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【転職or現状維持?】いまの仕事に違和感を持つようになった。でも安定している仕事だし…どうしたらいい?

Sitakke

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は〜い皆さん、ごきげんよう!満島てる子です。

2月に入ってから「ああ、これって時節柄の話題ってやつなのかなぁ」と思うのが、異動や引越しのご連絡を各方面からいただくようになってきたこと。

「札幌に来るのが決まったんです!これでお店行きやすくなります!」なんていう嬉しい言葉をお客様からいただくときもあれば、公私ともにお世話になってきた人が年度末で北海道を離れることを知って、しょんぼりする場面もあったりして。

ライター・満島てる子

どこでどう働くかって、それぞれの生活のあり方に大きく関わるもの。
読者の皆様のなかにも、これから新しい環境に移行していくことになったという方もいらっしゃるんじゃないかしら。きたる春の兆しよねぇ。
あたしはというと、相変わらず西創成の第一ファミリービルでラプンツェル状態なわけですが、誰もが帰ってこれるカウンターという場所から、皆さんの変化を応援したいなぁ、なんて思っている昨今です。

そんな最中、自分が変化すべきかどうかを真剣に悩んでいるらしいお手紙が。
内容も、なんだか考えさせられるものなの。ご紹介したいと思います。

読者のお悩み:いまの仕事に違和感を持つようになった。でも安定している仕事だし…どうしたらいい?

あらぁ……なんだかここしばらくさ、ペンネームから抱えるものというか、現状がダダ漏れの方多くない?「虎口龍鱗(コグチリュウリン)を脱す」とは、危機的な状況からなんとか回復することを指す言い回しではありますが、それをお名前にしちゃうだなんて。

よっぽど今のお悩み、身に迫るものがあるのでは?と勝手に感じちゃったり。
ともあれ龍鱗さん、こちらのコーナーにモヤモヤを送ってくださり、ありがとうございます!

そっかぁ。今の仕事と自分自身との間に、かなり深刻な亀裂が入っちゃっているのね。
職種がなんなのかとか、そんな野暮なツッコミはよしておきますが、「滅私」の二文字に徹することで望まぬ業務に手をつけなければならないときも、これまでたくさんあったんじゃないかしらねぇと、龍鱗さんの労働環境についてあたくし、想像を走らせているところです。

うんうん、そしてね、これ今回のお手紙で特に共感した部分なんだけれどさ。
特定の仕事について、その内容をよくよく注視してみたとき「もしかしてこれって、マイノリティの抑圧というか、差別につながったりしていない?」って疑問や不安を抱いたこと、読者の皆さんはこれまで経験ないかしら。

あたしはというと、実は女装(より正確にはドラァグクィーン)というなりわいに関して、この点を真剣に考え、自分自身の立ち位置について悩んだ時期というのがあったんです。

ドラァグクィーンたちの活躍ぶりは、最近だと日本でもごく気軽に、メディアやSNS上で見かけるようになりました。
しかしそのパフォーマンスは「ドレスや化粧といった女性性を過激にパロディーし、風刺として用いているわけだから、その根本って女性を馬鹿にしているんじゃないか」と、ジェンダー論の観点から批判を受け、避けられてしまうことが時にあります。

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実際に海外のプライドパレードでは、ジェンダー平等の観点から、かつてドラァグクィーンの参加を制限する発表をした地域もありました(例:2015年のグラスゴー)。

クィーン当事者たちの話を聞いていても、この点に関してダブルバインドを抱えていたり、何がしかの葛藤を感じたことがある人というのは、決して少なくないように思います。あたしも、その内のひとりでした。

今となっては、一定の折り合いをこころの中でつけているし、批判がきた時には自分なりの意見をさらっと伝えられるようにもなったんだけれど(例えば「「ドラァグクィーン」や「女装」という表現方法で出来ること/実際に行われていることは、パロディーや風刺だけとは限らない」とか、「ドレスや化粧といった女性ジェンダーと結びつけられがちな記号を相対化し、それらを使った遊びを示すことは、女性のエンパワメントにもつながっている」とかね)。


特にクィーンとして駆け出しだった頃とかは、女装にのめり込んでいく一方で、龍鱗さんのように「あたしのドラァグ活動、もしかして暴力的な側面があるんじゃないか」という不安を、ひしひしと感じていた記憶があるのよね。割としんどかったなぁ。

自分のやっていること、特に生活様態にも直結している「仕事」といういとなみが、誰かを傷つけてしまっているかもしれない……そう考えると、なかなかその仕事にも身が入らなくなってしまうというのは、自然な流れ。
龍鱗さん、今置かれている環境、相当辛いんじゃなかろうか。マジで大丈夫?

似たような経験をしたことがある身としては、すごく心配になるお悩みで。
お手紙を読みながら、パソコンの画面に向かってなんだか思わず困り眉になってしまっているあたしが、雪降る西創成のデスクに座っているのでした。

あたしなりのAnswer

さて、このお悩みに対するあたしからのアンサーは、とってもシンプルです。
龍鱗さん、あなた転職活動、本格的にやった方がいいと思う。
少しでも早く新しい職場を見つけてそこに根を下ろし、こころの安らぎを手に入れるべきです。

……答えまで割と迂回しがちないつもの書き様からすれば「えっ!大胆な回答!?」と思われちゃうかもしれないけれど、これかなり本気。
理由は、あなたが今の仕事によって「自死を考える日も少なくない」と言っていること。
これは流石に見過ごせないと、あたし思ったんです。

「「安定した生活」を手放すことに対する心配」。なるほどわかります。
先立つものがなければ生活していくのも難しいでしょうし、何よりこの資本主義社会です。一定の収入を保証された仕事にありつく機会は、そうそう多くない。

でも、考えてもみて?
仕事というのは、あなたという主体あってこその仕事。その存在を脅かされるような環境に居続けて、自分で自分を失ってしまう結果になってしまったとしたら、元も子もない。
はっきり言って今のあなたの職場、正しい意味で「安定」しているとは、あたしには全然思えないのです。


最近「ワークライフバランス」という言葉を耳にする機会が、自分の身の回りでも増えてきました。仕事と生活の調和を図ろうという取り組みを一言で示した表現なわけですが、この言葉を聞くたびにあたしは「調和させるとはいえ、やっぱり仕事の土台に生活があるというか、いのちあってのものだねなんだよなぁ」と感じています。

あとね、あたし最近『左利きのエレン』という漫画にハマっているんだけれど、その中で印象的かつ、今の龍鱗さんに贈りたいセリフがあったから紹介させてほしいの。

第47話。美術大学に通う主人公•光一は就職活動に苦戦しているのですが、その最中に卒業生の先輩•神谷と出会い、彼からこんな言葉を投げかけられるんです。

……何かを作るってことは裸の自分と向き合うことだ。」

これはもちろん、あくまでクリエイターというか、ものづくりに関する発言ではあるけれど。
あたしね、ここで伝えたい何かって、「働く」という営み全般に共通することなんじゃないかなぁって思うんです。

何かを仕事にし、それと真剣に向き合っていると「あ、自分こんなこと考えていたんだな」「こう感じていたのか」というのが、仕事の成果として立ち現れてきます(あたしの場合、こうしてコラムを書いている間に「こんなことに悩んでいたのね」と改めて反省させられること、これまでも多々ありました)。
しかも、その仕事そのものに対する自分の考え方や、適性みたいなものも、同時にわかるようになってくる。
まさに「裸の自分」というか、おのれの本音みたいなものが、働いている間に垣間見えるときがあったりするのよね。

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だとすれば、です。
おそらく、とっても真面目に今も働いているであろう龍鱗さん。そのあなたが、現在の職に従事することで強く覚えたのが「罪悪感」であり、その果てに見た結論が「自死」だったのだとするならば。
その仕事は、裸のあなたにとって、どう考えても心地よいものではない。なんなら「目を瞑りながら」続けられるようなものじゃない。
大変なことになる前に、その仕事から距離を置いた方がいいはずだと、あたしは思うのよ。


ご家族からの理解を得るには、確かにちょっと苦労するところもあるかもしれません。
でも、自ら人生を終わらせてしまうような悲劇が起こってしまうよりは、その大変さの方がきっとよっぽどマシ。
龍鱗さん、あなたまず、自分のことを、どうか大切にしてください。そこから全ては始まるはず。

マイノリティについて思いを馳せ、多様性を重んじる豊かな感性を持っているあなたなら大丈夫。急がなくてもいいけれど、探せばきっと、素敵な職場を次には見つけられる。

と、転職活動をする前提のくだりに、最後はなってしまったけれど。笑
それに限らない生き方全てというか、龍鱗さんのこれからを、すすきののはしっこからあたしも応援していますね!

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ま・と・め♡

ということで今回は、仕事と生き方の根本的なつながりにまで思いを馳せ、いろいろ相談者さんのことを考えながら執筆してみました。

うーん、なんだか書いている間に、自分の働き方というか、ワークライフバランスっつーの?それについても反省しちゃったわ。

プライベートも含めた自分の人生を、総体として大事にしながら、一種の自己実現としての「仕事」を、その土台の上に充実させる。これってなかなか一筋縄ではできることじゃないもんね。

これからも定期的に、みずからの労働人生についてゆっくり眺めてみる時間、取ってみようかなぁ。皆さんもぜひ。

ではではまた次回。Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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