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【地震】マンション住民は避難所に入れない!?  子育て家庭が気づかない意外な落とし穴

コクリコ

震災大国の日本。マンションで見落とされがちな地震リスクとは? 特に子育て家庭は注意が必要。チェックリストで詳しく解説します。

【チェックリスト】我が家は大丈夫? マンションの地震リスク・在宅避難時に確認すべきこと

「地震が起きても、避難所に行けば安心」そう思っていませんか?

実は、多くのマンション住民は避難所を利用する人数にカウントされていません。

行政の規準では、避難所を利用する「避難者数」として算定されるのは「自宅が全壊または半壊となり、住めない状態になった人」。

もちろん、断水やエレベーターの停止によって住み続けられなくなるケースは想定されているものの、基本的に「マンションは壊れにくい」と考えられており、マンション住民は在宅避難が前提なのです。

(参考:東京都/ 被害想定手法)

※注:1981年6月1日以降に建築確認を受けたマンションを含む建物は、「新耐震基準」に基づき、震度6強~7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊しないことを目標に設計されています。また、高層マンションの中には、免震構造や制震構造を採用し、長周期地震動への対策が講じられているものもあります。

マンション災害時のリスクと対策は?

では、マンションにいれば何も心配はないのでしょうか。残念ながらそうとは言い切れません。

停電でエレベーターが止まり、水を運ぶのもひと苦労。子育て世帯には想像以上に過酷な現実が待っているのです。

マンションに住む子育て家庭が抱えるリスクについて、専門家に聞きました。

マンションで見落とされがちな地震リスク

NPO法人・かながわ311ネットワークの代表理事を務める伊藤朋子さんは、マンション特有の危険性についてこう教えてくれました。

伊藤さん……「マンションの便利さは、電気や管理サービスなどに支えられています。ひとたび地震が起きると一気に不便になり、困ってしまうケースが多いのです」

ーーーーーーーーーーーー
マンション被災のリスク例
ーーーーーーーーーーーー

・電気機器がすべて使えなくなり、火災報知器も停止

・インターホンやオートロック、自動ドアが停止

・エアコンなどの冷暖房家電が使えなくなり、熱中症や低体温症の危険性が

・停電・断水によりキッチン・トイレ・風呂場など水回りの使用ができなくなる

・エレベーターが停止。照明が使えず、真っ暗な階段を登り降りすることに

・物資が手に入っても、階段しか使えないため、運ぶのが困難に

・テレビ・固定電話が使えず、情報が入らない

・管理人やコンシェルジュによるサービスが停止

・コールセンターなどのサポートも使えなくなる可能性
ーーーーーーーーーーーー

【注:5階建て以下ぐらいのポンプを使わず自然圧で給水しているマンションは、停電時でも水が出る場合がある。ただし、断水はどのような設備でも起こる可能性がある】

同団体理事の石田真実さんも、マンションで在宅避難する際の大変さを強調します。

石田さん……「電気・水道・ガスが止まってしまうと、冷暖房もトイレも使えない状況の中、親子で何日も過ごすことに。親御さんが不安になると、お子さんも敏感に察します」

管理人室やコールセンターなどの機能が停止するのも大きなリスク。自宅で孤立する恐れにつながります。

マンションならではのメリットが、被災時には失われてしまう。

ショッキングですが、その現実を知っておくことが防災の第一歩となるのです。

わが家の備え、まずはチェックリストで確認しよう

災害時に慌てないためには、「わが家はどうか」を具体的に考えることが大切。

かながわ311ネットワークでは、「自助の備えチェックリスト」を公開しています。

現状、私たちはどれくらい備えができているのでしょうか。以下のポイントをチェックしてみましょう。

(参考:かながわ311ネットワーク/「自助の備えチェックリスト」)

1.住んでいる地域の災害リスク

1-(1)自分が住んでいる地域のハザードマップを確認したことが
□ある
□ない

1-(2)自分の家は、ハザードマップで「リスクあり」とされていないので
□安心だ
□必ずしも安心とは言えない

石田さん……「ほとんどの自治体では、インターネット上でハザードマップを公開しています。『自治体名 ハザードマップ』で検索すると、お住いの地域の災害リスクが分かるはずなので、一度見てみることをおすすめします」

伊藤さん……「ハザードマップ上リスクがあっても、免震・制震構造がしっかりしていたり、備蓄倉庫が上層階にもあったりなど、適正な対策がなされているマンションであれば影響は大きくありません。最近はマンションの災害対策を自治体が評価する動きも増えてきました。不動産仲介業者に聞くと情報を得られる場合もありますので、住んでいるマンションの災害対策についても調べてみましょう」

2.自宅の地震リスク

2-(1)家具・家電の転倒防止を
□している
□しているが十分とは言えない
□していない

2-(2) ガラスの飛散防止を
□している
(□窓・□食器棚)
□していない

2-(3) ベッドや布団のそばに足を守る履物と停電しても使える灯りを
□備えている
(□履物・□灯り)
□備えていない

2-(4)
① 消火器を
□設置している
□設置していない

② 感震ブレーカーを
□設置している
□ 設置していない

3.在宅避難の備え

① 停電しても使えるラジオ
□備えている
□備えていない

② 乾電池、蓄電池など
□備えている
□備えていない

③ 非常用トイレパック(5回×人数×最低3日分)
□備えている
□十分とは言えない
□備えていない

④ 水(飲料用+調理用)
3L×人数×最低3日分を
□備えている
□十分とは言えない
□備えていない

⑤ 食料(最低3日分)
□備えている
□十分とは言えない
□備えていない

⑥ 停電しても使える調理器具
・カセットコンロ 
□備えている
□備えていない

・ガスボンベ 
□備えている
□十分とは言えない
□備えていない

・カセットコンロで使える鍋 
□備えている
□備えてない

・耐熱ポリ袋(湯煎調理や食品の保存等に使用) 
□備えている
□備えてない

・皿
□備えている
□備えてない

伊藤さん……「カセットコンロがあれば、常備しているお米やパスタが料理できるのでとても便利です。一方、明かりには決して火を使わないで。LEDランタンや、両手が空くヘッドランプなどがおすすめです」

4.家族との連絡手段

4-(1) 家族と連絡方法を話し合って
□複数の連絡方法を決めている
□一つは決めている
□決めていない

4-(2) 災害用伝言ダイヤル「171」やWeb171を
□使ったことがある
□使ったことがない

石田さん……「共働きなど、昼間は家族がバラバラの場所にいるケースも多いことでしょう。いざというときに備え、『子どものお迎えは誰がするか』『お互いに連絡がつかなかったときはどうするか』を決めておくと良いですね」

伊藤さん……「大切なのは、離れた場所にいても『元気でいる』という情報が互いに得られる体制を事前に作っておくこと。不安が軽減され、冷静な判断に繋がります」

「備えていない」「決めていない」などにチェックが付いた項目は、対策が必要です。

とはいえ、「子育てで忙しい中、すべて準備するなんて無理」という方も多いのではないでしょうか。後編では、子育て中の私たちでも手軽に始められる、具体的な防災への備えを解説します。

取材・文/中村 藍

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