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小野リサデビュー35周年&ボサノヴァ誕生65周年!音楽には言葉の壁も国境もない

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2023年11月22日 小野リサのベストアルバム「Amor pela Bossa Nova -The Best of Lisa Ono- Mar e Céu」発売日

日本のボサノヴァの最初期は、中尾ミエ「月夜にボサノバ」


ボサノヴァという音楽が1950年代にブラジルで生まれて、2023年で65年になるという。

日本にボサノヴァが輸入されたのは1962年ころ。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を中尾ミエさんが「月夜にボサノバ」としてカバーしたのが最初期。1965年に、バークリー音楽学校に留学中だった渡辺貞夫さんが米国でボサノヴァに触れ、1966年に日本に帰国後「Jazz & Bossa」や「Bossa Nova ’67」日本の音楽シーンにボサノヴァを持ち込んだ。

やがて筒美京平さんをはじめとする歌謡曲の作家も取り入れるようになり、1969年には長谷川きよしさんの「別れのサンバ」がヒット、じわじわとボッサ風の作品が生まれていく。ちなみに「別れのサンバ」の編曲は、後に高校生の荒井由実さんをスカウトした村井邦彦さん。

ポルトガル語でほんもののボサノヴァを聴かせる小野リサ


なお、1965年生まれのわたしが聴いた最初のボサノヴァは、1975年の荒井由実さん「あの日にかえりたい」。それまでにもテレビやラジオで流れていたし、また父が持っていたソニーファミリークラブのポピュラー・ミュージック全集にも「ベサメ・ムーチョ」等が入っていて、家のステレオで流れていたのを聴いていたはずだが、はっきりとした記憶としてあるのはユーミンからになる。

ユーミン以降、歌謡曲やニューミュージックといった音楽にボサノヴァの香りが目立つようになる。丸山圭子さん「どうぞこのまま」(1976年)、太田裕美さん「恋愛遊戯」(1977年)、南佳孝さん「日付変更線」(1978年)、大ヒットしたサーカス「Mr.サマータイム」(1978年)などがあげられる。1980年代になるとアイドルポップスまでボサノヴァのフレイバーが振りかけられた。

テレビ、ラジオ、レコード等を通じて、多くの日本人がボサノヴァと言われる音楽にはなんとなく馴染んでいたが、それはあくまでもポップスのスタイルのひとつで、ボサノヴァが生まれたブラジルの香りはすっかり消えていた。それだけに、日本人の小野リサさんがポルトガル語でアントニオ・カルロス・ジョビンのような、ほんもののボサノヴァを聴かせるのは、彼女がデビューした1989年であっても、まだまだカルチャーショックといえるものだった。

日本のみならずアジアの各国でも活動


小野リサさんは、両親がブラジルに移住した後、1962年にサンパウロで生まれた。10歳までブラジルで過ごし、家族とともに日本に戻った後、15歳からギターを弾き、歌い始めた。アルバイトで歌っていたホテルのラウンジで「静かな歌を」というリクエストがあり、そこでジャズ風にアレンジした「イパネマの娘」を歌ったときに、お客様が彼女の歌を静かに聴いていたことで、自らのスタイルでボサノヴァを歌うことに決めたという。

その後1989年にデビュー以降、小野リサさんはやわらかい歌声で、日本のみならずアジアの各国でも活動し、聴く人々を独特の世界へ連れて行っている。

彼女の歌には、とがったところがどこにもない。ポルトガル語をはじめとする各言語で、かろやかに、喋るかのようにメロディを声で奏でていく。どんな言葉であっても、とても穏やかであたたかい気持ちになる、ということは変わらない。音楽には言葉の壁も、国境もない、ということを体現する歌手のひとりだろう。

デビュー35周年とボサノヴァ誕生65周年ということで発売されるベストアルバム


今回、デビュー35周年とボサノヴァ誕生65周年ということで発売される小野リサさんのベストアルバム『Amor pela Bossa Nova -The Best of Lisa Ono- Mar e Céu』は、そんな彼女のしなやかさが存分に味わえる作品集だ。

これまでに発表したアルバムのうち、1997年から2010年までの作品が2枚組のCDに40曲収められた。ボサノヴァ&ブラジルならではの、Sol(太陽)・Mar(海)・Sonho(夢)・Céu (空)を共通テーマとして選曲されており、今回取り上げるユニバーサル盤についてはジャケットは明るいオレンジ色のグラデーションで、Sol(太陽)& Sonho(夢)という文字があしらわれている。

40曲を大きく分けると、サンパウロでアントニオ・カルロス・ジョビンのファミリーと一緒に演奏した作品群、1999年からはじめた小野リサさん流の “音楽の世界旅行” としてアジアから中近東、南北アメリカ大陸を広く旅した作品群、シャンソンやポップスの名曲を小野リサさん流のボサノヴァアレンジで聴かせる作品群という3種類、多種多彩な顔が見える作品集だ。聴くひとの暮らしのなかで、きっと穏やかな時間のお供になることだろう。

小野リサの魅力的な楽曲10曲をピックアップ


40曲全部はとても紹介しきれないので、わたしが気に入ったいくつかの作品をかいつまんで10曲紹介しよう。

Disc-1 / M2
明るい表通りで(ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET)
1999年『DREAM』収録。言わずと知れたジャズの名曲。ポルトガル語で自由に唄うこの曲はとても気持ち良い。最後の雑踏の音と閉まる扉の音は、映像感たっぷり。

Disc-1 / M5
オ・ソレ・ミーオ(‘O SOLE MIO)
2002年『QUESTA BOSSA MIA…』収録。カンツォーネの名曲。日本語では「私の太陽」。イタリア民謡が、カリブに行った雰囲気に。優しく降り注ぐ太陽の光のようなヴォーカル。

Disc-1 / M6
イパネマの娘(GAROTA DE IPANEMA)
2007年『The music of Antonio Carlos Jobim “IPANEMA”』収録。数多の音楽家から愛されるボサノヴァの名曲を、アントニオ・カルロス・ジョビンのファミリーと一緒に小野リサさん流に。とてもリラックスした雰囲気が感じられる。

Disc-1 / M7
シャドウ・オブ・ユア・スマイル(THE SHADOW OF YOUR SMILE)
2009年『Look To The Rainbow -Jazz Standards from L.A.-』収録。”小野リサ with コーラス” といっていい。Take6による美しい重厚なコーラスとのマッチングが素晴らしい。

Disc-1 / M16
フェリシダーヂ(A FELICIDADE)
2007年『The music of Antonio Carlos Jobim “IPANEMA”』収録。アントニオ・カルロス・ジョビン生誕80周年をお祝いして、ジョビン・ファミリーと一緒に普段のさり気ないサウンドを作ったアルバム。デュエットと、歌声にからむピアノのあたたかさが優しい。

Disc-2 / M1
想いあふれて(CHEGA DE SAUDADE)
1998年『BOSSA CARIOCA』収録。アントニオ・カルロス・ジョビンの息子と孫にあたるパウロ&ダニエル・ジョビンとともに歌い、フルート、ギター、ピアノとリラックスしたサウンドが流れるひとときは、ジョビン・ファミリーのリビングにお邪魔しているかのような気持ちになれる。

Disc-2 / M2
ムーンライト・セレナーデ(MOONLIGHT SERENADE)
1999年『DREAM』収録。このアルバムから音楽の旅をはじめたというリサさん。グレン・ミラーの名曲をボッサに。Take6の豊かなコーラスが軽いボッサをとてもゴージャスにしている。2007年には三菱自動車「パジェロイオ」のCMにも使われた。

Disc-2 / M4
私の坊や(CACHITO)
2005年『Romance Latino Vol.3~Cuba Caliente y su ritmo sabroso~』収録。「Caliente(暖かさ)」をテーマとしたアルバム。ラテン音楽そのまま、こどもや動物のような声も聞こえる。南国らしい楽しさが満載。

Disc-2 / M8
チーク・トゥ・チーク(CHEEK TO CHEEK)
2009年『Cheek To Cheek -Jazz Standards from RIO-』収録。ビッグバンドジャズをブラジルのミュージシャンと一緒に、爽やかで優しく仕上げている。

Disc-2 / M16
枯葉(LES FEUILLES MORTES)
2003年作品『ダン・モニール』収録。シャンソンの名曲をボッサ仕立てで。弦とピアノの美しさがエレガント極まりない。フランス語ってエレガントな言語だなぁと耳からうっとりしている。

もっともっと紹介したいところだが、この他にも、小野リサさんの魅力的な楽曲がぎっしり詰まっている。しなやかで優しいヴォーカルと、穏やかで美しいサウンドは、暮らしの中のいろんなシーンで、心を穏やかにしてくれる。そんな楽曲たちがたくさん待っている。たくさんの方々に聴いて欲しい作品集だ。

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