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屋良朝幸、中川晃教らがパワーアップした再々演でオリジナル・ミュージカルの魅力を届ける 『SONG WRITERS』が開幕

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(左から)岸谷五朗、実咲凜音、中川晃教、屋良朝幸、武田真治、森雪之丞

作・作詞・音楽プロデュースを手掛ける森雪之丞と演出・岸谷五朗の二人が生み出したオリジナル・ミュージカル『SONG WRITERS』の再々演が、2024年11月6日(水)にシアタークリエで開幕する。キャストは屋良朝幸、中川晃教、武田真治、コング桑田が初演から続投し、実咲凜音、相葉裕樹、青野紗穂、蒼木陣、東島京らが新キャストとして加わった。約10年ぶりの上演となる再々演を前に、屋良朝幸、中川晃教、武田真治、実咲凜音と森雪之丞、岸谷五朗の囲み取材とゲネプロが行われた。

ーーまずは初日を前にした思いを教えてください。

:僕は47年間ソングライターをやっています。ただ、ミュージカルに目覚めたのは今世紀に入ってから。いろいろな仕事をする中で、自分で物語を書いた方が曲を作りやすいだろうということでオリジナルに挑戦したのが2013年のことでした。岸谷五朗と一緒にブロードウェイでたくさんの作品を見て、この物語が生まれました。この作品の再々演で、日本のクリエイターや制作、キャストの皆さんに勇気を与えられると思います。皆さんが日本オリジナル作品に挑んでくれたら嬉しいですね。

岸谷:再々演ができるのはご褒美をいただいたような気持ち。明日の初日が本当に楽しみです。素晴らしいキャストたちが本当に面白くて。雪之丞さんが書いたキャラクターたちが役者の力で命をもらい、キュートに輝いているので注目してください。

屋良:もちろんお客さんの前でのパフォーマンスに向けてやっていましたが、稽古場が楽しすぎて稽古が終わらなければいいのにと思ってしまいましたね。五朗さんと「ああでもない、こうでもない」とやっている時間が楽しくて。本番を通してまたブラッシュアップされていくでしょうから、千秋楽までにどう変わっていくか、皆さんに見ていただきたいです。

中川:初演を思い返しながら、一瞬一瞬が愛おしい時間を過ごしています。この作品に携わる皆さんの大きな愛あってのことだと感じます。初演は31歳になったばかりで、今回は今日が誕生日で42歳になりました。そういったこともあり、愛おしい作品になっています。(42歳の抱負を訊ねられ)健康に気をつけて、ステージに一緒に立つ皆さんからパワーをもらって元気にやっていきたいです!

実咲:楽しい方々ばかりで初日が待ち遠しいです。マリーは本当にハードな役ですが、ここから1ヶ月走り抜けられるのが楽しみですね。(屋良・中川・武田の)3名がわいわいしていると、いい意味で小学校のような雰囲気(笑)。心の若さがみなぎっていて、作品にパワーを与えてくれています。五朗さんは自由にやらせてくれながらみんなの個性を引き出してくださいました。

武田:稽古場に通うのが本当に楽しくて、学びも多く、充実した時間を過ごすことができました。9年前の再演で自分自身やりきったと思っていましたが、深掘りするところがまだまだありました。歳を重ねて再集結したキャストで話し合い、五朗さんのリーダーシップのもと、パワーアップした舞台を届けられると思っています。ご期待ください!

ーー屋良さんと中川さんはこの舞台で知り合ったんでしょうか。

屋良:そうですね。この舞台で知り合い、実は(ライブなどのゲスト出演を除くと)この舞台でしか共演していません。

中川:この作品で出会って結婚したみたいな感覚があります。

屋良:ない(笑)! 語弊があるよ。ここだけ切り取られたら……。

一同:(笑)。

中川:それくらい運命の人と出会ったなって。臆さない感じとか、舞台に立つ厳しさとか、自分にないものをたくさん持っていた人で、巡り会えたと感じました。

屋良:それは僕も同じです。(中川は)ある意味器用じゃない。だからこそすごく綿密に台本を紐解くし、わからないことはわからないと言う。そこがすごく羨ましいですし、「あ、面白いな」と思いました。アーティストとしては昔から知っていたので、そこの絡みも面白いですし、同年代なのも大きいですね。

ーー稽古ではどんな部分に楽しさを感じますか?

実咲:個性がすごいですよね。みんな真剣にやっているからこそ面白いです。

武田:僕は稽古場では年上の役割を担っていたと思います。

屋良:初めての立ち稽古で五朗さんが「一回好きにやって」って言った時に本当に自由にやりすぎて「精神年齢落ちたね(笑)」って言われたんですよ。そこで真治さんが初参加のキャストに「これで安心したでしょ?」って。みんなの心をリラックスさせてくれたなって思います。

中川:綿密に書いてある本の深いところを読み解いて言葉をくださって、発見がたくさんありました。真治さんとニックへの愛着が増しているかもしれません。

ーー森さんから見ていかがですか?

:心配なことが一つあって。クリエイターとしては、僕がこの世にいなくなっても作品が残り、代々違うキャストによって受け継がれていったら嬉しい。でも、このキャストしか考えられないんです。これで終わってもいいかと思ってしまうくらいみんなハマっていて困ったものです。

ーー最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

中川:歳を重ねていく喜びを味わえる役と出会えたのが僕にとっての宝物です。登場するみんながキラキラ輝いています。時が経って、改めて皆さんにお届けするこの作品の魅力を受け取りに来ていただけたら嬉しいです!

屋良:盛りだくさんという言葉がこんなに似合うエンタメはないと思います。役者はもちろんスタッフさんの力も大きく、本当にみんなで作り上げています。スタッフさんもカツラをかぶって登場しているので、そこも含めて見どころ。2024年、最高に笑える作品ですから、たくさん笑ってストレスを飛ばしてほしいです。

以下、ゲネプロレポート

自信家な作詞家のエディ・レイク(屋良朝幸)と、気弱な作曲家のピーター・フォックス(中川晃教)は、冒頭から息のあった掛け合いとパフォーマンスで作品に対するワクワクを高めてくれた。2人が夢を歌う「ソングライターズ」で聞かせてくれるハーモニーも心地よい。セリフはもちろん表情や動きからもそれぞれの性格と厚い友情が伝わってきて、なんとも微笑ましいコンビだ。

長い付き合いでお互いを理解・リスペクトしている2人に、彼らの才能を評価している音楽出版社のディレクター、ニック・クロフォード(武田真治)が加わると、ステージ上は明るくポジティブな空気で満たされる。囲みで「いい意味で小学生みたい」と評されていたように、賑やかなやり取りを見ているとこちらまで笑顔になることができた。

さらにエディがスカウトしたマリー・ローレンス(実咲凜音)が現れたことで、ミュージカルで成功するというエディとピーターの夢が現実味を帯びてくる。マリーはしゃべる時の訛りと見事な歌声のギャップが激しく、彼女を女優として成功させるために3人があれこれ指導する様子も楽しい。

ミュージカル『SONG WRITERS』舞台写真

……というストーリーと並行して、エディが書いている物語の世界も展開していく。あくどい“ビジネス”を手広く行っているマフィアのボスであるカルロ・ガンビーノ(コング桑田)、手下のベンジャミン・デナーロ(蒼木陣)やアントニオ・バルボア(東島京)は、非情だがお茶目さも併せ持っており憎みきれない悪役だ。

一方、内通者であるジミー・グラハム刑事(相葉裕樹)の複雑な胸の内、ジミーの元恋人で現在はカルロの情婦となっている歌手のパティ・グレイ(青野紗穂)の悲しみなど、シリアスなシーンも。マフィアたちがユーモラスに歌う「チャオ!アメリカ」と、すれ違う二人がしっとり聴かせる「愛はいつも愚かなもの」など、複数のクリエイターが楽曲を提供しているからこその幅の広さ、それを歌いこなすキャスト陣の技量が光っている。

エディが考えて書いているはずの物語だが、登場人物たちは自由に動き回ってなぜか悲劇へと向かってしまう。さらに、ハッピーエンドを目指すエディが頭を抱えているうちに、現実まで思わぬ方向へと進んでいく。成功を夢見るソングライターズの現実と、彼らが生み出すフィクションが交錯しながら進んでいく本作。個性豊かなキャラクターたちを応援し、笑ったり共感したりできるのが魅力だ。

福田裕彦、KO-ICHIRO、さかいゆう、杉本雄治、中川晃教による多彩な楽曲が物語をきらびやかに盛り上げているのに加え、劇中では中川のピアノや武田のサックス演奏といった見どころも。

さらに、コメディ要素が伏線になっていたり、ちょっとした謎解き要素があったり、メタネタやB級映画のようなはちゃめちゃなシーンがあったりと、盛りだくさんで疾走感も充分。アドリブなのか、キャスト陣が笑ってしまっているシーンもあり、ゲネプロでも客席から拍手や笑いが起きていた。

本作は2024年11月6日(水)~11月28日(木)まで日比谷シアタークリエで上演され、12月には大阪公演、愛知公演も行われる。ミュージカルらしい魅力がたっぷり詰まった日本オリジナル作品を、ぜひ劇場で見届けてほしい。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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