第98回「全国安全週間」準備期間始まる スローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」
6月1日より、2025年度「全国安全週間」の準備期間が始まった。厚生労働省は、職場巡視やスローガンの掲示などを通じた労働災害防止の取り組みを、各事業場に促している。
安全文化の醸成へ 経営トップの所信表明や職場総点検を呼び掛け
今回で第98回を迎える「全国安全週間」は、7月1日から7日に実施され、6月30日までが準備期間となる。2025年度のスローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」で、応募作品の中から小澤正紀さん(東京都)の案が選ばれた。
厚生労働省は、安全文化の醸成を目的に、以下のような取り組みの実施を各企業・事業場に求めている。
・安全大会などでの、経営トップによる安全への所信表明を通じた、関係者の意思の統一および安全意識の高揚
・安全パトロールによる職場の総点検の実施
・安全旗の掲揚、標語の掲示、講演会などの開催、安全関係資料の配布、ホームページなどを通じた自社の安全活動等の社会への発信
・労働者の家族への協力の呼び掛け(職場の安全に関する文書の送付、職場見学の実施など)
・緊急時の措置にかかる必要な訓練の実施
・「安全の日」の設定のほか、準備期間および全国安全週間にふさわしい行事の実施
厚生労働省など主唱者・協賛者では期間中、安全広報資料などの作成や配布、安全パトロールの実施、労働安全に関する講習会の開催などを行う。
タカミヤ、安全衛生大会を開催 「安全を自分ごとに」全社員で意識共有
期間に先立ち、タカミヤ(大阪府大阪市)は5月27日、「安全衛生大会」を開催した。
同社は「業界全体での安全意識の底上げ」が必要との考えから、2010年よりタカミヤ安全衛生協力会とともに毎年大会を実施。役員、従業員、会員企業が一堂に会し、参加型クイズや表彰などを通じて、「安全を自分ごととして考える」意識の共有をはかった。
中災防・建災防が啓発グッズを販売 ポスターやのぼりで職場に浸透
全国安全週間に関連して、例年、各業界団体からは、啓発用のぼりやポスター、ワッペンなどが配布・販売されている。
中央労働災害防止協会(中災防)では、ポスターに女優の田畑志真さんを起用。さまざまなデザインのポスターが352円(税込)から販売されており、50枚以上から社名印刷も対応する。社内配布向けの「2025年版働く人の安全のしるべ」では、自分の行動や自分の職場を意識してもらうため、熱中症や転倒など幅広いトピックを取り上げ、わかりやすく解説している。
建設業労働災害防止協会(建災防)の「令和7年度実施要領」は、1部33円(税込)で、送付先1か所につき、50部以上から10部単位で申し込める。ポスターには元乃木坂46の新内眞衣さんを起用した。
死傷災害は依然として増加傾向 安全週間は対策見直しの契機に
2024年度の労働災害は、休業4日以上の死傷災害が前年を上回る見込みで、依然として増加傾向が続いている。死亡災害は前年を下回る見通しだが、転倒や腰痛といった作業起因の災害や、墜落・転落による死亡事故が後を絶たない。
全国安全週間の開催に合わせ、労働基準監督署による説明会なども各地で予定されている。日程は厚生労働省のウェブサイトで確認できる。ポスターなどの資材情報は、中災防、建災防のウェブサイトで確認できる。