ごま油香る具だくさんけんちんそば、飛騨高山の大粒なめこ山菜そば…【野花そば処 つるや本店】滋味深い富山まちなかの老舗蕎麦店
一説によると、本格的な日本蕎麦のファンは、あたたかい蕎麦を好まないんだとか。つゆで麺がのびやすく、蕎麦の繊細な香りや歯触りが失われてしまうというのがその理由。
とはいえ、富山をはじめとする寒い地方では、この時期に食べるなら断然、あたたかい蕎麦という人も多いでしょう。湯気にのって漂う出汁の香りにつるっとキレのいいのどごしと素朴な味わい。じんわりと身体をあたためてくれるのも、また蕎麦のおいしさです。
富山市の中心部・総曲輪にある「野花そば処 つるや本店」は、昼時には多くの客でにぎわう本格蕎麦の老舗店。季節ごとに旬の食材を使ったメニューを楽しむことができ、冬のこの時期はもちろん、あったか~い蕎麦が人気です。
古民家風の店内に民芸品がずらり。滋味あふれる老舗蕎麦店
「野花そば処 つるや本店」の創業は、1923(大正12)年。デパートやアーケードの商店街がある総曲輪通りから路地を少し折れた場所にあり、東別院と西別院、コインパーキングなど囲まれていることから繁華街でありながら不思議な情緒が漂う界隈です。
年季の入った暖簾をくぐると、店内は古民家風の造りで木のぬくもりを感じるあたたかい雰囲気。柱や机、床はきれいに磨かれていて、静かに光を反射して輝いています。
先代の店主夫妻が民芸好きだったことから、店内にも多くの大皿や花器が飾られています。派手さや仰々しさはなく、どっしりと深い懐で迎え入れてくれるような落ち着きと存在感…趣きのある空間で蕎麦を堪能することができそうです。
冬季限定 具だくさんの「けんちんそば」
そんな「つるや本店」の冬季限定メニューとして人気なのが、「けんちんそば」。
ゴボウやダイコン、ニンジンなどの野菜や豆腐などをごま油で炒めて汁にした精進料理「けんちん汁」と同じで、具だくさんのあたたかい蕎麦です。
ゴロゴロ大きい根菜・きのこがたっぷり!
つるや本店の「けんちんそば」にはダイコン、シイタケ、ニンジン、サトイモなど大きい具材がゴロッと入っています。煮る前に炒めてあるため、具材の一体感があり、コクのあるごま油の風味が効いています。
つゆは少しとろみがあって、体を芯からあたためてくれそうです。
信州・安曇野産のそば粉を使用
蕎麦粉は、創業当時から変わらず、信州・安曇野産のものを使用しています。
細麺でコシがあって、さらりとしたのどごしの蕎麦。丹精込めて毎日手打ちしているので風味もしっかりと強く、滋味深い味わいが特徴です。
季節の山の恵みをいただく「山菜そば」
季節を問わず人気なのが、「山菜そば」。
具の山菜は季節によって変わり、今の時期はきのこがたっぷりと入っていました。
目を引いたのは、飛騨高山産の大きななめこ。
普段スーパーなどで見かけるなめこと比べるとおよそ4倍はあろうかという大きさです。
なめこならではのつるんとした食感と、出汁を含んでうまみがぎゅっと詰まった味わい。主役級の存在感です。
冬はきのこ類がメインの山菜は、春になるとウドや行者ニンニクに変わります。その時々の山の恵みを味わうことができ、蕎麦とあわせて素朴なおいしさに癒されます。
冷たい蕎麦とあったかい鴨出汁の相性抜群「鴨せいろ」
あたたかいつけ汁に、冷たい蕎麦で味わうのが「鴨せいろ」。
鴨のもも肉を使用していて、甘みのある脂を存分に味わうことができるため、人気の蕎麦のひとつです。
蕎麦は、氷水でしっかりと締めていて、ほかのメニューよりも一段とコシがあり、キリッとしたおいしさ。あたたかい蕎麦の「鴨南蛮」よりもさっぱりと食べられます。
年の瀬が迫ってきたこの時期、具だくさんのあたたかい蕎麦で身体をいたわるという贅沢をすると、新しい1年がよりよく迎えられそうな気持ちになります。年末には年越し蕎麦を求めて行列になる日もある「つるや本店」。2024年の大晦日も営業する予定で、例年15時くらいまで店を開けているそうです。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年12月10日放送
記事編集:nan-nan編集部
【野花そば処 つるや本店】
住所 富山県富山市総曲輪2丁目8-15
営業時間 11:00~15:00(L.O. 14:40)
定休日 水曜、第3木曜