休職すべきかどうか?ドクターの判断基準とは【眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話】
「勧める」という言い方の理由
うつ状態になったら、しっかり休むことが大事です。では、精神科医はどのような基準で患者に休職を勧めるのでしょうか?まずは「本人の気持ち」です。本人が休みたいと思っているのかは大事です。ここで「休みたい」と言った場合は、休むよう勧めます。病気で休むのは本人の権利なので、甘えだからダメだとか思う必要はありません。
ふたつ目は「周囲の意見」です。実は本人よりも、周囲の人のほうがその人のことをよく見ていたりします。うつ状態の人は無理してでも働こうとしがちなため、周囲の意見をきちんと聞いて判断するほうが、結果的に正しかったということも多いのです。
また、「仕事はできているか?」もポイントで、まともに仕事ができない状態であれば、当然ですが休むよう勧めます。ほかにも食事や睡眠がとれずに「体重が大きく変化」した、職場へ行くたびに「動悸がする、自然と涙が出る」「死にたいという気持ちがある」といった場合も休職を勧めます。
なお、ここまで「休職を勧める」という書き方をしてきましたが、精神科医は基本的に「休職しなさい」とは言いません。精神科の患者さんは命令され、人権無視されてきた歴史的背景があるため、精神科医はこのような言い回しをするのです。まだ症状が軽いから「勧める」という言い方をしているわけではないことは覚えておきましょう。
休職したほうがよいサイン
「仕事を休みたい」と思っている周囲の人が「休んだほうがよい」と感じているしっかり仕事ができていない食事、睡眠が取れていない体重が大きく変化した職場へ行くと動悸がする、自然と涙が出る「死にたい」という気持ちがある
項目の下に行くほど重症度が増していくが、どれかひとつでも引っかかるのであれば、休職したほうがよい。
過労死と認定される基準
2~6ヶ月間平均で月80時間超の時間外労働発症前1ヶ月間に100時間超の時間外労働
労災の過労死が認定される基準を超えていて、うつ症状がひどいときも休職したほうがよい。放っておけば、本当に死んでしまう可能性がある。
基本的にドクター・ストップはしない
本人とドクターで協議をして「本人主導で治療方針を決める」のが基本のため、本人が「働きたい」と言っているのに強制的に休ませることはない。ドクターの「休職を勧める」という言い方は、症状が軽いからではないことを覚えておこう。
精神科医が「休みなさい」と明言しないのは決して「症状が軽い」と判断したからではない
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話 』監修:益田 裕介