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小さな子どもにも美味しく魚を食べてもらいたい「海産物ねだち」。

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小さな子どもにも美味しく魚を食べてもらいたい「海産物ねだち」。

魚介は塩漬けしてから干すと保存食になるばかりか、うま味が凝縮されて酒の肴やご飯のお供にもなります。戦後すぐから独自の製法で鮭の本造りや魚介の一夜干しをつくってきたのが、見附市にある「海産物ねだち」という老舗。五代目店主の根立さんにお会いして、お店の歴史や商品のこだわりについてお話を聞いてきました。

海産物ねだち

根立 純一 Junichi Nedachi

1979年見附市生まれ。東京の大学を卒業し、水産加工会社や東京築地の魚介類卸売会社で修業を重ね、2007年より家業の「海産物ねだち」に就業する。現在は五代目店主として店を取り仕切っている。ジャンルを問わずお酒が好き。

修業先で魚を加工する楽しさを知り、実家の塩干物店を継ぐ。

——ロゴに「創業昭和二十一年」と記載されているので、80年近く続いてきたお店なんですね。

根立さん:魚を加工する塩干物(えんかんぶつ)の店としては80年ですが、その前に「穀師(こくし)」というお米の相場師をやっていたみたいなんですよね。それも入れると100年くらい続いてきた老舗なんです。

——創業100年というのはすごいですね。でも、どうして途中から塩干物の店に変わったんでしょう?

根立さん:船着場が多かったことや料亭割烹が集まっていたことから、魚を使った加工品を販売するようになったようです。確かにこの辺りには魚屋が多かったんですよ。

——なるほど。根立さんは何代目の店主になるんですか?

根立さん:五代目になります。最初は家業を継ぐことを考えていなかったどころか、進路について何にも考えていなかったんです(笑)。だから父に勧められるまま、新潟市内の水産加工会社に勤めたんですよ。そしたらそこで魚を扱う楽しさに目覚めて、家業を継ぐことを決心しました。

——それはどうして?

根立さん:最初は何もできなかったんですけど、教わりながらやっていくうちにできなかったことができるようになって、最終的にはいろんな魚を捌けるようになるのが楽しかったんですよね。そこで、もっと魚の勉強がしたくて東京築地にある魚の大卸で修業をしてきました。

——そこではどんなことを勉強したんでしょうか?

根立さん:最初の1年間は「魚は売らなくていいから自分を売ってこい」と言われて、お客様のところを回ってお茶を飲みながら世間話をしていました(笑)。魚だけではなく、人間関係がとても大切な世界なんだと学びましたね。

——そういう世界なんですね。他にも学んだことがあったら教えてください。

根立さん:はじめて見るような魚も含めて、鮮度の見方を学ばせていただきました。修業で身につけた魚の目利きは今でも役に立っていますね。

うま味とコクを引き出す、独自の乾燥法「旨味干封」。

——鮭がたくさん吊るされていますね。

根立さん:これは看板商品の「本造り銀鮭」をつくっているところなんです。

——へぇ〜、どんなふうにつくっているのか教えてください。

根立さん:ミネラル豊富な天日塩に2日間漬け込んだ後、6時間かけて塩加減の調整をして、専用の機械を使って18時間乾燥することでうま味とコクを最大限に引き出すんです。

——なかなか時間がかかるんですね。

根立さん:回転のことを考えてもっと短時間でつくるところも多いんですけど、少しでも美味しいものを皆さまに食べていただきたいという思いで、じっくり時間をかけて丁寧につくることを心掛けています。

——他にも心掛けていることはありますか?

根立さん:築地で学んだ目利きを生かして、鮮度のいい高品質な魚を仕入れるようにしています。あとは、しっかり丁寧に下処理をすることにもこだわっていますね。ぬめりを取って血合いを綺麗に落とすことで、臭みや癖がなく食べやすい魚になるんですよ。

——そこまでして食べやすい魚にこだわるのはどうしてなんですか?

根立さん:僕には小さい子どもがいるんですけど、ほとんどの子どもがそうであるように魚より肉が好きなんですよね(笑)。魚屋の父としては子どもに魚を好きになってほしいという思いから、食べやすい魚をつくっているわけです。

——父親としての願いが込められているんですね(笑)。他にもオススメの商品ってあるんでしょうか?

根立さん:「本造り 手ほぐし銀鮭」です。以前から鮭フレークをつくりたかったんですけど、加工できる設備がないので諦めていたんですよ。そんなとき、お世話になっている通販サイト「新潟直送計画」のプランナーさんに相談したら、長岡にある食品会社を紹介していただき実現することができた商品なんです。

——「新潟直送計画」でも出店しているんですね。

根立さん:最初はギフト用の詰め合わせ商品だけを出品していたんですが、レビューのなかで普段使いできる商品を望む声があったことから、プランナーさんの勧めで家庭用の切り身商品を出品したところ注文が急増したんです。ロゴや包装紙のデザインもお世話になりました。

——お洒落なロゴですけど、このマークは何を意味しているんでしょうか?

根立さん:うま味を引き出す独自の乾燥法を表現したくて、デザイナーさんと一緒に「旨味干封(うまみかんぷう)」という造語を考えました。それをビジュアル化したのがロゴマークなんです。センスのいいデザインのおかげで売り上げも伸びました。

——確かに贈られた方にも喜んでもらえそうなデザインですね。今後他にもつくってみようと考えている商品はあるんですか?

根立さん:古くから新潟に伝わる郷土料理の「焼漬(やきづけ)」に挑戦したいですね。調理せずそのまま食べられるので、お土産に買って帰りの新幹線のなかでも食べていただけます。そうした商品が増えたら、塩干物の専門店をオープンしたいんですよ。少し値段は張ったとしても、本当に美味しい良い商品を皆さまにお届けしていきたいですね。

海産物ねだち

見附市今町1-4-2

0258-66-2165

7:00-17:00

不定休

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