侵入されやすい家には共通点があった。「狙われやすい家」“4つの特徴”
各地で相次いでいる民家への強盗犯罪。被害に遭うリスクを減らすために、より一層の防犯対策が求められます。防犯研究の専門家である山田恭司さんによると「狙われやすい家には特徴がある」とのこと。詳しく教えていただきました。
教えてくれたのは……山田恭司さん
旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE総合研究所主任研究員。一級建築士、防犯設備士の資格を保持している。
「空き巣」と「強盗」どちらの対策も必要
近ごろ闇バイトによる強盗事件が相次いでおり、世間では防犯対策の意識が高まっています。被害に遭うリスクを減らすためには、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。
山田さんによると、対策をするべき犯罪には主に2つのタイプがあるとのこと。従来どおりの空き巣対策を行いながら、強盗対策も併せていくことが重要なのだそうです。
1.「従来型の侵入窃盗」
単独犯による空き巣など。発生件数では圧倒的にこちらのタイプが多い。
2.「匿名・流動型犯罪グループなどの強盗犯罪」
闇バイトの素人など複数犯による犯行。SNSなどを通じて離合集散するなど、つながりが流動的で匿名性の高い通信手段を活用した犯罪。強盗犯罪は全体の1%程度の比率。
山田さん「例えば、5年から15年ほど前に名古屋でよく発生していた“複数人で車で乗りつけてバールで玄関をこじ開ける空き巣被害”や、2022年から2023年のルフィ広域強盗事件のように“電話で業者を装って日中に家を訪れ、玄関を開けさせたところで押し入る犯罪”など、さまざまな手口があります。
その特性に応じた対策が必要になりますが、これからは侵入窃盗と強盗犯罪の両方に対応する予防策をとっていくことが重要です。」
犯罪に狙われやすい戸建て住宅「4つの特徴」
2024年9~10月に発生した闇バイトによる戸建て住宅を狙った犯罪(8件)の報道映像と地図から推測すると、匿名流動型犯罪が発生した住宅には似た傾向が見られるのだと山田さんはおっしゃいます。4つの特徴を教えていただきました。
1.家族構成:高齢、女性
2.時間帯:深夜、早朝
3.立地:閑散地
4.住宅の特徴:大きく割れやすいガラス
山田さん「共通点が多いことから、犯人は明らかに下見をして狙ったことが推測できます。指示役から素人でも割りやすい侵入箇所を指定されたかもしれません。また不用品回収やリフォーム、水道業者を装って事前に下見した可能性があることが報道でも伝えられています。
住宅街というよりは、周囲に空き地が多く、ポツリと一軒だけ建っているような住宅で被害が起こっていました。夜になると人通りが減り、人目がない場所で犯罪が発生しやすいと考えられます。閑散地のため道幅も広くあり、車を停めやすく、逃げやすいことも傾向のひとつです。
また、勝手口や出窓などの大きな窓が狙われる傾向にあると推測できます。防犯対策が施されていない網入りガラスや普通のガラス窓、そして鍵が1つしかない勝手口からの侵入が多いようです。バールやハンマーなどで叩くなど、闇バイトの素人でも簡単にできることを指示されたのではないかと想像します。そのため、窓の防犯対策を強化することは非常に重要な対策のひとつだと言えるでしょう。」
犯罪者の3つの行動シーンを考えた対策を!
前述の犯罪の特性から、犯罪者の3つの行動シーンを考えた防犯対策をするとよいのだそうです。
1「狙われない」
2「入らせない」(家に入らせない、敷地に入らせない)
3「入られてしまったら」
山田さん「“狙われない”では、きちんと戸締りをしてスキを見せず、TVインターホン等で見知らぬ訪問者を家に入れないなどの対策を講じます。“入らせない”は2段階あり、どのような立地でも窓の外装品やガラスの強化による“家に入らせない”対策で、侵入者が侵入するまでの時間を稼ぎ、住宅地では“敷地に入らせない”対策で未然に犯罪を予防することが、日ごろからできる予防策です。それに加えて、万が一侵入者に“入られてしまった”ときの対処法を知っておくことも、緊急時に備えるうえで重要になります。」
次回以降の記事で“犯罪者の3つの行動シーンを考えた防犯対策”を詳しくご紹介します。
※画像はすべてイメージです。
◆第2回 「狙われない」:空き巣や強盗に狙われないための“4つの対策”(12月28日公開)
◆第3回 家に 「入らせない」:侵入までの時間を稼ぐ!空き巣や強盗を入れない「窓」にする“5つの防犯対策”(12月30日公開)
◆第4回 敷地に 「入らせない」:住宅地で敷地への侵入を防ぐ"4つの対策”(1月2日公開)
◆第5回 「入られてしまったら」:“侵入後”の想定も大事だった!「強盗事件」に備えて今からできる“3つの対策”(1月5日公開)
shukana/webライター