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東大寺領荘園の中心的寺院 伊賀・玉瀧禅寺

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現在の玉瀧禅寺(小型無人機で撮影)

【伊賀名所シリーズ 今と昔②】

 戦国時代の連歌師・能登永閑が著した「伊賀國名所記」に江戸後期の入交省斎が注釈を加えた「標注伊賀名所記」には、伊賀の名所を上空から見おろしたように描いた絵が添えられている。紹介された伊賀の名所が現在はどうなっているのか、上空からドローンで撮影し、比べてみた。

標注伊賀名所記の「玉瀧寺」(国文学研究資料館所蔵)

 三重県伊賀市玉滝の玉瀧禅寺(戸上宗浩住職)は、臨済宗大徳寺派の寺院。10世紀に成立した東大寺領の荘園「玉滝荘」の中心的寺院として発展した。

 室町時代には、関白一条兼良が旅の途中で宿泊したことで知られる。天正伊賀の乱で焼失後、江戸時代の寛永年間(1624から44年)に京都大徳寺高桐院の清巌和尚によって再興された。

 標注伊賀名所記では、同寺を南上空から眺めた構図で、本堂や庫裏などが描かれている。同寺は度々火災に遭い、昭和から平成にかけては大掛かりな大修理をしているが、本堂や山門などは江戸期の面影を今なお残している。

 名所記では山門の右側に2本の松が描かれているが、現在は残っていない。戸上住職は「かつて寺の名物だったが、昭和40年代の台風で倒れてしまった。その松を輪切りにしたものが、今も蔵に残っている」と振り返った。

2本の松が写る玉瀧禅寺の古写真

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