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世界初の実証!渓流魚・イワナの<あくび>の長さが地域によって異なることが判明

サカナト

イワナ(提供:PhotoAC)

人間を含めた陸上哺乳類には「あくび」と呼ばれる行動がしばしば起こりますが、実は“魚もあくびをする”のを知っていますか。

例えば北海道に生息するイワナの稚魚は、着底行動から遊泳行動への行動変化が発生する直前に集中することが分かっています。北海道大学大学院水産科学院の研究グループは北海道南部に生息するイワナ稚魚のあくびの地域集団間比較を行い、稚魚のあくびの持続時間が生息地ごとに異なることを明らかにしました。

この研究の成果は『Journal of Ethology』に掲載されています(論文タイトル:Fish yawn: interpopulation variation in yawning characteristics of juvenile white-spotted char Salvelinus leucomaenis)。

魚もあくびをする

あくびと言えば陸上哺乳類にしばしば発生する現象のイメージがありますが、実は魚もあくびをすることが知られています。

魚のあくび(提供:PhotoAC)

北海道大学大学院水産科学院の研究グループの先行研究では、北海道に生息するイワナの稚魚が頻繁にあくびをすることを発見。イワナの稚魚が着底行動から遊泳行動への行動変化が発生する直前に集中してあくびが起こることを解明したほか、逸話的であった魚のあくびを定量的に研究し、世界で初めて魚の状態変化仮説を実証しました。

この研究結果は、魚のあくびも霊長類などのあくびと類似した機能がある可能性を示唆し、魚は地球上で最初にあくびをした動物と考えられています。

地域集団間であくび行動に差異がある?

イワナの稚魚のあくびに関する研究はこれだけではありません。

これまで「あくび」に関する多くの行動研究では、あくびには種内変異がほとんどないという前提が暗黙のうちに置かれていましたが、近年の研究であくびの発生頻度と持続時間に種内変異が生じることなどが示されていました。

また、あくびには血流を促進する効果のほか、脳の冷却など様々な生理的機能が想定されています。

その重要性は地域ごとの環境の違いを反映して異なる可能性があり、地域集団間であくび行動の差異があるのではという考えがありました。

あくびの持続時間に差を発見

そのような中、2025年5月5日に『Journal of Ethology』で公表された論文では、北海道大学大学院水産科学院の研究グループが北海道に生息するイワナの稚魚のあくび行動を観察。あくびの地域集団間比較を行いました。

イワナ(提供:PhotoAC)

この研究では4つの生息地で採集されたイワナの稚魚134個体を対象とし、観察水槽で1個体ごとに行動を録画。録画された9分の動画をもとに、稚魚のあくびと着底行動と遊泳行動をデータ化しました。

先行研究で着底行動中と遊泳行動中に異なるタイプのあくびを示すことが分かっているため、それぞれのあくびの発生頻度及び持続時間の記録が行われたといいます。

9分間の動画を検証した結果、対象となった134個体のうち44個体であくびを観察。また、あくびの発生頻度には地域集団間で差が見られなかったとのことですが、あくびの持続時間には差が見られたといいます。

動物界における「あくび」の理解へ貢献

今回、公表された論文では北海道に生息するイワナの稚魚のあくび行動において地域集団間変異があることが示されました。このあくびの集団間変異の発見例は世界初とのことです。

この研究成果は魚だけでなく、動物界におけるあくび行動の理解へ貢献することが期待されています。

(サカナト編集部)

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