び交っているのに何も気にせずに演奏し続けているバンドマンさんのシーンです。そこがすごく大好きです。あと、最初の1Aのとこで、HANNAがアップで映るんですけど、山口百恵さんを見てるみたいだと思っちゃいました。レトロな雰囲気にも合っていて、このカットも大好きです」
――昭和のキャバレーみたいな場所ですしね。今回のMVでは演技もされていましたね。
HANNA「一人だけじゃなくて、メンバー全員で演技ができたことがすごく嬉しかったです。しかも、みんなの演技の仕方がそれぞれちょっとずつ違っていて…それを一人ずつ見るのも楽しかったです」
――それぞれはどんな演技プランでした?
ACE「今回の演技で難しかったところがあって…。夏嫌いの強盗さんが入ってきたときに、普通は緊迫した表情になるはずなんですけど、“そうなりすぎないでほしい”って演技指導があって。“ちょっとポップな明るい雰囲気は残しつつも驚いた表情が欲しいんです”って。“それって絶妙なニュアンスで難しいな…“って思いました。完成したMVを見たら、私、めっちゃ笑っていて(笑)。そのシーンで私は笑っているのに、NICOはシリアスな表情をしていたりとか。本当に人それぞれで、そこもWHITE SCORPIONだなと思いました」
ACO「MVだとわからないんですけど、その夏嫌いの強盗が“夏ダメ!”ってずっと言っていて(笑)。雪玉を投げられるシーンでも“夏嫌い! 夏嫌い!”って。私、それに笑っちゃって」
ACE「わかる!」
ACO「とても楽しい撮影でした!」
ACE「あと、HANNAが“夏嫌い!”の人にイルカさんをぶつけるシーンで“夏好き!”って言ってて(笑)」
HANNA「逆に反抗して、対立していました」
ACE「あの声、可愛かったから、いつか皆にも聴いて欲しいなぁ」
HANNA「ぜひ“MVメイキング:Behind the Scenes”の映像で公開してほしいです。MVではNICOとMOMOが私を守る役をやってくれて…私はか弱い女の子の設定だったんです。完成したMVには映っていないんですけど、とても小さいピコピコハンマーを持ったりとか、か弱いのに最後はサメで戦ったりしていて。夏嫌いの強盗さんを叩くシーンは表情が一番見えるところなので、“やったるぜ!”って感じを出してほしいとディレクションしていただいて。その言葉を思い出しながらやったんですけど、自分の素の感じも出せた気がします」
――素が出てました?
ACE「私たちにいたずらしてくる時の顔をしていましたね」
ACO「してたしてた」
ACE「“やったるで。クックック”みたいな。とても自然体なHANNAでした(笑)」
――衣装やダンスのフリのポイントはありますか?
ACE「MV撮影では、“水着だろうな“と想像していたので(笑)、お揃いのTシャツにこんなに色鮮やかなスカートでずらっと並んだときに”すごく派手!“って思いました。でも、あの劇場に並んだら、とてもしっくりきましたし、スカートを掴んで踊ったりする振りが多かったので、綺麗にスカートがなびいていて素敵だと思いました」
HANNA「私は人生で初めてと言っていいくらい、長い時間ヒールを履いて…フィッティングした後もヒールで一日を過ごしたりしたんですけど、全然慣れなくて。靴擦れしちゃいました。それも楽しいというか…」
ACE「え? 靴擦れが楽しかった!?」
HANNA「楽しくはないか(笑)。ま、大人みたいな、いい経験になりました。あと、振り付けは波のイメージで、懐かしい感じだけど現代風な振り付けをしていただいて。キャッチーな振り付けもあるので、みなさんに真似してほしいです!」
ACO「ダンスで言うと、MV撮影中に“ダンスに合わせて、MVでしか見られない表情を出してほしい”って言われて…ダンスをしながら表情を考えるのがすごく難しかったです。最後にも“次のMVに向けて、これからもそういうことをしっかり考えてね”って言われたので、いろいろと勉強になる撮影でした。だから、MVの私たちの表情もじっくりと見て欲しいです。5分ぐらいの短い時間ですけど、このパーティーの一部始終を目撃していただいて、最後になるにつれて高揚感を高めながら見ていただきたいです」
――一方のカップリング「なんて僕は無力なんだろう」は…。
ACO「雰囲気がガラッと違う曲ですよね。重低音がすごくて、メンバーの中でも既に人気が高い曲になっていて。ファンの方にも絶対好きになってもらえる曲だと思います」
HANNA「「Beach opening」とはまた違うカッコいい曲で、歌詞も真逆になっていて。男女2人がすれ違いというか…後悔しながらも、語尾の強さから強い意志を感じる曲だと思いました。ライブ映えする曲だと思います」
ACE「歌詞一つ一つのフレーズがとても強くて。自分の感情を人に問いかけるような歌詞が多いんです。最初に聴いた時は、“なんで牛乳なんだろう? 難しい曲だな…”って思ったんですけど、何度も何度も聴いて、歌詞を噛み砕いていくと、“きっとこの牛乳は相手の恋心に例えられいていたりするんだ”とわかって。気づかなかったし、見ていなかった。すれ違っちゃったけど、きっとこの人は引き止めたいんだ、とか、いろんな感情をいろんなものに例えて表現されている楽曲で、とても好きな曲です。コールも入れやすい曲だと思うので、早くライブで披露したいですし、皆さんと盛り上がるのが楽しみです」
――どんな感情だって捉えました?
HANNA「男の人はこの女の人を好きなんだろうけど、何もできていないし、もう期限切れにもなっていて…うーん、なんというか…とっても難しい恋愛だなって思いました。ギクシャクではないですけど、言葉で表せない、空気感のぶつかり合いなんじゃないかって思いました」
ACO「私、この歌詞、すごく言い方が悪いかもしれないですけど、この主人公が悪いだろうと思いました」
――そうですよね。冷蔵庫に入れておいた牛乳の賞味期限が切れちゃってることに気づかないくらい放っておいたってことですから。
ACO「しかも、多分、他の女性のところに行っちゃったんですよね。“でも、後悔してるんだな、よしよし”みたいな気持ちです」
ACE「私は逆に、“そういうこともあるよな〜”って思ったりして。きっと、この彼は、そんなに放ったらかしにしているつもりもないんですよ。ただただ、とても鈍感。彼女が自分に不満を抱いていることとか、他の女の人にいってることに気づいているのに気づかないふりをしている。そのことにも気づいていない。どんどん知らない間に蓄積されていったものが、きっと今、腐っちゃって、目の前に現れて、それに向き合っている情景だと思うんですけど…」
――そうですね。
ACE「私は<腕に抱いてしまえば終わりな気がする>っていうところが気になっていて。全部が問いかけている歌詞なのに、ここだけ彼の心情っていうか、気持ちの中で思っていることが書かれてるんですよ。力ずくでねじ伏せてしまえば終わっちゃうけど、ちゃんと最後までこの彼女に向き合おうとしているところが私は逆に素敵だと思いました」
――ギュッと抱きしめたらもういいだろうっていう男ですよね。
ACO「いや〜、ダメですよ、そんなの」
ACE「今からでも更生してほしいなっていう気持ちです(笑)。でも、こういった経験を自分で味わったことがないので、割と他人事として捉えちゃってるっていうか…。俯瞰して見れているからそう感じると思うんですけど、きっと自分がこうなったら一番ダメなタイプだと思います」
――歌に関しても「Beach opening」とは違うアプローチですよね。
HANNA「とても大変でしたし、難しかったです。特にサビ前から高低差が激しかったので、練習する時も納得してうまく歌えることが少なくて…。でも、すごく力強い曲なので、本番はとにかく声に力を吹き込んで、“前に!前に!”って意識してレコーディングしました」
ACE「本当にパワーが必要な楽曲です。きっと曲的には一番疲れる楽曲だし、それこそ高低差もすごいから、難易度は高かったです。でも、何よりもグルーヴ感がとても大事な楽曲だと思っていて。音を大事にしないと、全くハマらないんです。そこが難しくて…。この曲のレコーディングはお仕事の後だったので、結構、ヘトヘトだったんですけど、レコーディングの前にしっかりご飯を食べて。エネルギーを注入して、リズムを意識してずっと跳ねながら歌っていました」
ACO「私も高低差がすごく大変な曲だと思って。特に<なんて僕は無力なんだろう>のところが、“ぼ”と“む”は裏声ですけど、“な”は普通に出さないといけないのが、なかなか出なくて…。“いいこと言う!”みたいになっちゃうんですけど、“出ないな。なんて私は無力なんだろ”」と思いながらレコーディングしていました」
HANNA&ACE「おおー、すごい!」
――(笑)ありがとうございます。ファンの皆さんにはどう届いたらいいなと思いますか?
ACE「「Beach opening」は笑顔の私たちと一緒に夏を楽しんでほしいですし、「なんて僕は無力なんだろう」はライブで盛り上がって、全力で声を出して楽しんでほしいです。WHITE SCORPIONの明るい魅力と、ライブパフォーマンスに注力しているWHITE SCORPIONらしい魅力。きっとギャップを見ていただけると思いますし、「Beach opening」はいろんな夏フェスやアイドルさんとの対バンとかで披露していくので、勝負曲だと思っています!」
ACO「私たち11人で“今年は頑張って決めたい!”って気持ちがあって。「Beach opening」がきっかけになっていくので、ファンの方はもちろん、私たちをまだ知らないという方達にもこの曲を通して私たちを好きになっていただいて、これからのライブやフェスとかでどんどん盛り上がっていきたいです」
HANNA「私も今年は勝負の年だと思っています。この2曲で、WHITE SCORPIONのカッコいいも可愛いも両方感じていただけるはずです。ダンスも「Beach opening」はキャッチ―ですけど、「なんて僕は無力なんだろう」はバキバキに踊ります。パフォーマンスを重視している私たちのライブで前のめりになるくらい夢中になっていただけるように頑張っていきたいです!」
――最後に、この夏にしたいことをください。
HANNA「花火! 去年できなかったので今年こそ、絶対にメンバー全員で花火がしたいです!」
ACO「うん、しようね。あと、みんなでプールも行きたい!」
ACE「まだ、みんなでで海とかバケーションできてないんだよね…。だから、みんなで沖縄に行きたいな。やりたいことはいっぱいあるけど、やっぱり今年は夏フェスに出たいです。それがこの夏に一番したいことです!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
2025年4月23日(水)配信
WHITE SCORPION「Beach opening」
定期公演
3月28日(金)『ホワイトスコーピオンBASE Live』#1
4月19日(土)『ホワイトスコーピオンBASE Live』#2
5月24日(土)『ホワイトスコーピオンBASE Live』#3
5月28日(土)『ホワイトスコーピオンBASE Live』#4
7月19日(土)『ホワイトスコーピオンBASE Live』#5
時間:開場18:00開演19:00特典会20:00
会場:YOANI Live Station
定期公演『BASE Live』