フランスのノウハウから生まれたノンアルコール・スパークリング「フレンチ・ブルーム」
フランスでノンアルコール飲料の販売が伸び続けている。これを求めるのは、必ずしも、体質的にアルコールが合わない、あるいは健康上の理由などで禁じられている人たちだけではない。普段ワインを楽しむ人たちが、時と場合によって、ノンアルコールワインを選び、体調や生活のバランスを取る傾向が加速している。その為、今やノンアルコール飲料は酒販店の品揃えに不可欠になっている。
シャンパーニュに匹敵する品質
この流れに乗って注目されているのが、ノンアルコールの発泡性ワイン「フレンチ・ブルーム」(French Bloom)。このほど、パリのレストラン「アラン・デュカス・バカラ」でプレスを対象に、2月1日発売した新製品「エクストラ・ブリュット」、そして、販売中の「キュヴェ・ヴィンテージ2022」の紹介が行われた。
「エクストラ・ブリュット」はアルコール0.0%、無糖、亜硫酸塩無添加。原料となるブドウはラングドック地方、リムーでビオ栽培されたシャルドネを100%使用している。
アペリティフ向けの軽く喉越しのよいスパークリングではなく、食事と合わせて楽しむ製品として開発された。そのため、ベースになるワインはアルコール除去後もしっかりした構造を保つ必要があり、それに適うブドウを得られる産地としてリムーに注目した。海洋性気候のリムーは伝統的にシャルドネとピノ・ノワールが栽培され、16世紀に遡る発泡性ワインの生産地でもある。
食事と合わせて楽しむ - リムー産シャルドネ100%の贅沢な味わい
「エクストラ・ブリュット」
原料ブドウは標高300メートルにある石灰と粘土質土壌の畑で栽培され、新鮮さを保つために早い時期に収穫される。これにより、しっかりした酸があり、フレッシュでミネラルが感じられキレのよいワインが出来上がる。全体の30%を樫の樽で熟成している。
グラスに注ぐと、泡立ちが大変細かく、黄金色の輝きがある。香りには白い花や干しアンズのニュアンスがあり、味わいは大変引き締まっている。そして、後口に微かに塩味が感じられる。
構造がしっかりしていて、スパークリングというより、高級ワインを味わっている感覚がある。食事の席では、このボトルに合わせてキンカンとマラバーコショウで味付けしたホタテ貝などがサービスされた。
「キュヴェ・ヴィンテージ2022」
こちらも、原料ブドウは標高300メートルにある石灰と粘土質土壌の畑で栽培され、新鮮さを保つために早い時期に収穫される。長期熟成によって、少しマデラ香が出た発泡性ワインを感じさせる製品で、ブルゴーニュの新しいバリックで8カ月間熟成している。アルコール0.0%、亜硫酸塩無添加。
大変濃い色で、泡は非常に細かく、ほとんどスティルワインのようだ。口に含むと長期熟成したシャルドネワインの変化香が広がり、力強さが感じられる。この製品には、食事の席でマトウダイのアーティチョーク、黒トリュフ添え、そして、ヴァンジョーヌ入りクリームがけの家禽料理が提供された。
「フレンチ・ブルーム」はシャンパーニュ・テタンジェの名門ファミリーに属する、ロドルフ・フレールジャン・テタンジェ氏と妻のマギーさん、そしてコンスタンス・ジャブロンスキーさんの3人が2019年に共同で創設したブランド。この計画に賛同した「ペトリュス」の代表ジャン・ムエックス氏やベアトリス・コアントロー氏が資金を援助してくれたという。
ワインの香りと個性を失わない最新技術 - 真空低温蒸留法の革新
研究開発ディレクターでもあるロドルフ・フレールジャン・テタンジェ社長は、ベースになるワインが持つ香りや個性を失わずにアルコールを除去する方法を模索し、4年間の研究を経て最新鋭のテクニックを開発した。ワインを真空状態にし、低温32℃で3回に分けて蒸留する方法で、初回の蒸留でワインのアルコール分が14%から3%に下がり、2回目に3%から0.5%に、最終回で0.0%になる。
「良質のノンアルコールワインを造るには、テロワールの個性を反映することが不可欠だ。『フレンチ・ブルーム』はスーパーに並ぶ手軽なノンアルコール・スパークリングとは一線を画し、高級シャンパーニュや高級ワインと互角に味わえる製品と位置付けている」とフレールジャン・テタンジェさんは強調する。
2021年に最初の製品1万本を発売して以来、販売は右肩上がりに増え、2024年は50万本を生産した。主な販売先は高級レストラン、ワイン専門店だが、一般消費者向けにオンライン販売も行い、これが全売り上げの20%を占める。現在、日本を含む世界50カ国に輸出している。
好調な業績を受けて、2024年10月に「モエ・ヘネシーグループ」が一部資本参加し、戦略的パートナーシップを結んだ。当面の生産目標は300万本、リムーにブドウ畑を購入する計画もあるという。