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清酒発祥の地、伊丹市にある“現存する日本最古の酒蔵”『旧岡田家住宅・酒蔵』 伊丹市

Kiss

古くから酒造業の盛んな伊丹市は清酒発祥の地。現在の阪急「伊丹駅」とJR「伊丹駅」の中間あたりの場所は、江戸時代にはもとの有岡城の町家地区を中心に酒造の町"伊丹郷町"として賑わっていたのだそう。

伊丹の酒造りにも用いられている「伝統的酒造り」が昨年12月にユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、その歴史に少し触れてみたくなったので、現存する最古の酒蔵『旧岡田家住宅・酒蔵』に行ってきました。

「旧岡田家住宅」外観

1674年に建立された『旧岡田家住宅・酒蔵』は、かつての伊丹郷町地区にある市立伊丹ミュージアムの中にあり、店舗は伊丹の町家としてもっとも古く、全国的にも数少ない17世紀の町家のひとつ。1992年にはともに国の重要文化財に指定されました。

今回は市立伊丹ミュージアムの前身の一つである伊丹市立伊丹郷町館の元館長の小長谷さんに案内してもらいながら見学しました。

下店

入り口を入るとまずは商家の縁側にあたる下店。建物の中に一歩入るとまるでタイムトリップしたかのような雰囲気の空間が広がります。

店舗

下店の奥には店舗だったスペース。ここで醸造されたお酒の大半は当時"下り酒"と人気が高かった江戸に送られることが多く、一般の人が出入りする店舗というよりは商いの場所という感じなのだそう。

ひなかざりは3月16日まで展示されています(観覧無料)

取材に行った時には店舗横の間に明治・大正・昭和のひなかざりが展示されていました。

大正時代のひなかざり

最近ではあまり見る機会のない立派な7段飾りの雛人形と歴史を重ねてきた住宅が調和していて、美しくて壮観なその姿は思わず見惚れてしまうほどでした。

約350年の間、修繕と補修を繰り返しながら今に残る同住宅ですが、阪神・淡路大震災の際には建物が傾くほどの被害を受け、修復するために一度解体して組み直されたのだそう。柱や梁など建立当時のままのものも多く残っており、長い時を経たからこそ出せる何とも言えない重厚感を醸し出していました。

洗い場・井戸

店舗の奥には、酒造用の米や酒造に使う道具類を洗っていた「洗い場」と「井戸」。一緒に展示してある当時の酒造工程の様子を描いた「日本山海名産図会」のパネルと照らし合わせ見ていると当時の活気が蘇ってくるような不思議な感覚になります。

釜屋・竈

その横には「釜屋」があり、大きな竈では米を蒸し、小さな竈では湯を沸かしていたのだそう。1984年までは実際にこの場所で酒造りが行われていたそうで、それも驚きでした。

酒蔵

そして建物の一番奥にあるのが「酒蔵」。

中にはもろみを搾る「搾り場」があります。酒槽の右側にある男柱から突出する棒を押し下げ、"てこの原理"で圧をかけて搾っていたそうです。

市立伊丹ミュージアムには『旧岡田家住宅・酒蔵』のほか隣接して「旧石橋家住宅」や日本庭園、複数の展示室などもありました。せっかくなのでそちらにも少し立ち寄ってみました。

旧石橋家住宅

県指定文化財にも指定されている「旧石橋家住宅」は江戸時代後期に建てられた商家。住居スペースに上がって見学することもできます。

伊丹郷町クラフトショップ

雑貨商を営んでいた同住宅の店舗部分では現在「伊丹郷町クラフトショップ」が営業されていて、酒器・酒盃台などをテーマとする「伊丹国際クラフト展」で入賞・入選した作家の作品を購入することができます。

展示室4「歴史展示室」には当時の伊丹郷町の町並みを再現した模型のほか、縄文時代から近現代までの伊丹市域の歴史についての多くの史料が常設展示されていました。

初めて訪れた『旧岡田家住宅・酒蔵』と市立伊丹ミュージアムは見どころ満載で、江戸時代にそれまでの白く濁った「濁り酒」ではなく、初めて「清酒」の醸造を始めた"酒造のまち伊丹"の酒造りの歴史と文化を存分に感じさせてくれました。


場所
旧岡田家住宅・酒蔵
(伊丹市宮ノ前2-5-20 市立伊丹ミュージアム施設内)

営業時間
10:00〜18:00(入館は17:30まで)

入場料
無料

休館日
月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始

問い合わせ
TEL 072-772-5959(代表)

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