神奈川区長インタビュー 「笑顔でつながる」まちへ 今と未来の地域づくり
2025年の幕開けにあたり、神奈川区の鈴木茂久区長にインタビューを行った。防災対策の強化や、第5期地域福祉保健計画の策定など、「地区ごとの課題を把握し、『安心で温かい元気なまちづくり』を推進する」と思いを語った(聞き手・跡部遼)。
――昨年4月に神奈川区長に着任。約9カ月での神奈川区の印象は。
「着任以来、地域で開催されている行事や活動の現場に足を運び、たくさんの方と交流してきました。改めて区政は地域のために精力的に活動して下さっている個人・団体の皆様に支えられていることを実感しました。同時に、もっと多くの場所に行きたかったという思いも。やはり実際の現場に行くことでしか分からないことも多くあります。区民の皆様の活躍を発信し、課題や悩みに耳を傾けられるよう、今年もたくさん地域に顔を出したいです」
防災意識の向上
――区の運営方針の進捗状況については。
「2025年は横浜市中期計画最終年。基本戦略『子育てしたいまち次世代を共にはぐくむまちヨコハマ』を目指し、区の基本目標『笑顔でつながる神奈川区』を合言葉に地域や関係団体、企業、大学等との”つながり”を力に、まちづくりを行ってきました。
特に昨年は能登半島地震があり、改めて日頃の備えの重要性を感じました。被災地派遣職員による講演会や区民まつりでの備蓄に関する啓発活動、夏には子ども向け防災ワークショップを開催。ペット同行避難の取組も区内6カ所の風水害避難所で行うなど、防災力向上に努めてきました。引き続き、地域での顔の見える関係づくりから、災害に強い神奈川区を目指していきます」
美化活動にも注力
――25年度は地域福祉保健計画の第5期も策定されます。
「昨年は子どもの意見を聞く取組として、子安小学校で授業も実施しました。現在、各地区の皆様と一緒に地区別計画を作成中。21地区の個性あふれる素晴らしい計画になる予定なので、一人でも多くの方に見てもらいたいですね。
また、昨年もマナー違反一掃作戦に多くの区民・事業者の皆様にご参加いただきました。来年度は新たに拠点を増やすことも検討します。各地区での美化活動も盛んに行われています。4月にはプラごみの分別方法が変わり、プラ製品も資源としての回収がスタート。これからも地域と連携して、きれいで環境にやさしいまちを目指していきます」
――子育て支援については。
「神奈川区の顔ともいえる、親子のたまり場『すくすくかめっ子』が今年で25周年となります。各地域に気軽に足を運べる親子の居場所があることは素晴らしいことです。一方、神奈川区は転出入が多く、必要としている人への情報発信には改善の余地も。横浜市の子育てアプリ『パマトコ』もうまく活用して情報を届けていきたいです。同時に活動を支える担い手の皆様への支援にも力を入れたいですね」
――高齢者支援の取り組みについては。
「移動販売やフレイル予防のためのイベントなど、企業と連携した取組を区内で展開。こうした取組を通じて、新たな交流も生まれています。地域と企業をつなぐ架け橋となりながら、各地区が抱える課題に合わせた取組を実践したいです」
多様な交流も
――昨年は、鶴屋町と羽沢横浜国大駅前の大規模マンションや商業施設も開業しました。
「羽沢南の『HAZAAR』が今年全面開業。昨年には横浜国立大学のサテライトキャンパスも開所し、地域の生活・交流の拠点となることが期待されます。鶴屋町の『ザヨコハマフロント』周辺では交通広場も完成予定でさらに利便性が高まります。
商店街ラリーや歴史資産を活用したイベントも引き続き開催します。工業会や商工会議所などの存在も神奈川区の大きな魅力です。こうした魅力資産や昨年生まれた新たな拠点を活用し、賑わいをつくり、地域の交流を深めたいです。こうしたつながりは、次世代の地域活動の担い手の育成にも期待が持たれます」
――昨年3月には、「神奈川区多文化共生ラウンジ」もオープンしました。
「神奈川区には18区で4番目に多い外国籍の方が暮らしています。開設当初から多くの利用があり、毎月約100件の相談を受けています。子どもたちへの学習支援のほか、区役所と近い利点を生かし、連携しながら相談にあたっています。もっと多くの皆様に施設の存在やサービスを知ってもらえるように、情報発信にも力を入れていきたいですね」
――区民へのメッセージをお願いします。
「2027年に開催される『GREEN×EXPO2027』と、同年に迎える『神奈川区制100周年』を見据え、環境にも人にもやさしく誰もがいきいきと暮らし続けられる『安心で温かい元気なまちづくり』を進めていきます。神奈川区の未来へ向けて、地域の皆様とともに祝っていきたいと考えています」