八王子織物工業組合 桑都スゴロクを寄附 街の理解深め 小学校で活用へ
八王子が「織物のまち」であることを楽しく学んでほしいと、八王子織物工業組合が2月21日、「桑都・八王子クイズ・スゴロク」70枚を全市立小学校・義務教育学校へ寄附した。帝京大学経済学部観光経営学科の学生らが多くの人に織物産業への理解を深めてもらおうと制作したもので、今後、順次配布し活用していく。
スゴロクは、縦72・8cm、横103cmのB1判。スタートからゴールまでの43マスのなかに、1584(天正12)年頃から現在までの、八王子のまちや織物産業の歴史が紹介されている。「?」のマスでとまるとクイズカードを1枚引き、答えるのがルール。マス目には「【江戸時代〜昭和時代】農業の合間に蚕を育て、生糸や織物を売っていた」「【1887(明治20)年】奮起した織物仲買商人が八王子織物染色講習所(後の東京府立織染学校)をつくる」などの文章と共に、当時を連想できる写真も掲載。スゴロクで遊びながらクイズに答えることで、織物産業がまちの発展とどう関わり合ってきたか理解を深められる内容となっている。
21日に八王子市役所で行われた寄附受領式には、八王子織物工業組合の樫崎亮一理事長と帝京大学同学科の今野久子准教授、制作に携わった学生として小林美瑠さんらが市庁舎を訪れた。
初宿和夫市長が制作で工夫した点や苦労した点を尋ねると、小林さんは、情報がたくさんある中でポイントを絞るのが大変だったことや、織物と街の発展の関わりの歴史を伝える視点を大事にしたと答えた。「つくりながら八王子の魅力を知ることができ、自分自身も興味がでてきた。いい経験だった」と小林さん。
同大学の経済学部は、2023年に開催された「大学コンソーシアム八王子学生発表会」で、「日本遺産『桑都』と『織物』を生かす、持続可能なまちづくりの提案〜親子・学生との連携により『桑都』八王子への関心を深める試み〜」と題してプレゼンを行い、観光・まちづくり提案セッションで最優秀賞を受賞。提案した内容を継続して実施し、スゴロク制作はその一環として行われた。完成品を見た同組合が、学校に配ろうと提案し印刷。市教育委員会へ寄附した。
今野准教授は「学生らは資料館に何度も足を運び、掲載写真などにもこだわった。なんとなく知っているけど詳しく知らない、という人にこそ遊んでほしい」と話している。
市教委は各学校にスゴロクを配布し、PDFデータでも共有する。社会科の授業などで活用する予定。