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粉飾決算、民事再生、上場廃止のオルツを救える企業はどこだ?

セブツー

東証グロース市場に上場していたAIスタートアップのオルツが、経営の屋台骨を揺るがす巨額の粉飾決算問題に直面し、株価が一時年初来安値となる19円まで下落した。かつて注目を集めたAI企業の転落劇は、再建の道筋すら見えない混迷を極めている。

創業者で前社長の米倉千貴氏は、不正発覚を受けて7月28日に辞任。その後を継いだ日置友輔社長も、就任からわずか数日で、9月3日に開催予定の臨時株主総会をもって辞任することが決定した。経営の空白が続く中、オルツは7月30日、東京地方裁判所に対し民事再生手続きの適用を申請。上場廃止も決まり、8月31日をもって証券市場からの退場が正式に確定した。

今後は支援企業を募って事業再建を目指す方針だが、再生のハードルは極めて高い。今回明らかになった粉飾の規模は甚大で、投資家や取引先との信頼関係は大きく損なわれた。加えて、経営陣の責任問題や法的リスクも山積しており、関係者への訴訟や処分が予想される中、オルツという企業の信用は地に落ちた状態にある。

過去には、カネボウやオリンパスなど、粉飾決算という致命的な不祥事から復活した企業も存在する。だが、その多くは不正に関与した経営陣を完全に排除し、第三者による経営刷新と抜本的なガバナンス改革を断行したうえでの再生だった。オルツも、こうした「再生の鉄則」を踏まえた構造改革が不可欠となる。

加えて、オルツが事業の柱としてきた音声認識AIなどの特許技術に、果たして実需がどれだけあるのか、この点も冷静に見極める必要がある。技術力や知財が将来の収益に直結するのか、外部による精査も必要だろう。

こうした中、再建に名乗りを上げる可能性があるのは、民事再生企業への投資を専門とするバリューアップ系の投資ファンドや、法的整理に知見を持つ再生支援会社、また経営改革を伴う買収に実績を持つプライベートエクイティなどに限られるだろう。だが、それらの支援先にとっても、オルツのリスクは高く、慎重な判断をせざるを得ない。オルツに救いの手を差し伸べる企業には、相当な覚悟が求められる。

成長産業とされるAI領域で注目された企業が、粉飾によって信頼を裏切り、上場企業としての資格を失ったという事実は、スタートアップ業界全体にも大きなインパクトを与えている。オルツの再生劇がどのような結末を迎えるのか、注目が集まっている。

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