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琉球ゴールデンキングス、3連勝で良化の兆し…アルマ電撃退団後の変化と「Mr.everything」ランダルが照らす再構築の道

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試合後、キングスファンに手を振るランダル(長嶺真輝撮影)
富山のエースとマッチアップするアンドリュー・ランダル=11月5日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスが、再構築への道を歩み始めている。 10月27日にあったケヴェ・アルマの退団という電撃発表から、まだ10日ほど。主力外国籍選手の一人だったアルマは高い身体能力と献身的なプレーでチームを下支えしていただけに、今も衝撃の余韻が残る。 しかし、チームは11月1、2の両日にあった越谷アルファーズとのアウェー戦を68-65、77-59、同5日の富山グラウジーズとのホーム戦を91-81で制し、目下3連勝中。いずれも下位チーム相手とはいえ、チーム全体でアルマの抜けた穴を補い、良化の兆しが見え始めている。 2013年でキングスでプロキャリアを始め、古巣復帰となったアンドリュー・ランダルの緊急補強も転機の一つだ。身長198cm、体重109kg。2020-21シーズンにはB2で得点王に輝いた。35歳というベテランで、深い戦術理解とリーダーシップを兼ね備えた万能型フォワードである。 岩手ビッグブルズ時代に共闘している桶谷大HCは、現役時代の背番号5がキングスの永久欠番となっているアンソニー・マクヘンリーACを引き合いに出し、「彼は1番(ポイントガード)から5番(センター)までできる“Mr.everything”。マクヘンリーを彷彿とさせる選手です」と称賛する。

桶谷HCが語った序盤戦との違い

審判とコミュニケーションをとる桶谷大HCら(長嶺真輝撮影)

13試合を消化し、8勝5敗で西地区5位につけるキングス。まさかの開幕2連敗でスタートし、10月は5勝5敗だったことを考えれば、白星が先行する現状はファンにとって多少の安堵感を生んでいるだろう。 富山戦後、桶谷HCは負けの混んだ序盤戦について「試合を見返しても、自分たちがどれだけ低いスタンダードで戦っていたのかと感じます」と率直に振り返った。東アジアスーパーリーグ(EASL)も含め、中2日で2連戦と水曜ゲームが続く中、プレーの高いスタンダードを保てずにいた。 その上で、指揮官は「自分たちができること、100%ハードワークをするということが大切だったのですが、選手もコーチもそれが欠けていたと思います」と続ける。一方、徐々に貯金が増えてきた最近の試合では「みんながそれを受け止めて、出る選手がまずはハードワークをするということはしっかりやってくれています」と話し、好転してきた感覚があるという。 越谷との初戦と富山戦は接戦の時間帯も多かった。それでも我慢して勝ち切ったことに対して好感触を語る。 「オフェンスが良い選択で終われるようになってきたことと、ディフェンスの重要な場面でワンストップしたり、相手のターンオーバーを誘ったりすることができてきました。レギュラーシーズンが60試合ある中で、きれいに勝てる試合はほとんどありません。泥臭くディフェンスをして、リバウンドを取って勝つことが大切です。あと、ウイング陣のシュートがいい感じで当たってきだしていることも大きいと思います」

「心穏やかに…」岸本隆一がアルマ退団時に感じたコト

記者会見に臨む岸本隆一(長嶺真輝撮影)

また序盤戦の話に戻ってしまうが、10月中旬から昨シーズンのリーグ新人賞に輝いた脇真大の負傷離脱も続く。だからこそ、アルマの退団がチーム力をさらに削いでしまう懸念があった。 その時、チームはどう受け止めたのか。キングスの精神的支柱である岸本は「突然の出来事でもあったので…」と切り出し、こう続けた。 「ケヴェが退団した時、バスケットのことどうこうというのは本当に思わなくて、彼がこれからの人生で心穏やかに、活力を持って進んでいってほしいということを一番に思いました。チームがこうなっていくのかな、ああなっていくのかなというよりも、今いるメンバーで、自分たちが持ってる力をもう一回認識してプレーしていくことが大事かなと直感的に思いました」 退団の理由は明かされてはいないが、1シーズンと少しの期間を共に過ごした仲間の将来に心を寄せるのは自然な感情だろう。   一方で、アルマが抜けたことによるダメージは確実にあったはず。特に大きな懸念点はゴール下の支配力の低下だった。岸本も「彼がいたことによってつないできたリバウンドだったり、ペイントエリア周辺のプレーは補わないといけない部分」との認識を示す。 その点において、岸本が「ウイングの日本人選手が意識高くリバウンドに絡んでいて、少しずつ結果が伴ってきています」と指摘した通り、松脇圭志や小野寺祥太、佐土原遼らを中心にリバウンドへの積極性が明らかに増している。 数字の面でも、アルマが不在となってからの直近6試合のうち、4試合で日本人選手の合計リバウンド数が10本を超えた。 「できる範囲で、みんながプラスアルファの努力をする状況が生まれていて、それがいい循環を生むきっかけになると思います。その中に自分もしっかり入っていって、チームがより良くなるためのことを模索しながらやれたらと思います」 穏やかな表情を浮かべ、岸本はそう続けた。

相思相愛で短期契約したランダル「チームの力になりたい」

試合中、岸本とコミュニケーションをとるランダル(長嶺真輝撮影)

アルマが抜けた穴を埋めようとしている段階でランダルが加入したこともチームを勢い付ける要因となった。合流したてでコートに立った越谷との2連戦はいずれも二桁得点を記録し、富山戦はディフェンスやまわりを生かすプレーで存在感を見せた。 緊急事態における短期契約だが、オファーを受けた時点で本人に迷いはなかったという。 「(オファーがきた時は)素晴らしいフィーリングでした。またキングスに戻ってこられることはうれしかったし、マクヘンリーACや岸本、小野寺、あと桶谷HCは以前チームメイトだったので、即答でした」 マクヘンリーACと岸本はキングスで、桶谷HCと小野寺は岩手時代に共に戦った。桶谷HCも選手を探す中で「コーチ陣みんな満場一致でした。『スクーティー(ランダル)いるじゃん』という感じで。特にマックはすごい乗り気でした」と明かす。相思相愛の関係で成り立った緊急補強だった。 ただ、移籍してすぐにチームに馴染めるほど連係は容易ではない。チームづくりが深まっているシーズン途中ではあれば尚更だ。だからこそ、ランダルはコート上でよくチームメイトに話し掛ける。 特にチームオフェンスの中心にいる岸本、ヴィック・ローとのコミュニケーションは多い。「この2人は特に自分のことを信頼してくれている選手だと感じています。自分が常にオープンであることやリーダーシップを意識しながら、彼らとコミュニケーションを取っています」と言う。 富山戦では19分24秒の出場で1得点にとどまったが、意に介していない。「毎試合展開は違うので、そこを注視しています。今日(富山戦)は日本人選手やロー選手がすごくいいフィーリングでゲームに入れていたので、彼らに重きを置いてプレーできればと思っていました。自分がリーダーシップを発揮するのか、ベンチから鼓舞することが必要なのか、その都度判断しながらチームの力になりたいです」と冷静に語る。 豊富な経験に支えられた柔軟性は、今後の試合でも必ず生きてくるはずだ。

CS準決勝で死闘を演じた三遠との大一番へ

もがきながら、着実に白星を増やすキングスのメンバー(長嶺真輝撮影)

リーグの中断期間となるバイウイークまで残り5試合。11月8、9の両日には、昨季のチャンピオンシップ(CS)準決勝で死闘を繰り広げた三遠ネオフェニクスとアウェーで対戦する。 会場はその時と同じ浜松アリーナだ。三遠も主力外国籍選手の負傷離脱などが影響し、現状で6勝7敗と苦しい戦いが続くが、リーグの強豪同士、お互いにプライドをかけた戦いになるだろう。桶谷HCも序盤戦の山場に位置付ける。 「三遠も100%のメンバーがいる状態ではないと思いますが、お互いがプライドをかけて戦わないといけない。彼らもメンバーが変わってもそこは絶対崩したくないと思っているはずです。僕たちはアウェーでそれ以上のプライドと総合力を持って勝てるようにしたいです」 昨季のCS準決勝は怪我で欠場した岸本も「お互いに意識する部分もあると思います。自分は昨シーズン対戦できなかった分、自分の中で表現できたらいいなという思いももちろんあります。ただ、やっぱり勝ちたいですね。そこが一番だと思います」と決意を語る。 「アルマ退団」という予期せぬ試練にも下を向かず、チームの再構築を進めるキングス。泥臭く、我慢強く、チームで戦い、さらに連勝を伸ばしていきたい。

試合後、キングスファンに手を振るランダル(長嶺真輝撮影)

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