原子力規制委員会の発足後、初の不合格。敦賀原発2号機の審査を解説
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、11月14日の放送に調査報道記者の日野行介が出演。放送前日からニュースの続いた、原子力発電所に関して解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「きのうからきょうにかけて、原子力発電所関連のニュースがたくさん入ってきています。まずきのう、女川原発2号機の再起動、再稼働という話が出ていて。福井県にある日本原電、敦賀原発2号機について、再稼働の条件となる審査で不合格とすることをきのう、原子力規制委員会が正式に決定したと。2012年に規制委員会が発足して、不合格の決定は初めてということです。まずこの話を日野さんに伺います」
日野行介「じつは敦賀に3年間、駐在記者として住んでいたことがあるんです。原発って、福島の事故のあと当然、安全規制が注目されたわけですが、2つの点で分けてみないといけません。まず1つ、裁判にたとえると法律、ルール、刑法みたいなものが、いわゆる新規制基準」
長野智子「はい」
日野「原発事故が起きて規制委員会ができて、規制委員会がつくった、再稼働を認める基準です。安倍元首相が『世界で最も厳しいレベルの新規制基準だ』と発言していたので憶えていらっしゃる方も多いと思います。本当に厳しいかというのはさておき、福島以前とどう変わったか。地震だけでなく火山、津波、竜巻といった自然災害のリスク、対応しなければいけません、耐えられますよね、ということを安全審査で確かめる。その種類が増えた」
長野「はい」
日野「もう1つがルールの運用。刑事裁判でいうと刑事訴訟法なんかにあたります。これがいわゆる規制委員会の行う安全審査になるわけです。新規制基準を満たしているかどうかを安全審査で確かめる。安全審査は言ってみれば裁判、規制委員会は裁判官」
長野「はい」
日野「安全審査ってどういうことをするか。簡単にいうと、ここにはどれぐらい自然災害が襲う可能性があって、起こりうるリスクが来たとして耐えられます、過酷事故は起きませんよ、と電力会社側が立証する手続きなんです」
鈴木「ああ~……」
日野「この立証には矛盾がない、大丈夫だ、ということを規制委員会が認めたら再稼働OK、という法律的な手続きで。今回の敦賀2号機の不許可を刑事裁判にたとえると、検察が『この人は事件の犯人です』と起訴したけど、『待て。この捜査、おかしい。やり方ずるいだろう』。たとえばおとり捜査のように、捜査に問題があって『この人、犯人じゃないんじゃないの?』となって、無罪判決を出した、という感じなのかなと思います」
長野「なるほど。わかりやすい。建屋の下に断層があることをあの手この手で『大丈夫ですよ』と出したけど『無理があるだろう』と」
日野「直下に活断層があるというのはダメですよ、というのがルールなわけです。そのルールに該当するでしょう、そのため運用でハネた、ということです」