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中学生自閉症息子の通学リュックはまさかの10kg!肩が真っ赤、宿題プリントも埋もれ…母の説得方法は

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中学生自閉症息子の通学リュックはまさかの10kg!肩が真っ赤、宿題プリントも埋もれ…母の説得方法は

監修:森 しほ

ゆうメンタル・スキンクリニック理事

部活しかない日も、約10kg!?激重リュックを毎日持ち歩くコウの謎

現在中学生の息子のコウは、毎日異様に重たいリュックを背負って通学しています。学校で置き用具にしてよい物を入れっぱなしな上に、自宅でもプリントや宿題を出さないからです。

小学生の頃から重かった彼の通学カバンですが、ランドセルの頃はまだ今ほど重くありませんでした。ランドセルは容量に限りがあるため、パンパンに入れてもまだ重さの上限があったのです。

中学生になり大きな通学リュックを手に入れたことで、コウの登下校の荷物は相当な重さになっていき……帰宅したコウがリュックをおろすと、両肩に真っ赤なベルトのあとが残るようになってしまいました。

リュックの中をコウと確認すると、『自宅でしか使わない宿題用のワーク』など学校に持っていく必要のないものがつぎつぎと出てきます。そして、持ち帰る必要のない教科書などもつぎつぎと出てきます。

持っていく必要のないものはある程度家庭でブロックできますが、「学校に置いておいで」と言って持たせた荷物が連日リュックに残り続けるので、どうしてもリュックは重いままになりがちです。

先生への連絡や確認も1週間忘れ続けるコウなので、難しいのだろうとは思います。解いて丸つけも終わっているのになぜか提出していない宿題のプリントも頻繁に発掘されるため、どうしたものかと頭を悩ませていました。

ずっと気になっていたコウの通学リュックの重さを改めて認識しました

先日、実家に遊びに行った時のことです。コウは宿題などを入れた学校のリュックを持っていたのですが、玄関に置かれたそれを母がどかそうとしたところ、重た過ぎて持ちあがりませんでした。

驚いた母が「この重たさは体によくないよ!これ、一回体重計で量ろう?」と提案したため体重計に載せてみると、なんと教科書類だけで8kg超えの重量であったことが発覚!水筒などを足したら10kgに近い重さでした。

「これ、宿題をやるためにたくさん入れてるの?普段もこんなに重たいの?」と目を丸くする母に「普段はもっと重たい日も多いよ」と答えた私が「そうだよね?」とコウに確認すると、コウはこともなげに「そうだよ」と頷きました。

コウの答えに唖然とする母を見て、私は『段々感覚が麻痺してきていたけど、やっぱりこの重さは体によくないよね?』と危機感を覚えました。

一息ついてから、改めてコウに「おばあちゃんも心配してたけど、やっぱリュック重すぎなんじゃないかな?」と言うと「そう?」と気にしていない様子でした。そんなコウに「背骨にも相当負担があると思うし、肩が圧迫されると、肩や胸郭の動きを邪魔するから息もしにくくなるよ」と重ねて言うと、「それはそう」と少し納得したようでした。

彼にとって、納得するかどうかと行動を変えるかどうかはまた別の話なので、今回の話も流しておしまいかもな~と思っていましたが、先ほど抜き打ちで通学リュックの重さを量ってみたところ、6.4kgでした。

ファスナーが開きっ放しのリュックの口から中をサッと見た感じでは、明らかに不必要なものがたくさん入っているようではありますが……ギリギリ合格点(?)だと思います!

また、リュックの中で死蔵されがちな宿題についてコウに聞いたところ「最近はできるだけ学校でやって出すようにしてるよ」とのことで、リュックがごちゃごちゃでも宿題に関しては困らなくなったそうです。

提出物問題に明るい兆しが見えてきたのはうれしいことですが、そうなるとさらに「リュックの中の荷物、ほとんどいらない物なのでは……?」という疑問が大きくなってしまう私です。

とはいえ、この『通学リュック重た過ぎ問題』は物の管理スキルと大きく関わることだけに、コウにとってかなり対処が難しいことなのだろうと思います。

土日の部活動ではリュックから教科書類を出していくようになったコウを見て、「その教科書たちはリュックに戻すべきなのかについても考えてほしいな~!」と思う欲張りな私です。「これも不要な荷物を持ち歩かないための第一歩なのかもしれないな」と思い、様子を見つつゆるく見守るよう心がけています。

執筆/丸山さとこ

(監修:森先生より)
丸山さとこさん、お子さんの通学カバンが重すぎるという体験談をありがとうございます。さて、発達障害の傾向があるお子さんは、「要るもの」、「要らないもの」、「必要だけれどもすぐには使わないもの」などの整理・優先順位付けが苦手なことが多いため、忘れ物が多くなりがちです。そして、忘れ物を防ぐためにお子さんなりに編み出したライフハックが「要るか要らないか迷うものも含めて全部持ち運んでしまうこと」なのかもしれません。

そのため、ただ荷物の量を減らそうとしても、もともとの困り事である「忘れ物」に再び悩まされるだけということになってしまいます。丸山さんのように、あまりにも重い荷物を毎日運んでいると身体に負担がかかることをさりげなく伝えて、荷物の整理・必要かどうかの見直しを行うことへの意識を本人に持ってもらうことが大切です。

家族としては歯がゆさもあるかもしれませんが、お子さん自身の成長を見守っていけるといいですね。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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