『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第8話「月に墜(堕)ちる」用語解説(ルナツー、ソロモン、ジオン工科大、ジフレド、イオマグヌッソ、シロウズ)
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の世界をより深く堪能していただくために、本稿では第8話「月に墜(堕)ちる」に登場したキーワードを中心に、その背景や関連事項を解説します。
今回登場する「ルナツー」や「ソロモン」といった宇宙要塞の存在はもちろん、「ジオン工科大学」や、「ジフレド」、謎めいた「イオマグヌッソ」、そして新たな登場人物「シロウズ」など、本話にはガンダムシリーズの深層を照らす重要な要素が多数盛り込まれています。
本作と『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)は、世界観を共有しているだけでなく、歴史や科学技術、勢力の成り立ちに至るまで多くの接点を持っています。それらの繋がりを紐解きながら、『GQuuuuuuX』という新たなガンダム世界の魅力を、多角的にお届けできればと思います。
また、今回の記事はガンダムシリーズに初めて触れる方にとっても、背景や専門用語を理解しやすい内容を心がけています。これを機に、より深い物語世界への一歩を踏み出していただければ幸いです。
本記事はネタバレを含みますため、未視聴の方はご注意ください。
ルナツー
ルナツーは、第二の月を意味する小惑星。地球連邦軍が所有する宇宙要塞を指す。地球から見て月と反対側のラグランジュポイントに位置する。
『ジークアクス』においては、第8話の序盤でマ・クベがビグ・ザムを用いて落とそうとする戦場である。劇中では、キシリアの側近がこの戦局を「ルナツー攻略」と呼称している。
ソロモン
ソロモンは、元ジオン公国軍が所有していた小惑星で、宇宙要塞を指す。地球進攻の足がかりとなる重要な要塞として、ジオン公国軍宇宙攻撃軍を指揮するドズル・ザビ中将が座乗した。
『ファーストガンダム』では、ソーラー・システムによって一部に大打撃を受け、ビグ・ザムに搭乗したドズルがアムロの搭乗するガンダムに敗北し、守りきれずに陥落する。
『ジークアクス』においては、『ファーストガンダム』と同様にソーラ・レイを利用され、ドズルが連邦のパイロットに敗れる。この時の相手は、セイラ・マスが搭乗する白い軽キャノンである。
第8話の序盤には、すでに連邦の指揮下にあり、ソロモンの全体像を映す場面にホワイトベース(もしくはペガサス級強襲揚陸艦)が含まれている。
「連邦軍は宇宙での拠点を全て失うことになります」
このセリフは、地球連邦軍が宇宙に持つ主要な二つの拠点、ルナツーとコンペイトウ(ジオン公国軍側での呼称はソロモン)の両方を指す。ルナツーは第8話序盤でマ・クベ率いるビグ・ザム部隊が強襲中であり、コンペイトウはセイラ・マスが搭乗する白い軽キャノンの活躍によって連邦軍が奪取した拠点である。
「ザビ家の女が率先して逃げ支度では士気に関わろう」
キシリアのセリフ。『ファーストガンダム』の最後では、父殺しを理由にギレンを銃殺したあと、劣勢となった戦局を見て、最終決戦地ア・バオア・クーからの早期撤退行動に移るシーンを知っていると、意味深に聞こえる。
「グラナダこそ本国の生命線」
ジオン公国が位置するサイド3は地球から見て月の裏側のさらに奥に配置されており、月の裏側にあるグラナダは、本国(サイド3)の最終防衛ラインとしての役割を持つ。
トクワン&デミトリー
トクワンは、第8話で「ならば我々は、このまま指を咥えて見ているだけか」とマリガンに食ってかかる人物。
『ファーストガンダム』第31話「ザンジバル追撃!」において、グラブロに搭乗して登場する。ガンダムを追い詰めるものの、一瞬の慢心が災いして撃破される。『ジークアクス』でのCVは佐々木啓夫である。
第8話のトクワンの傍らにいるのがデミトリー。『ファーストガンダム』第32話「強行突破作戦」の序盤にザクレロのパイロットとして登場。トクワンの仇を討てず、ガンダムに撃破される。
インプロージョン地点
インプロージョン地点とは、外部からの圧力によって内部へ崩壊するポイントを指す言葉。核融合が臨界点に達する際、その中心を指す場合もある。作中では、シャアがソロモンの破壊を目指し、誘爆させるザクを設置するポイントを指す。
ソーラ・システム直撃跡
『ファーストガンダム』において、アムロが直撃跡を見て「あれか、新兵器の破壊した跡はすごいな」と発言する場所を指す。基地機能はすべて破壊されており、地球連邦軍も再利用が不可能であるため、この地点の防衛の弾幕は薄くなっていると考えられる。
アルテイシア
アルテイシアとは、シャア・アズナブルの妹であるセイラ・マスの本名。「アルテイシア・ソム・ダイクン」がフルネームである。シャアの本名は「キャスバル・レム・ダイクン」。
「ゴー・アスターン(Go astern)」
第8話作中でドレン(ソドンの館長)が叫ぶセリフ。船舶の操船において「後進する」「後ろへ進む」という意味で使われる英語のフレーズである。
「時が……見える」
『ファーストガンダム』第41話「光る宇宙」において、ララァ・スンがアムロ・レイのビームサーベルに貫かれた際、走馬灯(『ジークアクス』における「キラキラ」)の描写の中で発した最期の言葉。
『ジークアクス』でも、シャアが同じことを言っている。
月に墜ちる
第8話の前半パートのサブタイトル。「墜ちる(おちる)」とは「重いものが下へ落ちる」ことを強調する際に使われる。前半では、ソロモンはゼクノヴァによって落下を回避しており、月に墜ちていない。
ジオン工科大
ジオン工科大は、サイド3(ジオン公国のお膝元コロニー)において最も優れた学府のひとつである。永住権カードには学士号が必須であるとエグザベが語っていることから、移民にとって学位は価値ある人物の証明であるといえる。第6話で映るニャアンの書棚には「ジオン工科大」の赤本があり、ニャアンが「移民からの脱出と安定した環境の確保」を望んでもがいている様子がうかがえる。
スカラシップ
スカラシップとは、一般に「奨学金」を指す言葉である。現実社会では、研究や就学を支援するために支給され、返済不要の「給付型」と、卒業後に返済が必要な「貸与型」の2種類が存在する。
『ジークアクス』でのニャアンのスカラシップは、キシリアの縁故推薦を考慮すると、特大級の支援を意味する「給付型」であると考えられる。
「サイド2から逃げるとき、たまたま目の前にあった」
これは、エグザベの「モビルスーツの操縦をどこで?」という質問に対するニャアンの返答を指す。パイロットになるきっかけが、アムロ(『ファーストガンダム』の主人公)やカミーユ(『Zガンダム』の主人公)といったニュータイプパイロットと同様に、偶然モビルスーツに乗り込む状況であったことを示唆する。第1話では、同じような出会い方でマチュもジークアクスに乗り込んでいる。この状況は、物語的な特異点の発動とも解釈できる。
この返答に対し、エグザベはモビルスーツに乗れたこと自体には驚かず、むしろ相手の戦争体験を気遣う素振りを見せる。エグザベが優しい人物であることと同時に、この状況の重大性には気づいていないことがうかがえる。
ジオン突撃起動軍 グラナダ海軍工廠(かいぐんこうしょう)研究所
工廠(こうしょう)とは、軍事施設に直接所属し、軍需品を製造する工場を指す。この研究所は、モビルスーツおよび戦艦の製造場所であり、キシリア配下の海軍工廠であると考えられる。ジークアクスもこの研究所で開発された可能性がある。「突撃機動軍」という名称や、キシリアがニャアンに求めている内容から推測すると、人工的に「ゼクノヴァ」を発生させる研究を行っていた可能性も示唆される。
7話の「イオマグヌッソ 建設事業計画」とも関係がありそう。
GFreD(ジフレド)
ジークアクス2号機である「ジフレド」は、呪われた機体として登場する。ニャアンの第一印象では、誰かに似ているものの思い出せない顔つきであり、最終的にはキシリアに似ていると思い出す。ミゲルからはその存在を「ディアブロ」と呼ばれている。側頭部にファンネルらしき武装を実装しており、パイロットの意思に呼応して連動し、コックピットに搭乗せずとも操作が可能である。
第7話でジークアクスもマチュを守るために未搭乗での起動を見せたことから、外部操作はジークアクスシリーズにおける共通機能、もしくはニュータイプパイロットの特性によるものと考えられる。
ミゲル・セルベート
ミゲル・セルベートは、エグザベを含むスクールの同級生4人のうちの1人。ケーキを焼くことが趣味(?)。政治闘争に巻き込まれ、その思想や主義の渦に翻弄される、ある意味で政治闘争の被害者といえる。殺人を自己正当化する発言もあり、洗脳されている状態にあると思われる。CVは八代拓。
ギレン派
ギレン派とは、キシリアの兄であるギレン・ザビを支持する勢力を指す。8話では多数のギレン派が登場。ギレンとキシリアは不仲であり、戦勝以来一度も会っていない。これは互いに対する暗殺の警戒によるものである。ギレンは、サイコミュ技術をキシリアが独占していることに不満を抱いており、第8話では、ギレン派たちによってクローン強化人間を開発している噂があると語られている。
クローン強化人間
クローン強化人間は、ギレンの指揮のもとで研究が進められ、まもなく実戦投入されると噂される人物兵器である。対サイコミュ技術、ひいては対キシリア対策として開発されていることから、ニュータイプに関連する存在であると推測される。また、ジフレドに搭乗させることを目的としている模様である。
ディアブロ
ディアブロ(Diablo)は、スペイン語で「悪魔」を意味する言葉である。英語の「デーモン(Demon)」と同義。キリスト教文化圏においては、「邪悪な存在」や「堕天使」といった意味合いも含む。
ニャアンがジフレドを腕力で登りあげるシーン
このシーンの舞台は月面にあるグラナダであり、地球の約6分の1の重力しかない。コロニーが地球と同じ重力である場合、グラナダに到着したばかりのニャアンは地球の重力に慣れており、身体能力が極めて高い状態にあると考えられる。そのため、あの超人的な動きが可能であったと推測される。一方、追いかけるミゲルは月面重力に身体が対応しているため、ニャアンのように自由には動けない状況にある。
イオマグヌッソ
イオマグヌッソとは、アサーブが「ジオンと人類を滅ぼす悪魔の機械」と呼び、キシリアも「だからこそ、総帥(ギレン)に与えるわけにはいかんのだ」と発言する、謎の存在である。
第7話には「イオマグヌッソ建設事業計画」という類似ワードが登場していることから、何らかの巨大な計画や兵器に関連するものと推測される。
シロウズ
前髪で視線を隠す、スーツ姿の金髪の男性。「同じ便で機材も運べることになりまた」と言っており、後ろには巨大な荷物が、移動している。巨大な荷物は、みたことがあるような外観。イオマグヌッソの建設現場に配属されている。CVなども未発表。
ティルザ・レオーニ
レオ・レオーニ博士の娘。CVは、前田玲奈。
レオ・レオーニ博士
名前だけ登場。シロウズがお気に入りらしい。
ガンダム・フレド
シロウズとティルザの会話から出てきたガンダム。実際にモビルスーツとしてのガンダムなのかなど、詳細は不明。
「作戦行動中軍艦から脱出なんて可能なのか?」
エグザべのセリフ。『ファーストガンダム』では、アムロは脱走している。マチュの場合は、誰かの誘導で脱走の線も……。
月に堕ちる
第8話の後半パートのサブタイトル。「堕ちる(おちる)」とは、好ましくない状態や悪い状況に陥ることを強調する際に使われる。資料例は、「俗に堕ちる(世俗的な欲望に溺れる)」「地獄に堕ちる(堕落して、地獄に落ちる)」「堕天使」など。