ネット銀行やECサイトの「不正ログイン」を防ぐ“パスワード管理術”【10月1日 印章の日】
10月1日は「印章の日」。1873年(明治6年)のこの日、政府が「実印使用義務制度」を定めたことに由来すると言われています。それ以来、日本では大切な契約や本人確認といえば“印鑑”が欠かせない文化が根づきました。 けれども今はどうでしょう。スマホやパソコンでの契約や手続きが当たり前になり、「印鑑レス」がどんどん進んでいます。紙に押す印鑑の代わりに、ログインや決済に欠かせないのは「パスワード」。現代におけるパスワードは、まさに“新しい印鑑”といえます。
パスワードは現代の印鑑
ふだんの生活を振り返ってみると、私たちはいくつものパスワードを使っていますよね。
・ネットバンキングや証券口座のログイン
・クレジットカードやキャッシュレス決済
・ネットショッピングのアカウント
・マイナポータルや年金・保険のサイトのログイン
どれも大切なお金や情報に直結しています。もしパスワードが漏れてしまったら、印鑑をなくすよりも大きなリスクになりかねません。
よくあるパスワードの悩み
「いくつもあって覚えきれない」
「つい同じものを使い回してしまう」
「手帳やメモに書いているけど紛失が心配」
こうした悩みを抱える人は少なくありません。忙しい日常の中では便利さを優先しがちですが、そこに大きな落とし穴があります。
安全に守るための工夫
(1)使いまわさない
特に金融系(銀行・証券)と買い物サイトのパスワードは分けておくのが基本です。ひとつが漏れただけで、他のサービスまで危険にさらされてしまいます。
また、生年月日や電話番号など推測されやすいパスワードは使わないようにしましょう。
ここで、パスワードの作り方のちょっとした工夫をお伝えしたいと思います。
1. 自分の好きな言葉を考えてアルファベットにする→例えば「saita」
2. アルファベットの一部を記号に置き換える→aを@に、iを!にすると「s@!t@」
3. 自分の好きな年と月を最後につける→2025年10月だったら「s@!t@202510」
パスワードは定期的に変更しないといけないサイトもあるので、アルファベットの何文字目を大文字にする、数字のある部分を変えていくなど、自分なりのルールを作っておくといいですね。
(2)二段階認証をオンに
つい最近もネット証券の不正ログインの被害が多発しましたが、二段階認証を必ず設定するようにしましょう。
ログインのたびにコードが送られてくるのは正直ちょっと面倒ですが、たった数秒でセキュリティが大幅に強化されます。
(3)パスワード管理アプリを活用
1Password、Bitwarden、GoogleやAppleのパスワード管理機能などを使えば、「全部覚えなくちゃ」というストレスから解放されます。
(4)フィッシング詐欺に注意
最近は本物そっくりのメールやSMSが届き、「アカウント更新」「未払い料金があります」などと不安をあおって、ログインを促しIDやパスワードを入力させてパスワードを抜き取る被害も起こっています。
不審なメールやSMSのリンクをそのままクリックせず、必ず公式サイトやアプリから確認するようにしましょう。特に銀行やクレジットカードを名乗るメールには要注意です。
(5)フリーWi-Fiでのログインは避ける
カフェや駅で使える「フリーWi-Fi」。便利ですが、暗号化されていないことが多く、通信内容を盗み見られるリスクがあります。
外出先のフリーWi-Fiでのネットバンキングやショッピングサイトへのログインは避けましょう。どうしても使うなら、スマホのテザリングやVPNを利用するのが安心です。
(6)家族にも伝えておく
もしものときに備えて、最低限のパスワードは家族が分かるように残しておくことも大事。銀行口座や証券口座のログイン情報などは、エンディングノートにまとめても安心です。
パスワードを守ることが家計を守る第一歩
子どもの教育費、老後のお金、日々の家計。saita世代はお金のことを真剣に考える時期です。でも、どんなに一生懸命お金を管理しても、パスワードを守れていなければ、一瞬で危険にさらされてしまうかもしれません。
昔、印鑑を大切に保管していたように、これからは「パスワードをどう守るか」が家計を守る第一歩。小さな工夫で、未来の大きな安心につながります。
「パスワード」について考える日をつくろう
10月1日の「印章の日」をきっかけに、パスワード管理について再確認してみませんか?
・同じパスワードを使い回していないか
・二段階認証を設定しているか
・怪しいメールのリンクはクリックしない
・外出先のフリーWi-Fiでパスワードを入力しない
・家族のパスワードはどこを見たらわかるか
こうした一つひとつの工夫が、あなたと家族のお金を守ることになります。
印鑑を大切にしてきたように、これからはパスワードも大切に扱っていきましょう。
新田真由美/ファイナンシャルプランナー