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株価暴落のAIスタートアップのオルツに何が起きたのか 「未来の100社」が陥った粉飾の深層

セブツー

東証グロース上場のAIスタートアップ、オルツの株価が7月28日、前先週末比で30円安(33.33%マイナス)となる60円でストップ安となった。今年6月頃から粉飾決算の疑いが報じられていたオルツは同日、外部の有識者による第三者委員会の調査報告書が開示され、同社が手がけるAI議事録サービス「AI GIJIROKU(AI議事録)」をめぐり、一部の売上が実態を伴わない「架空売上」にあたるとの指摘がなされ、累計で11億円を超える売上・費用の過大計上が明らかになった。

報告書によれば、オルツは「AI GIJIROKU」のスーパーパートナー(SP)からライセンス受注を装い、アカウントが実際には発行・使用されていないにもかかわらず売上として計上していた。さらに、SPに対しては、広告宣伝費や研究開発費の名目で資金を提供し、その資金が売上として戻ってくる「循環取引スキーム」を組んでいたという。

報告書によると、影響額は売上高の影響が累計で約11.9億円、広告宣伝費が約11.5億円、研究開発費が約1.3億円で、いずれも2020年12月期から2024年12月期までの5年間にわたるもので、最大で91%近い売上が過大計上された年度もあった。

オルツはこの指摘を受け、過去の有価証券報告書や決算短信の訂正作業に着手。連結財務諸表への影響額の確定も進める方針だ。また、報告書では取締役会のガバナンス不全や内部統制の欠如も厳しく指摘。監査役会は社外弁護士と連携し、経営責任の有無や訴訟提起の検討を開始した。

創業者で代表取締役社長の米倉千貴氏は、7月28日付で辞任。後任には取締役CFOの日置友輔氏が就任したが、報告書では日置新社長も不正に関与していたと指摘されており、経営陣全体の責任が問われている。

オルツは2014年設立。2024年10月に東証グロース市場に上場し、累計で113億円超を資金調達。2023年に日経クロストレンド「未来の市場をつくる100社」にも選出され、2024年には初代デジタル改革担当大臣で、自由民主党の平井卓也衆議院議員のデジタルクローンの開発にも関わっている。

2024年12月期には過去最高の売上高60億5700万円を計上していたが、今回の報告でこの数字の信憑性も揺らいでいる。生成AI分野で注目を集めていた企業の粉飾が表面化し、AI業界への信頼性にも影を落とす。今後、上場企業としての説明責任とガバナンスの立て直しが急務となる。

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