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【ciatr'sベスト/11月】『ロボット・ドリームズ』セリフなしで泣ける、今秋観るべき最高のアニメ映画

ciatr[シアター]

ロボット・ドリームズ

毎月公開される作品の中から、ciatr編集部おすすめの1本を厳選して紹介するciatr'sベスト。11月にciatrが猛プッシュする作品は、2024年11月8日公開のアニメ映画『ロボット・ドリームズ』です。

本作は、サラ・バロンの同名グラフィックノベルをスペインの監督パブロ・ベルヘルが映画化したもの。第96回アカデミー賞・長編アニメーション映画賞のノミネートをはじめ、各賞で高評価を獲得しています。

ニューヨークで暮らす孤独なドッグが友だちロボットと出逢い、生活が一変していく――。セリフなし、映像と音楽だけで物語を丁寧に紡いだ本作は、感涙必至のアニメーション映画です。

11月に観る作品に迷ったら、『ロボット・ドリームズ』がおすすめ!本作の魅力をトリビアとともに紐解いていきます。

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映画『ロボット・ドリームズ』作品概要・あらすじ

あらすじ

大都会ニューヨーク。ひとりぼっちのドッグは、孤独感に押しつぶされそうになっていました。そんな物憂げな夜、ドッグはふと目にしたテレビCMに心を動かされます。

数日後、ドッグの元に届けられた大きな箱――それは友達ロボットでした。セントラルパーク、エンパイアステートビル、クイーンズボロ橋……。ニューヨークの名所を巡りながら、ドッグとロボットは深い友情を育んでいきます。

ふたりの世界はリズミカルに色づき、輝きを増していきました。しかし、夏の終わり、海水浴を楽しんだ帰りにロボットが錆びて動けなくなり、ビーチも翌夏まで閉鎖されてしまいます。

離れ離れになったドッグとロボットは、再会を心待ちにしながら、それぞれの時を過ごします。やがてまた巡りくる夏。ふたりを待ち受ける結末とは――。

絶妙なビターなアクセント!友情と絆、喪失の先を描く

本作のテーマについて、監督は「友情や絆、そのもろさ」、そして「喪失からの前進」であると語っています。

孤独なドッグはロボットと出会い、日常を通して絆を深めていきます。ふたりで映画を観たり、ホットドッグを食べたり、「セプテンバー」に合わせて踊ったり。

ふたりが過ごす何気ない日常のシーンは微笑ましく、心地よい時間が流れていきますが、これらのシーンが真価を発揮するのは、映画の後半。アクシデントによりがふたりが離れ離れになった後のことです。

海でロボットが動かなくなるアクシデントに見舞われ、ドッグに突然の喪失が訪れます。

その後ドッグは映画を観ても、ホットドッグを食べても、アース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」が流れてきても、そのたびにロボットを思い出し、映画前半で描かれた何気ない日常こそがかけがえのないものだったと気づきます。

監督は本作について次のようにも語っています。

「喪失を乗り越えることもテーマのひとつだ。人生の中で疎遠になった人や亡くなった人々も、記憶の中で
私たちと共に生き続ける」

「本作を見る人たちも誰であれ、思い出の歌や場所があると思うんだ。ニューヨークのような大都市に限らず、幼少期に夏を過ごした村とかね。観客の心を最後まで引きつけることを目指した」

本作の素晴らしい点は、喪失で終わらず、その先の選択をしっかりと描いているところです。映画のクライマックスで、ドッグに訪れる運命のいたずらと彼が下す決断を、ぜひ劇場で目撃していただきたいです。

映画ファンにささる小ネタも充実

80年代ニューヨークを舞台にした本作には、当時のアメリカのカルチャーに関する小ネタやディテール、見つけると楽しい名作映画のオマージュなど、隠し要素が散りばめられています。

映画関連の小ネタ・オマージュ集

「スター・ウォーズ」のロボットが隠されていた?

ドッグのベッドルームの窓近くには、「スター・ウォーズ」の C3PO、R2D2、1956年公開のSF映画『禁断の惑星』のロボットロビー、日本の1970年代のアニメ『マジンガーZ』のおもちゃが置かれています。

スパイク・リー監督がカメオ出演?

地下鉄シーンに、黒縁メガネにストリートファッションに身を包んだキャラクターが映り込んでいました。

このキャラクターが1986年公開の映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』で、同作の監督スパイク・リーが演じたマーズ・ブラックモンにそっくりです。

ペットセマタリー?

ペット霊園を舞台にした映画『ペット・セメタリー』。

スティーブン・キングの小説を原作とした同作の原題は『Pet Sematary(ペット・セマタリー)』です。お墓を意味するセメタリーの正しいスペルは「Cemetery」ですが、作品では霊園の入口の看板を子どもが書いた設定のため、『Pet Sematary(原題)』というタイトルが採用されていました。

『ロボット・ドリームズ』に登場する霊園の看板にも、間違ったスペルの「Sematary」が採用されています。

『タクシードライバー』の主人公・トラヴィスとスコセッシ

タクシーが道路に止まるシーン。その運転手のキャラクターが映画『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロ演じるトラヴィス、乗客がその監督のマーティン・スコセッシに似たキャラクターでした。

その他の小ネタ・設定集

ロボットの正式名称は"ともだち”

本作のロボットの正式名称は「AMICA 2000」。AMICAはイタリア語で「友だち」を意味する言葉です。

FIFAワールドカップ公式マスコットが隠れていた

映画序盤、ドッグのバッグにオレンジのキャラクターがプリントされていました。このキャラは1982年開催のFIFAワールドカップ、スペイン大会の公式マスコットです。

監督はアニメ映画初挑戦のパブロ・ベルヘル

本作でメガホンを取ったパブロ・ベルヘルは1963年12月21日生まれ、スペイン出身の映画監督、脚本家。1998年に日本のバンド・SOPHIAの楽曲「黒いブーツ ~oh my friend~」のMV監督を務めていたり、日本人のミュージックエディター・原実夕子と結婚するなど、日本にゆかりの深い人物です。

これまでに映画を短編を含め3本撮っていますが、アニメーション映画は1本もなく、『ロボット・ドリームズ』は、彼にとって初のアニメ映画監督への挑戦でした。

グラフィック・ノベルの収集が趣味だったパブロは、2010年頃にサラ・バロンの原作に出逢っていましたがその際は映画を制作するとは思ってはいませんでした。その後、2018年に再度読み返したときに、初見時を上回る感動を得て、映画制作の決意に至ったといいます。

『ロボット・ドリームズ』メイキング映像

パブロ・ベルヘルが手掛けたSOPHIAのMV

あなたの人生にそっと寄り添う傑作『ロボット・ドリームズ』

パブロ・ベルヘル監督が5年の歳月を費やし、完成させた映画『ロボット・ドリームズ』は2024年11月8日より公開中です。

“出逢い"と“喪失"、普遍的なテーマを描いた本作は、セリフがないながらも、いきいきと描かれたキャラクターと、シーンに絶妙にマッチした音楽が雄弁に語りかけてくれます。

11月なにを観るか迷ったら、本作を猛プッシュします!今後の人生において、そっと寄り添い続けてくれるような大切な作品になりえるはずです。

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