18年ぶりに、空調服にアタック!あれからどう変わった?
わざわざ言わないで!と、言われそうですが、毎日ものすごい暑さですね。今日は、みなさん、恐らくどこかしらで目にしたことがある、暑さ対策のアイテムのお話。
これ、着てないと仕事にならない!
まずは、このアイテムを着ている方々に、お話を聞いてきました。場所は建築工事現場です。
「あ~、無きゃあ、もう外仕事できないんじゃないんですか?みんな。もう死活問題くらいヤバイから、暑さが。着てないと仕事にならない。もう外仕事できない。」
「これ、あった方がいいですね。ずいぶん違いますね。あと、見た目もカッコいいし。涼しい風が入ってくるといいっすね。もっとエアコンみたいになったらいいと思います。」
「これ無かったら、死ぬ感じなんすけど、まああれば、そこまでひどくはないっす。(汗びっしょり)びっしょりだけど、着てないよりは全然マシ、全然違うっす。だから、私服でも、これ穴開けて付けてもいいんじゃねえかなって思っちゃうんすよね、うん。普段着でも。絶対今ヤバイじゃないですか。(私、初めて取材したのが18年前で)これ18年前?そんな古いんす?へえ~。(出来てよかった)いや、ホントっす。ホント幸せっす。」
あの、扇風機が付いた服です!
実は、2006年の現場にアタックで、世に出たばかりの【扇風機のようなファンの付いた服、空調服】を、この夏のヒット間違いないアイテムとして紹介したんです!当時取材をした、空調服を開発した市ヶ谷社長は、初めて見る人にはキワモノですよね。でも、2006年を服の電化元年にしたい!と話されていました。
時が流れて、今では、現場の職人さんたちが言うように、無くてはならない物。7月には東京ディズニーランドのスタッフも空調服を着ている!と話題になりました。
18年経って、市民権を得た空調服!!
そこで、18年ぶりに空調服にアタックしました。18年でどう変わったのでしょうか?当時、お話を伺った社長、今は会長の、株式会社空調服、市ヶ谷弘司さんのお話です。
(18年ぶりにお目にかかって、お話を伺いました。株式会社空調服の市ヶ谷弘司会長。)
「いや、そのころは物珍しさがあって、ある程度売れてたっていう面もありましたけど、だけど、会社としてはもう火の車で。
今となっては、夏作業するのは空調服着るのが当たり前、っていうような時代に、やっとなってきましたけど。それで、今はもう、色んなところで真似してくるのが多くって、そっちの方が頭が痛いっていう。
まあ、発明して開発した者から見ればですね、みんな、私が発明したモノを使ってんですから、まあいいんですけど、ちょっと会社の立場からするとですね、うちのシェアをもっと伸ばしたいですけどね。
空調服っていうのは技術的に非常に、私が言うのも変ですけど、ある意味、汗を気化させてっていう本質的なものなんで、ちゃんと真似してるところは割とそれなりに。多少悪くても効いちゃうわけですね。ですから、すごいんですよ、他社でも。でもうちのはもっとすごいんだけど。まあでも、真似されないモノっていうのは、たぶんダメなモノですよね。」
市民権も得たけど、ライバルも増えちゃいました。同じようなモノを作っているのは10社やそこらじゃきかないでよね、と。それは、発明家としては嬉しいですが、元祖・空調服の会社としては譲れないですからね!
特許は?と聞くと、申請した物もあったのですが、もう特許が切れてしまっていたり、火の車の時代は、本当に倒産の危機で、特許の申請どころじゃなかったんですよ、と。
ちなみに、空調服ブレイクのきっかけは、鉄筋関係の小さな商社から頼まれて、【鉄筋屋さんの空調服】というのを作ったこと。市ヶ谷さんたちが、鉄筋を担ぐ用に肩にパットを入れたものを作ったら、鉄筋工の方々が非常に気に入って、どんどん着てくれるようになったんです。
建築現場というのは、外からも見えるし、色んな業種の人が出入りするので、それ、何着てるの?と聞かれるし、着てる方も快適だぞと自慢するしで、一気に広がりました。(2012~2014年頃)
それに加えて、ここ数年の夏の酷暑で、建築現場だけでなく一般のアパレルメーカーもオリジナルデザインの空調服を作りたい!と言ってきて、日常に使える空調服も続々登場しています。
(抱っこひももあるんです!)
(こちらは、アパレルブランドのタケオキクチの別注品の空調服です!)
次なる開発は、理想の空調服!!
18年で、空調服はすごく売れて、すごく変わったんだな~と思ったのですが、ちょっと意外な答えが返ってきました。再び市ヶ谷さんのお話です。
「あんまり変わらないんですよね、発明者から見ると。風量が上がったとか、(電池の)持ち時間が上がったとか、それはバッテリーが大きくなったからですね。まあ見た目とかそういうのはだいぶ良くなりましたけど、本質的にはですね、変わってないんですよね。
まだ、当時から見てほとんど改良されてないっていうのは、風量の自動調整ですね。風量を汗(の量)に応じて調整するっていう自動調整機能があればいいわけなんです。まだ、身体が汗を出してないときはファンを止めて、汗がどんどん出るようになってから、それに応じた風量にする、と。
それが一番理想的なんですけどね。まあ、結構、技術的にはハードルが高いっていうか、まあめんどくさいというとあれですけど、汗とかいろんなところにセンサー付けてですね、そういう風にすると、ものすごく良いモノになるんですね。・・・なんかライバル会社に技術情報、提供しちゃってるかなぁ?」
空調服は汗という水分を気化熱に変えることで冷却します。つまり、暑い日の熱い空気が入ってきても、ちゃんと汗があれば、そして、その汗の量に合った風の量があれば必ず冷えるんです。しかし、まだ汗が少ないのに風量が多いと、気化する水分が無いので、熱い空気のまま、通り過ぎてしまうことになるのだそう。
それを、自動で検出して、最適な風量を送り込めれば、もう完璧!
会長室にはホワイトボードがあって、何やらファンやら線やらが描いてありました。次なる空調服のアイディアか??
今回は18年ぶりにお話を伺いに行きましたが、今年2024年に紹介した、空調服の理想形が実現したら、またお話を聞きに行きます!
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)