西宮の『洋食むーしゃむーしゃ』で味わう“100年”受け継がれるハンバーグ 西宮市
阪急西宮北口駅と西宮ガーデンズの間、住宅街の一角に佇む『洋食むーしゃむーしゃ』(西宮市)。ランチタイムには行列ができる人気店です。その味のルーツは、大正時代にまでさかのぼり、4代にわたって“食”と向き合い続けてきた歴史があり、100年の時を超えた、今も変わらぬ味を届け続けています。
そんな“本物の洋食”が味わえるのは、11時〜15時30分のランチタイムだけ。限られた営業時間とあって、クチコミやSNSを通じてその評判はじわじわと広がり、今では地元だけでなく遠方から訪れる人も少なくありません。
まず、お店に入ってすぐ右手にある券売機で食券を購入します。老舗では珍しいスタイルですが、どれにしようか迷う時間も楽しいものです。
店内の雰囲気は、オーナーシェフのこだわりで“アメリカ ブルックリンスタイル”をテーマに設計されており、木の質感の家具やコンクリート調の壁に、“緑”の観葉植物をさりげなく取り入れています。
今回は、一番人気の「Aセット」をいただきました。100年ハンバーグの“100年”とは、ハンバーグだけでなく、コロッケやソースなどを含めた洋食の伝統を受け継いできた証で、お店のメニューのほとんどが、先代から守られてきたレシピで作られています。
100年ハンバーグに、エビフライ、エビクリームコロッケ、ライスまたはパン、そして季節のスープが付く、洋食の魅力を余すことなく味わえる贅沢なセットで、プレートの上には、主役だけでなく、アーリーレッドのマリネやポテトサラダなども添えられ、五色を意識した華やかな盛り付けになっています。
ハンバーグは、見た目はシンプルながらも、口に入れると肉本来の力強い味わいに加えて、野菜の甘みやコクが重なっているのが特徴です。脂っぽさがなく、噛むほどにじんわりとうまみが広がり、しっかりと食べごたえを感じさせてくれます。
味の決め手となるデミグラスソースは、野菜をじっくり煮込んで裏ごしし、ブラウンソースを加えて3日間かけて仕上げるという手間のかかったもの。濃厚なのに重たくなく、どこか懐かしさも感じる深みのある味わいです。
厨房では、オーナーシェフがハンバーグを一つひとつ丁寧に焼き上げていきます。特大フライパンに10個ほど並べ、表面に焼き色をつけてから、さらにオーブンで8分ほどじっくりと火を通すのだそう。無駄のない動きと集中したまなざしに、100年以上続く味を“守る”という覚悟がにじんでいました。
「手間はかかるけれど、それが普通のことだと思っている」。そう語るオーナーシェフは、“料理と人“、そのどちらにも真摯に向き合いながら、一皿を作り続けています。お客様の前に届くその瞬間こそがもっとも大切だと考えているからこそ、盛りつけや接客マナーに至る細部にまで徹底されています。
仕込みの段階でずらりと並ぶハンバーグ。一つひとつ手作業で仕込まれ、丁寧に焼き上げられていきます。
“一皿の洋食”に込められた100年の物語は、伝統を大切にしながらも革新を重ねるオーナーシェフの手によって、食文化を未来へとつなぐ“時間の懸け橋”となっています。想いを込めて受け継がれる味の鼓動が、今日も誰かの心をそっと満たしています。
場所
洋食むーしゃむーしゃ
(西宮市高松町16-22)
営業時間
11:00~15:30(L.O.15:00)
定休日
月曜日(祝日の場合は営業し、火曜日休)
詳細はお店の公式Instagramをご確認ください
駐車場
なし