相模原南署 「自転車、ルール順守を」 死亡事故発生に警鐘
南区内で1月24日、見通しの悪い交差点で自転車と普通乗用車が衝突する死亡事故が発生した。相模原南署は「車両も人も自転車も見通しが悪い交差点では確実な安全確認を」と呼び掛け、パトカー巡回を強化している。
先月死亡事故が発生したのは上鶴間3丁目の住宅街の四差路。信号がなく見通しの悪い交差点で、乗用車が右折する先から直進してきた自転車と衝突した。
交差点には乗用車側の道路に一時停止の路面標示がされているが、相模原南署の署員は「自転車関連の事故は特に交差点の事故が多い。一時停止の表示がなくても交差点では必ず確認して通行するよう注意してもらいたい」と強く呼び掛ける。
県ワースト5位
同署によると南区内で2024年に発生した交通事故件数は618件。そのうち自転車事故件数は209件で県内5番目に多い。交通事故件数に占める自転車事故の割合は33・8%で県内平均24・9%(23年)よりかなり高く、県の24年度「自転車交通事故多発地域」に指定されている。
同署員は「南区は平坦な地形から自転車利用者が多いとされ、道路が狭く自転車事故が多発しやすい」と指摘する。
自転車事故の内訳では左折時の巻き込みが44件で最も多い。昨年区内で発生した交通死亡事故は2件でどちらも自転車が関連している。そのうち1件は左折してきた大型車に自転車が巻き込まれたもの。同署員は「自転車の走行時は車の死角に入らないよう、また交差点では車が左折してこないか必ず確認をしてほしい」と話す。
9割がルール違反
こうした状況を受けて相模原市は昨年3月、交通ルールを記した「自転車利用ハンドブック」を1万5000部作成した。ハンドブックには「ながらスマホ運転」や「自転車並行走行」などの禁止行為や「原則車道の左側通行」などのルールが明記されている。
市交通・地域安全課の職員は「自転車のルールは複雑で分かりにくい。それが浸透しない要因と感じ、今回のハンドブックでは最低限のルールをまとめた」と説明する。ハンドブックは今年度、市が実施した自転車用ヘルメットの購入費の補助の申請者1万1230人に配布したという。
相模原南署では、自転車の講習会を区内学校や自治会などで実施している。昨年は21回、3583人が受講した。
同署員は「県内の自転車死亡事故の約9割が、自転車側に何かしら違反があるという統計がある。『自転車は車両』という意識でルールを守りヘルメット着用も心がけてほしい」と、強く呼び掛けた。