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創作オムライスが35種以上!北千住『キッチンエッグス』のランチはリピート必至

さんたつ

キッチンエッグス

北千住駅の西口側に位置する『キッチンエッグス』は、創作オムライスが自慢の洋食店だ。オムライスのバリエーションは35種類を超え、サイズやトッピングを自由にカスタマイズできる。ランチタイムなら日替わりオムライスのほか、ケチャップとデミソースのミックスオムライスがおすすめ。卵の柔らかさとトロトロ感に思わずうっとり。

キッチンエッグス(キッチンエッグス)

「半年で店が潰れる」。そんなジンクスをはねのけたオムライスの店

北千住駅の西口といえば、細い路地に個性豊かな居酒屋がひしめき合う飲み屋横丁、通称「飲み横」が有名。夜間ならほろ酔い気分の飲兵衛たちでにぎわうエリアだが、昼どきは打って変わって閑散としている。

昼間の飲み横を抜けて国道4号へ向かい、国道沿いを千住大橋駅方面へ進むと『キッチンエッグス』が見えてくる。バラエティに富んだ創作オムライスを提供する、2014年にオープンした洋食店だ。

国道4号沿いのビルの1階にある。大きく「オムライス」と記されたのぼり旗が目印だ。

「開店当初はお客さんが全然来なくて、苦労話しかないですよ」と笑いながら話すのは、オーナーシェフの神山雅明(かみやままさあき)さん。「メディアで取り上げていただく機会があってから、口コミが増えてお客さんも増えました。だけどここ、7年間で14軒も店が潰れている物件なんです。それをお客さんから聞いたときは、ビックリしちゃって」。

つまり半年ごとに店舗が入れ替わってきたということか。神山さんは、その事実を裏付けるようなエピソードも聞かせてくれた。

客席は2~4人掛けのテーブル席が中心。カウンター席の向こう側は厨房になっている。

「ぼくがこの物件に入ってから床をキレイにしたんですが、床を剥がしたら前の店の床が4層も出てきた。しかも木の上にまた木をのせてあったから、カビが生えちゃっていて。14軒の歴史が床に現れたんですよ」

笑うに笑えない物件の歴史を乗り越え、2024年で開店10周年を迎えた『キッチンエッグス』。これは神山さんが腕を振るうオムライスが、客の心をガッチリつかんでいる証拠だ。

卵の柔らかさにこだわったオムライスがより取り見取り

ランチメニューの中では、日替わりオムライスがよく出るという。2種類のミートソースや魚介のバジルライス、ラザニア風など、独創的なオムライスが日替わりで登場する。そのほか定番のオムライスが35種類以上もあり、どれにしようか迷ってしまう。

神山さんによると、ケチャップとデミソースのミックスオムライス1463円(Sサイズ)がイチオシとのことなので、それを注文。サイズはSS、S、M、L、LLから選べるほか、ハンバーグやエビフライ、唐揚げといったトッピングの追加もできる。今回はオムライスの調理の様子を見せてもらった。

ご飯にケチャップを加えて炒めていく。具材はベーコン、タマネギ、マッシュルーム。

まずは白米にバターや具材、ケチャップを加えて炒める。今回はケチャップライスだが、オムライスの種類に合わせてライスを変えているのが、この店の特徴の一つだ。

別のフライパンで卵を加熱し、その上にケチャップライスを投入する。

使用する卵の数は、サイズによって異なる。Sサイズは3個、Mサイズは4個、Lサイズなら5個、ランチ限定のLLサイズだと6個なのだとか。

ケチャップライスの外周を卵で包みながら、形を丸く整えていく。

ご飯の量もサイズごとに違い、Sサイズは約150g。そのほかMサイズ約250g、Lサイズ約350g、LLサイズ約700gとなる。

フライパンの手前から奥へ向かって転がすようにして巻けば、あっという間にオムライスの形に。

オムライスをつくる上でのこだわりを伺うと「卵の柔らかさを感じられるところには、こだわっているかな」と神山さん。「オムライスってトロトロ感があるほうがおいしいと思うんですよ。それを出すのが難しいんですけどね」。

オムライスが崩れないよう、慎重にお皿へ盛り付ける。あとはソースをかけるだけ。

仕上げに自家製デミグラスソースと、甘酸っぱいケチャップをかければ出来上がり。さっそくテーブルまで運んでもらって実食へ。

ケチャップとデミソースのミックスオムライスSサイズ。1皿で2種類の味が楽しめて、飽きがこない。

まずはケチャップがかかったところからひと口。ケチャップの程よい酸味が、ふわふわ卵のまろやかな甘さをグッと引き立てている。またデミソースの濃厚な旨味は、バターをきかせた甘めのケチャップライスと好相性。タマネギやマッシュルームといった具材が、食感の変化を生むのもいい。

バターが香るケチャップライスと、スクランブルエッグのようにふんわりした卵がマッチ。

さらにケチャップとデミソースを混ぜてみると、ケチャップの酸味がマイルドになり、デミソースのコクはより深くなる。味が単調になりがちなオムライスの常識を覆す一品だ。

そして食後のデザートには、手作り紅茶のパンナコッタ693円を。フレーバーは不定期で変わり、こちらは新たに登場したばかりの新作とのこと。

手作り紅茶のパンナコッタは、牛乳を使わず生クリーム100%でつくられている。

神山さんは「いっときサッパリ系のパンナコッタが流行ったみたいですけど、ウチでは逆に、濃厚に仕上げた」という。その言葉どおり、生クリームの甘さが存分に感じられる。口に含むとあっという間にとろけていく、なめらかな食感もたまらない。

プルプルでとろんとした質感。濃厚な甘さのあとからダージリンの香りが広がる。

オムライスを完食すると、今度は別の味が食べてみたくなること必至。ミートソースやカレーソースのオムライスも、ハンバーグやカニクリームコロッケといったトッピングも気になる。この選択肢の多さが、リピーター獲得につながっているに違いない。

自分の店を持つために居酒屋から学校給食まで経験

神山さんは『キッチンエッグス』をオープンする以前から、ずっと飲食業界で働いてきた。しかし意外にも、初めからオムライス専門店をやると決めていたわけではなかったそう。

サイズを選べるオムライスとデザートでおなかいっぱいに。ちなみにランチメニューは、すべてスープバー付き。

「最初に入った会社が和食のチェーン店だったんですけど、そこで成り上がっていければな~って思っていました。でも当時は景気が悪かったし、ほかの飲食店を見てみたい気持ちもあって、人に誘われて居酒屋に移ったり、大きいチェーン店に行ったり。いろいろまわっているうちに、自分の思うようにやるには独立するしかないと思ったんです」

さらなる知識と経験を身につけるため、神山さんはさまざまな飲食店を渡り歩いた。オムライス専門店はもちろん、イタリアンから洋食店、居酒屋、学校給食まで、その業態は多岐にわたる。

「1皿のオムライスで感動を」とスローガンを語ってくれたオーナーシェフの神山雅明さん。

「どの店でもだいたい店長をやって、オムライスの巻き方やソースのつくり方とか、揚げ物の仕込みとかを覚えました。学校給食もやった理由は、衛生管理を学べると思ったからですね」

この店には、神山さんが積み上げてきた経験のすべてが注ぎ込まれている。オリジナリティあふれるメニューの数々を生み出す発想力もまた、苦労の末に培われたものなのだろう。そう思うと、今度は日替わりオムライスが気になってきた……。

キッチンエッグス(キッチンエッグス)
住所:東京都足立区千住仲町15-2 北千住ダイヤモンドマンション1F/営業時間:11:00~14:30LO・17:30~21:30LO(都合により早めに閉店する場合あり)/定休日:第3月(祝の場合は営業)・火/アクセス:JR・私鉄・地下鉄・つくばエクスプレス北千住駅から徒歩7分

取材・文・撮影=上原純

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