ビタミンDはどんな食べ物に含まれる?1日の摂取基準やはたらきは?
「ビタミンDはどんな食べ物に含まれているのかな」
「不足すると体に良くないって聞いたけど、どんなはたらきがあるんだろう?」
というようにビタミンDに対して関心をお持ちの方も多いでしょう。
ビタミンDはカルシウムやリンなどのミネラルの吸収に関わる栄養素です。
不足すると骨の代謝異常を引き起こし、高齢者の場合には骨粗しょう症の要因になってしまう可能性もあります。
この記事では、ビタミンDがどのような栄養素なのか、どのくらい摂取するべきなのか、どんな食べ物に含まれているのかについて、詳しく解説していきます。
1.ビタミンDとはどんな栄養素?
ビタミンDは油に溶ける「脂溶性ビタミン」の一つで、化学的には「ビタミンD2」と「ビタミンD3」に分類されます。
ビタミンDにはカルシウムやリンの吸収を促進するはたらきがあります。
カルシウムやリンは骨の材料となるため、その吸収を助けるビタミンDが不足すると健康な骨を作ることができなくなってしまうのです。
そのためビタミンDが不足し続けると、子どもの場合は「くる病」、大人の場合は「骨軟化症」を招いてしまいます。
【用語説明】
くる病・骨軟化症とは
骨や軟骨に強度の十分でない組織が増えてしまい、骨折や痛みを引き起こす病気です。子どもに発症するものを「くる病」、成人に発症するものを「骨軟化症」といいます。 子どもの場合は身長が伸びなくなるといった症状も現れます。
また高齢者の場合、ビタミンD不足状態が長期間続くと骨密度が低下し、骨粗しょう症になってしまう場合もあります。
【用語説明】
骨粗しょう症とは
骨の量が減って骨折しやすくなる病気です。骨は絶えず新たに作られること(骨形成)と古い骨を溶かして壊すこと(骨吸収)を繰り返すことで生まれ変わり続けていますが、バランスが崩れると骨がスカスカになり骨粗しょう症になってしまいます。
それだけビタミンDには体にとって重要なはたらきがあるということですね。
2.ビタミンDは不足しがち?摂取目安量と平均摂取量
「ビタミンDが不足すると良くないのは分かったけど、実際どれくらい摂れば良いの?」
「自分は十分な量のビタミンDを摂取できているのかな?」
と気になっている方も多いでしょう。
実は日本人の多くはビタミンDが不足しがちな生活を送っていると考えられます。
そこで、ここではビタミンDの摂取量の目安となる厚生労働省が定める摂取基準と、実際の年代別平均摂取量をお伝えしていきます。
2-1.1日当たりの摂取目安量
ビタミンDの1日当たりの摂取目安量は、「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)において定められています。
【メモ】
「日本人の食事摂取基準」には、ビタミンDだけでなくさまざまな栄養素や成分の摂取基準などが定められています。
以下の表で、摂取目安量と耐容上限量(これ以上摂ると健康を損ねるリスクがある量) を確認してみましょう。
【1日当たりの摂取目安量と耐用上限量】
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに作成
「この数字だけ見てもピンと来ない……」
という方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで、次は実際に日本人がどれくらいビタミンDを摂取しているのかという平均値を見ていきますね。
【注意事項】
ビタミンDに耐容上限量が定められているのは、過剰摂取することで健康を損ねるリスクがあるからです。ビタミンDを摂り過ぎると、カルシウムが腎臓や筋肉に沈着したり骨以外の組織が石灰化したりする場合があります。また嘔吐や食欲不振、体重減少などの症状が見られることもあります。
2-2.1日当たりの平均摂取量
ビタミンDの1日当たりの平均摂取量は、厚生労働省が発表している「国民健康・栄養調査」で知ることができます。
【ビタミンDの1日当たりの平均摂取量】
厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」をもとに作成
先ほど引用した「日本人の食事摂取基準」によると、18歳以上の方のビタミンDの摂取目安量は8.5μgでした。
しかし、実際は18歳以降の多くの世代でビタミンDの平均摂取量は目安量を下回っていることが分かりますよね。
実は日本人の多くの方はビタミンDが不足しがちな傾向にあるといえるのです。
【メモ】
ビタミンDは日光を浴びることにより皮膚 で合成されるため、外出する機会が少ないとビタミンDが不足してしまうことがあります。「休みの日などつい家にこもりがち」という方は意識して散歩や日光浴などに出掛けてみましょう。
3.ビタミンDを多く含んでいる食べ物は?
「ビタミンDを摂るには何を食べたら良いの?」
というのが一番気になっているという方もいらっしゃるでしょう。
ビタミンというと野菜類に豊富に含まれているイメージのある方もいらっしゃるかもしれませんが、実はビタミンDは野菜には含まれていない栄養素です。
主な摂取源は魚類で、そのほか肉類や卵類、乳製品やきのこ類など に含まれています。
ここではビタミンDを豊富に含み、手軽に摂取できる食べ物を動物性食品と植物性食品に分けてご紹介しましょう。
3-1.動物性食品:魚類など
魚類には特に豊富にビタミンDが含まれています。
【ビタミンDを豊富に含む魚類と可食部100g当たりの含有量】
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(八訂)」をもとに作成
食生活が肉に偏りがちという方も少なくないのではないでしょうか。
ビタミンDはかつおの酒盗やしらす干しなど、あらかじめ加工された形で売られているものからでも手軽に摂取することができます。
普段の食生活で魚を食べる機会が少ないという方はこうした製品からビタミンDを摂取するのも良いかもしれませんね。
また、肉類や卵類、乳製品にも魚類に比べれば少ないもののビタミンDが含まれています。
【ビタミンDを含むその他の動物性食品と可食部100g当たりの含有量】
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(八訂)」をもとに作成
魚は苦手、という方は意識してこれらの食品を摂るようにするのも良いかもしれませんね。
3-2.植物性食品:きのこ類
「植物性食品」といっても、ビタミンDは野菜類や豆類、穀類、いも類などにはほとんど含まれていません。
ビタミンDの摂取源になる植物性食品はきのこ類です。
主なきのこ類のビタミンD含有量を確認してみましょう。
【主なきのこ類の可食部100g当たりのビタミンD含有量】
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(八訂)」をもとに作成
きのこ類のなかでは舞茸が群を抜いてビタミンDの含有量が多いことが分かりますね。
きのこは食物繊維が豊富なことで知られており、カロリーが低いのもうれしいポイントですよね。
魚類が苦手だという方はきのこを積極的に摂取するのも一つの手でしょう。
4.ビタミンDのはたらきや含まれる食べ物について まとめ
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一つで、骨の健康と関わっている栄養素です。
不足し続けると骨の病気になってしまうこともある重要な栄養素ですが、成人の方を中心に日本人には足りていない栄養素であることも事実といえるでしょう。
魚類などの動物性食品やきのこ類などから、積極的にビタミンDを摂取するよう意識してみてくださいね。
また、ビタミンDは日光を浴びることでも作られるため、この機会に食生活だけでなく生活習慣そのものも見直してみるといいかもしれませんよ。