命と引き換えに犠牲となった数えで18歳以上の女性たち 語りの大竹しのぶからのコメントも到着『黒川の女たち』
「カジノ誘致」の是非を争点にした横浜市長選、その最前線を追い、反旗を翻した藤木幸夫と市民の姿を描いた映画『ハマのドン』(2023年公開)を監督した松原文枝監督のドキュメンタリー映画第2作目となる『黒川の女たち』がこの度完成した。
「接待」という名の性暴力
いまから80年前の満洲で起きた「接待」という名の性暴力の実態、日本の敗戦とともに消えたまぼろしの国で生きて日本に帰るために、敵であるロシア軍に助けを求めた開拓団の話だ。
命と引き換えに犠牲となったのは、数えで18歳以上の女性たち。15人の女性たちは性の相手として差し出されたという。この事実は長年語られることなく、沈黙の中に沈められていた。しかし、戦争から70年の年月を迎えようとしている2013年、公の場でこの事実を明かした。本作はそんな女性たちのオーラスストーリーを丁寧に紡いだ作品となる。
戦後80年の今年7月12日(土)よりユーロスペース、新宿ピカデリー他全国順次公開される本作。公開決定に併せて本作のメインビジュアルが完成した。
満州で撮った女性たちのカメラ目線の一枚の写真、そして下に並ぶのはこの記憶を語るべくカメラの前に立ってくれた女性たちの表情をおさえた力強い一枚に仕上りに。
また、本作の語りを担当してくださったのは、大竹しのぶさん。この度、公開に併せて大竹しのぶよりコメントも到着した。
大竹しのぶ
映画の中で、佐藤ハルエさんがひ孫の赤ちゃんに「笑った、笑った」と満面の笑みを浮かべて喜ばれて、手を合わせるシーンが大好きなんです。この世界に生まれて来てくれて有難うという気持ちが伝わって来て、いつまでもそういう時代が続いて欲しいなと願います。自分たちの孫やひ孫が幸せであり続けるために。過去をきちんと知り、未来を考えることをしなくてはいけないと思います。
『黒川の女たち』は7月12日(土)ユーロスペース、新宿ピカデリー他全国順次公開