青春彩る惣菜パン 西湘高校そばの「サトパン」
3月は卒業シーズン。西湘高校そばに50年近く生徒を見守り、愛される店がある。サンドイッチを中心に扱うサンドHOUSEサトー、愛称「サトパン」だ。
朝は「いってらっしゃい」、放課後は「気をつけて帰ってね」。サトパンを営む佐藤さん夫婦は生徒らに温かく声をかける。もともとは惣菜店だったが、「栄養たっぷりの食べ物で子どもたちをおなかいっぱいにしたい」と、リニューアルして惣菜パンを販売するようになった。健康面に気を配り、パンには野菜やたんぱく質の多い食材を挟むことを意識して作る。中でも人気は、さまざまな具材を挟んで揚げた「カリカリサンド」。季節ごとに変わる具材はベーコンやコンビーフなど10種類以上にのぼる。開店は午前7時で、日祝休み。高校生だけでなく、通勤時に利用する社会人もいる。「みんなに喜んでもらえるから頑張れる」と佐藤夫妻は笑顔をみせる。
壁一面に写真
また店内の一角は、生徒の写真がぎっしりと壁に貼られ、青春のみずみずしさであふれている。始まりは、店内に貼られていた写真に気づいたこと。そのまま捨てずにボードを作って壁に飾ったところ、いつしか卒業を迎えた生徒が写真を貼っていくようになったという。卒業生から「メッセージを残したい」とリクエストされて1994年に用意したノートも、いまでは40冊ほどになった。
部活の仲間と訪れた男子生徒(1年)は、「パンはボリューミーでおいしいし、いつも元気をもらっている。卒業するときは自分も壁に写真を貼りたい」と声を弾ませた。「3世代で来てくれる人もいる。いつまでも関わらせてもらえてうれしい」と佐藤夫妻。これからも地域に根差し、青春の味を守り続ける。