座間市 ポイント還元実施へ キャッシュレス決済、来年5月に
座間市が来年5月、キャッシュレス決済ポイント還元事業を実施することになった。佐藤市政ではこれまでに2度、プレミアム付商品券を実施してきたが、キャッシュレスの支払いに対するポイント還元事業は初の試みになる。
事業費の上限を定める債務負担行為(2025年度)を設定する24年度一般会計補正予算案が、座間市議会12月定例会最終日の12月23日に賛成多数で可決されたことで事業の実施が決まった。事業費の上限は1億6千万円で国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用する。
市の説明によると事業費の内訳はポイント還元が1億5千万円で事務費は1千万円。還元率を20%とした場合に市内で使われるのは7億5千万円になる。22年度に発行したプレミアム商品券では約6600万円だった事務経費は、ポイント還元事業だと1千万円ほどになるという。
ポイントの還元率や、還元したポイントの地元への再還元など、12月定例会で議論が交わされた課題も含めて年度内に実施方法を固め、25年度当初予算案に事業費を計上して、議会の承認を得て実施が正式に決まる。
賛否が均衡
財源確保に必要な債務負担行為の設定を審議した12月23日の市議会本会議では、自民党がキャッシュレス決済ポイント還元事業の債務負担行為を削除する修正動議を提出した。
この動議に公明党とあおぞらひまわりの会の合わせて10人が賛成したが、新政いさまと共産党、無会派の議員ら11人が反対に回り動議を否決、原案が可決された。
本会議の討論で自民党の高波貴志氏は「キャッシュレス決済を否定するものではない」と前置きした上で、「すべての市民、市内事業者を分け隔てなく一律に支援することが公平かつ公正だ」と主張。公明党の鈴木一寿氏は「効果を行き渡らせるためには水道料金の減免のほうが良い」と述べて、修正案への賛意を促した。
ポイント還元事業実施を推進したい議員からは、「これまでにプレミアム付商品券や水道料金の減免も実施してきた」、「キャッシュレス決済の普及に向けた一歩にもなる」、「20代を中心とした若者世代への有効なアプローチになる」といった声も聞かれた。
議員からの質疑に対し佐藤弥斗市長は、「物価高騰の影響を受けている消費者や市内事業者の経営を支援できるほか、DXの推進など副次的効果も期待できる」とキャッシュレス決済ポイント還元事業の意義を繰り返し強調していた。
各地でポイント還元
キャッシュレス決済ポイント還元事業は、県のほか横浜市や相模原市、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、伊勢原市、秦野市などですでに実施されている。座間市が実施すれば大和市に次ぐ県央地域では2番目となる。
多くの自治体が既存の大手決済サービスを活用してポイント還元を実施しているが、秦野市は12月に電子地域通貨を導入してポイント還元事業を実施。還元したポイントも地域内で消費できる仕組みを構築した。
東京都では、都が実施するキャッシュレス決済のポイント還元事業に自治体が独自に上乗せ還元事業を実施するなど、非接触型のキャッシュレス決済普及と経済効果の両方を標榜する取り組みは広がりを見せている。