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中国「渡航自粛要請」真っただ中の大阪・難波に行ったら、今後の街が心配になった

ロケットニュース24

連日ニュースで報じられる日中関係の冷え込み。当サイトではこれまで浅草、上野、京都、奈良などさまざまな場所へ行き現地の様子をお伝えしてきた。

そして今回筆者が訪れたのは、大阪・難波。国内外から多くの観光客が訪れる「ミナミ」エリアでは、果たしてどれぐらいの影響が出ているのだろうか?

【写真】難波の様子はこうだった

・難波の治安はよくなった?

筆者はここのところ、関西の観光地を中心に現状を見て回っている。前々回は京都を、そして前回は奈良を訪問したが、その2ヵ所と難波の間には大きな違いがある。

それは、京都と奈良が古都としての観光地であるのに対して、難波は都市としての観光地であるということ。前者は文化や景色が主な目的であるのに対して、後者は食事や買い物が主な目的。

そう考えると 難波は日本人の買い物客も多そうだから、多少観光客が減ったところで影響が少なそうな気がするんだよなぁ。

……そんなことを考えながら、まずやって来たのはグリコ看板前(えびす橋)。

時刻は午前11時。人の多さは想像通りだが、思っていた以上に海外からの観光客だらけだ!

グリコのポーズをとって写真を撮影している人はもちろん、自撮りをしながら実況っぽいことをしている人までいて、京都や奈良にも負けない観光地としての人気ぶりが見える。

大体半分以上がインバウンド客だろうか。1番多いのはアジア人、2番目が欧米人って感じ。ただし中国を中心とした東アジア系の方は少なく、東南アジア系の方が多いように見えたかな。

──そういえば、ここ10年ほどで難波の街もずいぶん雰囲気が変わったよなぁ。

筆者の記憶の中では、グリコ前ってもっと怖いイメージだった。たむろする若者や飲み屋のキャッチがいっぱい立っていて、若かった当時は「話しかけるなよ」という殺気のオーラを出しながら歩いたっけ(あんまり意味なかったけど)。

もちろん勝手に治安がよくなったワケじゃなく、「客引き行為等適正化重点地区・客引き行為等禁止区域」に指定された結果。有難い限りだ。

だが、良い変化ばかりかと聞かれるとそうとも言い切れない。筆者がそう思う理由のひとつが、治安の改善とともに増えたドラッグストアだ。

写真に写っているダイコクドラッグをはじめ、マツモトキヨシ、ココカラファイン、スギ薬局、サンドラッグ、ツルハドラッグ、コスモス、コクミンドラッグなど……難波はもう、10歩歩けばドラッグストアがあるような状態。

コロナ禍前に中国からの爆買い客が押し寄せ、需要にこたえるために乱立したのだとは思うが、それが原因で商店街に多様性が消えてしまったことは間違いないだろう。

・心配になる難波の街

筆者が大きな異変を感じたのは、そんなドラッグストアのひとつに入店した時のことだ。

1階は市販薬、2階は化粧品を中心に取り揃える店内を歩いて回ったところ……お客さんがほとんどいなかったのだ。

その割にスタッフの人数は多く、「中文可能」と書かれた札を付けて何をするでもなく立っている。圧倒的に客より多い。

これはなにも1店舗だけに限った話ではない。どの店も、それこそ目につく限り手当たり次第に10店舗以上入ってみても、どこも同じように閑古鳥(かんこどり)が鳴いているような状態なのだ。

こんなに都会なのに、逆に穴場状態。その証拠と言えるかはわからないが、筆者の地元では売り切れているアイラインをゲットすることまでできてしまった。

こんなにガラガラで大丈夫なんだろうか? 心配になって会計時にスタッフから話を聞いてみたところ、

「今の時間帯はまだ少ないだけですよ。夕方になると海外のお客さまが増えるんです」

とのこと。その真偽を確かめるため、筆者はこのあとランチを食べて時間をつぶし、15時過ぎになって同じ場所に戻ってみたのだが……

うぅぅ~ん。若干増えてはいるけど、0人が5人になったぐらいの微々たる違いだなぁ。

たまに客入りのよいドラッグストアもあるけど、それでも爆買いからは程遠く自分が使い切れる量だけをちょこっと買っている人が多い印象。少なくとも筆者が見た時間帯に関しては完全に供給過多で、インバウンドどころか日本人の買い物客まで少ない。こんな状態が続けば閉店間違いナシである。

これと同じような印象を抱いたのが、高級ブランド系のショップ。

新品・ユーズドを合わせるとドラッグストアの次ぐらいに店舗が多いのだが、どの時間帯もお客さんが少ないように見えた。商品1個あたりの利益が大きいのかもしれないが、それでも売り上げの減少は半端なさそうだ。

──それなら、大量の観光客はどこで何をしているんだろう?

不思議に思って歩き回ってみると、道頓堀商店街に人が殺到している。

特に「THE大阪」って感じの飲食店……例えばたこ焼きなどが人気のようで、逆に明らかなインバウンド狙いの和牛や海鮮は人が少ない。

難波に来る多くの観光客は地元民のような体験がしたいのであって、作られたクールジャパンには興味がないのかもしれない。彼らの気持ちはよくわかるが、インバウンド向けに進化を遂げたであろう難波の街の行く先が心配になってしまった。

・日本人にも広がる中国文化

さて、ここまではインバウンド客から見た難波の街について書かせてもらったが、最後に日本人から人気を集めている中国の文化についても触れてみようと思う。

まずは若者を中心にブームとなっている麻辣湯。

難波にも何店舗か新しい店がオープンしており、何を隠そう筆者自身も大好き。この日は『楊国福(ヤン・グオフー)』という中国のチェーン店でランチを食べることにした。

店外の行列まではできていなかったが、店内は常に満席状態。そしてスタッフが全員中国人であるのに対して、お客さんは全員日本人女性という点が意外だった。

自分で好きな具材を選び、100gあたり400円で量り売りするというセルフスタイルが面白い。練り物・肉・野菜・春雨などを選んで税込1470円を支払った。

出来上がった筆者の麻辣湯がこちら。

スープは辛さ控えめでコクがあり、後味にほんのり残る花椒の痺れもほどよい。まさに本場の味って感じで文句ナシに美味しい!

本当はスタッフさんにも話を聞きたかったのだが、あまりに忙しそうだったので遠慮してしまった。

次々と訪れるお客さんに対応してレジを打ち、その合間に配膳をして片付け、時には売り切れた具材を補充する。決して愛想はよくないが、その無駄のない動きや真面目な働きぶりは見ていて心地よいほどだった。

さらに、もうひとつ。最近世界中で人気を集めている中国発のものといえば『POP MART(ポップマート)』の商品である。

「なにそれ?」と思った方でも、『ラブブ』という名前なら聞いたことがあるんじゃないだろうか。

この日のポップマート大阪なんば店は朝から抽選による入場制限があり、途中から(おそらく人気商品が売り切れたあと)は自由入場となっていた。

せっかくなので、筆者自身もぬいぐるみペンダントをひとつ購入。

まさか実店舗に入れるとは思っていなかったため、大満足の買い物となった。

「もうブームは終わり」という声も聞かれるラブブだが、1万円以上するフィギュアを躊躇なく買う人がいたり、店内に置かれたディスプレイフィギュアと記念撮影する人がいたりと人気は健在。中には転売目的のバイヤーもいるのかもしれないが、全員がそうとは思いにくいほどの人気ぶりだった。

・平和的な解決を願う!

──以上、筆者が目撃した大阪・難波の様子でした。

まとめると、「インバウンド観光客は多いが中国人は少なそう」「ドラッグストアやブランドショップが不人気で心配」「中国発祥の文化も根付いている」といった感じだ。

ここまで京都・奈良・大阪と街の様子を見てきたが、どこも少なからず日中関係の影響を受けている模様。難波は特に、買い物客が減るという痛手を負っているように見えた。

日本にとって、インバウンド観光客の経済効果は もはやなくてはならない存在。多すぎて地元住民を圧迫しては困るが、少なすぎても経済的なダメージを受けてしまう。

日中関係が落ち着くまでにどれぐらいかかるのかはわからないが、なるべく早く、双方にとって損のない形で平和的に落ちついてくれると嬉しい。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

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