【川崎市多摩区】ながさわつながる新聞 長沢の魅力届け100号 地域と連携し、情報紙発行
長沢まちづくり協議会(多摩区/末吉一夫会長)が発刊する地域情報紙「ながさわつながる新聞」が、8月27日の発行号で100号となった。同協議会の事務局長で、紙面の編集を担う高橋弘幸さん(高橋工務店)は、「本当によく続いた。名前の通り、地域をつなげていくのがこの新聞の役割。今後も発行を続けていきたい」と思いを述べた。
つながる新聞はB4判2頁刷りで、地域の出来事やイベント、団体や個人の紹介、生活に役立つ情報などが細かく掲載されている。印刷・配布は朝日新聞販売店「ASA南生田」が、編集は高橋工務店が協力し、月1回程度のペースで同協議会が発行。多摩区長沢を中心とした周辺地域に、3500部から5000部を新聞折込と店舗への設置で配布している。
発行者の同協議会は、長沢商店会内の空き店舗活用事業をきっかけに長沢自治会をはじめとした近隣自治会、地域住民など約20人により、2007年5月に設立。多目的レンタルスペース「長沢ひろば」の管理運営(24年まで)や、地域の団体や学校などと連携してイベントに参加・協力するなど、住民交流の創出による魅力あるまちづくりに取り組んでいる。
「伝え隊」が創刊
新聞の創刊は2014年8月20日。まちおこしを目的に長沢商店会の店主や店員数人を中心に結成された「ながさわ魅力伝え隊」が、地域情報発信のために発行したのが始まりだ。現在と同じB4判で印刷された第1号には、自転車安全運転講習会などの地元ニュースや地域の人をリレー式で紹介するインタビュー、イベントの告知などが掲載された。
当初はオブザーバー的な立ち位置で発行に携わっていたという高橋さんは、「まずは情報発信が必要だということで、新聞の発行に至った」と振り返る。創刊後、地域に詳しい人の寄稿なども始まり、歴史や文化を伝承する内容も盛り込まれて深みを増していった。
「伝え隊」が49号まで続けると、50号からは同協議会にバトンタッチ。「地域のつながりを断ってはいけない」と、休まず情報を届けてきた。コロナ禍の20年3月には、一斉休校により学校という日常を失った子どもたちのため、2回にわたりクイズやパズルなど自宅で楽しめる企画を盛り込んだ号外を出した。
近隣住民による漫画やアートの寄稿、南生田小学校のわくわくプラザを利用する子どもたちが新聞記者として取材記事を書くなど、地域の協力も得ながら11年間でこのほど100号に到達。「本当に良く続けられた。子どもたちの原稿は発行の原動力になった」と高橋さんは微笑む。記念の100号には、佐藤直樹多摩区長をはじめ近隣自治会や商店会からの祝辞、新聞の沿革、漫画や書、俳句、コラムなどがフルカラーで載っている。
高橋さんは「地域の人の視点で作ってきた。イベントなどの情報を載せることで人と人をつなげられている」と思いを語る。一方、時代に即した情報発信や担い手不足などの課題にもふれ、「読み手から書き手、参加者から主催者へと地域の人の行動や意識に変化が生まれれば。まずはつながることから」と期待を込める。同協議会の末吉会長は、「地域の皆さんに長年読んでいただきありがたい。長沢を知ってもらい、地域とのつながりを深めていただくことが一つの目的。地元のことを把握するツールとして役立てていただき、地域の活動に参加するようになってもらえればうれしい」と話した。