【終活のススメ】40歳からシニアまで、備えあれば憂いなし
親子で終活に取り組めば、2025年問題も怖くありません。
子どもは「コミュニケーション」、親は「お金と健康」をキーワードにして、安心につながる終活を始めましょう。
教えてくれたのは…
奥山晶子(おくやま しょうこ) 1980年生まれ。葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある
2025年問題とは?
2025年には多くの団塊世代が75歳に到達し、人口全体の約18%が後期高齢者になると予想されています。
すると介護や医療のニーズは高まりますが、社会保障費を担うべき労働人口の割合は減少。
高齢者の一人暮らしや空き家率が増加し、各地で過疎化がさらに進むでしょう。
2025年問題とは、社会構造が大きな転換点を迎える中で生じるこのような影響全体を指します。
民間一丸となった取り組みが急務とされていますが、個々人が自分や家族のためにできることも少なくありません。
一世帯で見ても高齢者が増え、数少ない働き世代に負担が集中する家庭は多いでしょう。
世代を問わず終活を行い、未来に備える必要があります。
高齢の親と一緒に進める終活
40代から葬儀やお墓の準備を始める必要はありませんが、できることはあります。
特に親子2世代のコミュニケーションが進んで終活がはかどる、次の2つがおすすめです。
生前整理
40代でもサヨナラしなきゃいけないものは多いはず。
「学生時代の参考書」「若い頃の服」「わが子がもう使わない服やおもちゃ」など。
特に実家を物置化している人は要注意で、親の終活の邪魔になってしまいます。
また、時間のかかるアルバム整理にも今から家族で取り組みましょう。
写真を見るたび懐かしい思い出がよみがえり、家族間で話が弾むはず。
残す写真をデジタル化して保存するのも、子世代の力の見せどころです。
エンディングノートの作成
親子で同じエンディングノートを購入すれば、書くべき内容に迷うとき相談し合え、そのたび親の考えが分かります。
できれば一歩進んで両親にヒアリングし、今の時点で親が亡くなったら相続される「遺産」を把握しておきましょう。
きょうだいも巻き込み、相続について話し合えるとベストです。
項目の中でも特に大事なのが財産目録です。
現時点で自分や家族が入っている保険、通帳情報、不動産、骨董・宝飾品などを洗い出しましょう。
今後のライフプランを考えるきっかけにもなります。
葬儀や介護などまだイメージしづらい部分は空欄でOK。
子どもに迷惑をかけないための終活
老後の不安の代表格は「お金」と「健康」。
この2つをキープできれば、子どもに大きな迷惑をかけません。
お金も体も、大事に守るだけでなく積極的に動かすのがこつ。
健康維持
介護が始まると子どもに頼らざるを得ない場面が増えます。
健康維持が一番の終活です。
健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を「健康寿命」といい、女性は75.38歳、男性は72.68歳が平均値(令和元年厚生労働省) 。
健康寿命を伸ばすため、適度な運動を続けましょう。
健康維持には1日8000歩程度のウォーキングが効果的といわれ、「週1、2日程度でも死亡リスクが低下する」と語る研究グループもあります。
フィットネスクラブでマイペースに運動を楽しむのもいい方法です。
老後に備えた資金形成
資金形成といえば投資。
投資信託、株、債券、iDeCoやNISAなど投資先はさまざまですが、シニア世代にとって外せないのは「低リスク」な「短期投資」。
金融機関やFPに相談し納得の投資先を探しましょう。
保険の見直しも資金形成に有効です。
家族構成や年齢が変われば、いざというとき必要な金額も変わります。
費用を抑えて適した保険に加入できるかもしれません。
また葬儀保険などでいざというときにまとまった金額を用意できると、家族の安心につながります。