韓国ドラマ 最新トレンドキーワード!韓国風「ピカレスク」で好評を得た作品 5選
“ピカレスク”というワードを耳にしたことがあるだろうか。近年韓ドラ界においてトレンドとなっているジャンルの1つだ。
本来、悪人が主人公として登場する作品を指しているが、韓国のエンタメ業界で言うそれは定義が若干異なっており、理由や事情を持つ悪人や悪事を描いたものを示す場合が多い。
性善説と性悪説のどちらが正しいのか決着がつかないように、人間は善とも悪とも言えない存在。善良な人も時と場合によっては、超えてはいけないラインを超えることもあるだろう。
韓国のピカレスク作品は、そんな人間の極めて本質的な姿にスポットを当てており、目も当てられないような悪事や行動をせざるを得ない理由付けをしっかりとすることで、登場人物の行動に正当性を持たせ、ひいては観る者に爽快感までプレゼントする。最初から悪を掲げた人物が繰り広げる予定調和の物語よりも、もっと人間的でいつの間にか共感し応援してしまうなど、人を惹きつけてやまない魅力を持ったジャンルだ。
そこで本記事では、ここ数年の間に視聴者を虜にしたピカレスク作品を5つピックアップして紹介する。
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7人の脱出 (SBS/2023)
『7人の脱出』は、1人の少女の失踪に関与したと思われる男女7人が、ある者によって無人島に集められ血の制裁を受けることになって繰り広げられる物語。
ドロ沼劇の母の異名を持つキム・スノク作家が脚本を手掛けており、制裁を加える側も受ける側も、ともに人間の本性を赤裸々に描いているのが大きな見どころの1つで、ピカレスク要素をより一層盛り上げる。
『ペントハウス』シリーズ(SBS/2020、2021)のようなドロドロとした人間ドラマ好きな人なら、抵抗なく観ることのできる作品だ。
●キャスト:オム・ギジュン、ファン・ジョンウム、イ・ジュン、イ・ユビ、シン・ウンギョン 他
●日本で視聴可能な動画配信サービス(2024年10月31日現在):U-NEXT、FOD、Lemino、Hulu、Rakuten TV、TELASA、ABEMA、Netflix
ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜 シリーズ (Netflix/2022、2023)
『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』シリーズは、高校時代にいじめを受けていた主人公が大人になってから加害者グループに復讐をするという極めてシンプルなストーリー構成の作品だ。
しかし、人生をかけて周到に準備した作戦の数々を1つずつ実行に移し、加害者に代償を払わせるシーンは、ついガッツポーズをしたくなるほど爽快。手段は強烈ながら、完全に悪に傾きすぎていないのもポイントだ。
また、いじめを壮絶に描き、年月を経てもなお全く反省の色をみせない者たちの存在は、主人公の報復に説得力を持たせており、共感せずにはいられない。
●キャスト:ソン・ヘギョ、イ・ドヒョン、イム・ジヨン、ヨム・ヘラン、パク・ソンフン 他
●日本で視聴可能な動画配信サービス(2024年10月31日現在):Netflix
マスクガール (Netflix/2023)
『マスクガール』は、ピカレスク要素がいったいどこにあるのか、最後まで観てご自身の目で確かめていただきたい作品。
観る者の想像を超えるストーリーから役の設定まで、全てにおいて斬新という言葉がぴったりな物語で、一見飛躍しすぎているかのように思える殺人も、主人公の半生のなかにすっぽりとおさまっている。意外ながらも納得してしまうのは、適度なドラマチックさのなかに人間本来の感情を忍ばせているから。
“こんな結末になるとは‥”と、つい声が漏れてしまうほどのギャップを持たせたストーリーとピカレスクがマッチし、さらなる見応えをプレゼントしてくれる。
●キャスト:コ・ヒョンジョン、アン・ジェホン、ヨム・ヘラン、ナナ、イ・ハンビョル 他
●日本で視聴可能な動画配信サービス(2024年10月31日現在):Netflix
ビッグマウス (MBC/2022)
『ビッグマウス』は、ある者によって凶悪な天才詐欺師“ビッグマウス”にでっち上げられ、刑務所に収監される三流弁護士の物語。
自分と家族を守り陰謀を暴くために、“ビッグマウス”になりきって罠を仕掛けていく過程が見どころの1つとなっている。
アメリカドラマの刑務所ものなどによくある、いじめを受けていた新入りが次第に幅を利かせていく爽快感と、罪を押し付けられた無念の被害者という要素の相乗効果で、“ビッグマウス”のふりをして強烈な反撃に出る主人公の姿を正当化。冷静に見るとやりすぎともとれるが、つい応援したくなるストーリーだ。
●キャスト:イ・ジョンソク、イム・ユナ、キム・ジュホン、オク・ジャヨン、ヤン・ギョンウォン 他
●日本で視聴可能な動画配信サービス(2024年10月31日現在):Disney+
ヴィンチェンツォ (tvN/2021)
『ヴィンチェンツォ』は、冷酷な弁護士ヴィンチェンツォ・カサノが、悪事を働く財閥や法律家を断罪していく物語。“悪には悪で勝負する”という、清々しいほど潔いよい主人公の姿が特徴の作品だ。
『梨泰院クラス』(JTBC/2020)のように卑怯なやり口の相手を前に、決して腐ることなく正攻法で立ち向かうタイプの作品も面白いが、悪党には一切容赦しない主人公の姿は、誰でも多少は持っている悪の感情を喚起して刺激、観る者を惹きつける魅力が詰め込まれている。
善良な考え方や言動だけが必ずしも正義ではないと伝えるかのような、カタルシスを得ることができるだろう。
●キャスト:ソン・ジュンギ、チョン・ヨビン、オク・テギョン、クァク・ドンヨン、チョ・ハンチョル 他
●日本で視聴可能な動画配信サービス(2024年10月31日現在):Netflix
(ライター/西谷瀬里)