「100分de名著」創刊時からの編集者が選ぶ、古今東西の名著3選とその読み解き。【NHK100分de名著キャンペーン2024】
NHK「100分de名著」シリーズ創刊時の担当編集者が選ぶ名著
シリーズ開始から13年で、累計1000万部の発行を記録したNHK「100分de名著」シリーズ。古今東西の名著を25分×4回の100分で読み解き、今の世の中を見通すためのヒントを得る構成が人気です。書籍の元となる番組では、司会の伊集院光さんとゲスト講師とのやりとりも、毎回話題に。
今回は、NHK「100分de名著」テキストの創刊時から長く携わってきた編集者に「今の世の中を理解するために必読の名著」を聞きました。
なお、2024年7月末からは、全国の書店とNHK出版公式サイトにて、「100分de名著」1000万部突破キャンペーンを実施中です。
おすすめ名著・3選
そういえば、あの本のこと、何も知らずに生きてきた――。というキャッチコピーで、人類の偉大な遺産である古今東西の名著の魅力をコンパクトに解説する人気番組「100分de名著」。
その記念すべきテキスト創刊号は、2011年4月号として発行された「ニーチェ ツァラトゥストラ」でした。それから 13 年、100以上の名著を紹介し、またテキストを底本に加筆・修正し、新たな章を立てて構成する「100 分 de 名著ブックス」シリーズもついに54冊目となっています。テキスト立ち上げ時から7年間、シリーズ全体に携わってきた担当として、以下の名著を選んでみました。
ニーチェ『ツァラトゥストラ』
超人、永遠回帰… ニーチェ哲学の核心が驚くほどよくわかる!
――第一に、「私たちはどうやって生きていけばよいのか」という問いについて、これほどまっすぐに記した哲学書はほとんどない、ということがあります。意外に思われるかもしれませんが、哲学書では「認識」や「善悪」の問題などは詳しく扱っていても、人が悩みや苦しみを抱えたときにどう生きるか──いわば泥臭い、でもとても大事な問題──を正面から扱っているものはそれほど多くはありません。『ツァラトゥストラ』は、生きる姿を真摯に問うている珍しい本で、読むと胸を打つものがあります。(名著ブックス「はじめに」より)
『般若心経』
262 文字の呪文。「日本で一番人気のお経」の正体とは――
――ですから、『般若心経』が述べていることは必ずしも釈迦の考えではありません。それはむしろ、「釈迦の時代の教えを否定することによって、釈迦を超えようとしている経典」なのです。(名著ブックス「はじめに」より)
紫式部『源氏物語』
世界最古の長編小説の最高の手引き書は、これ!
――その「小さな本」は、愛をめぐる物語として描かれました。しかし、稀代の色好み光源氏による手当り次第の恋の冒険の物語だとお考えだとすれば、それは違います。『源氏物語』は愛の成果を羅列する物語ではなく、愛のすれ違いや空転、誤解、伝えることの難しさを、微に入り、細を尽くして語る物語です。どれほど愛していてもその想いが伝わらない、肝心のところで伝えきれない想いを抱えながら、孤独の中に生きる人びとの物語です。(名著ブックス「はじめに」より)
今回ご紹介した「名著」読み解きのための「NHK『100分de名著』ブックス」は、全国の書店、またNHK出版の特設ページでも展開しています。