厚木市回覧板 電子化へ利用自治会募る 役員負担軽減へ6月開始
厚木市は、自治会が利用する回覧板の電子化に向け、導入を希望する自治会の募集を始めた。回覧板の運用に伴う自治会役員の負担軽減やデジタル化の推進につなげたい考えで、新年度の当初予算案に約400万円を計上。6月からの運用を目指す。
自治会町内会向けアプリ「いちのいち」は、小田急電鉄(株)が提供する登録制SNSサービス。回覧板で回していた情報をスマートフォンなどでも確認でき、県内では海老名市や秦野市などが導入している。
アプリでは、自治会による地域行事のお知らせといった情報に加え、広報あつぎや公民館だよりなど自治体の発行物も閲覧できる。回覧板による伝達方法と比べて情報を一斉配信でき、アプリ上に回覧情報が残るため行事日程の再確認なども簡単に行えるようになる。
印刷や仕分け不要に
回覧板電子化の背景には、自治会役員の負担軽減という狙いがある。市市民協働推進課によると、回覧資料の印刷や発行物の仕分けなどが自治会運営を圧迫しているという声もある中、昨年2月に小田急電鉄と覚書を締結したことを機に、現在9カ所の自治会でアプリを使ってもらい検証を行っている。
同課では、活動の負担を減らすことでイベントなどの行事に注力してもらい、未加入世帯との接点を増やす効果も期待する。市内の自治会加入率は55・8%にとどまっており、「未加入世帯にも自分たちが住む自治会がどんな活動を行っているのか知ってもらい、加入を検討してもらうきっかけになれば」と話す。
スマートフォンなどの利用に慣れない高齢者も多いことから、従来の回覧板は廃止せずアプリは希望する自治会向けに提供する。6月の利用開始に向けて自治会を募り、20カ所程度での運用を目指す。
運用の手間、どう減らす
700世帯ほどが加入するみはる野自治会(岩崎正昭会長)では、昨年夏ごろから検証に参加している。
同自治会は、数年前から通信アプリ「LINE」を使った同様の回覧板電子化に取り組んでいる。そのため「いちのいち」の利用者は30人ほどにとどまるが、それぞれのサービスを活用することで回覧板に挟む資料の印刷の手間などが省けているという。
岩崎会長は「広報など行政による発行物の確認には便利だが、課題は自治会独自の情報をどう伝えるか。システムの管理にはそれなりの手間がかかり、行政のサポートが必要だ」と話した。