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「ふくしま発酵フェア」開催。五感で味わう食と文化の魅力を発信【福島県いわき市】

ローカリティ!

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イオンモールいわき小名浜にて2025年6月7日、福島県内の発酵文化の魅力を発信するイベント「ふくしま発酵フェア」が開催された。このフェアは、発酵文化を通じて観光誘客を促進する「ふくしま発酵ツーリズム推進事業」の一環で、「ふくしまプレデスティネーションキャンペーン」に連動して実施されたもの。地元の観光や文化を“食”を通じて発信しようという、福島ならではの取り組みだ。

会場では、味噌や醤油麹(しょうゆこうじ)の手づくり体験、県産発酵食品の販売、観光と食文化を結びつける企画などが展開され、多くの家族連れや食に関心のある来場者でにぎわいを見せた。

子どもたちも夢中!味噌づくり体験

この日、体験ブースで味噌づくり体験を担当したのは、糀和田屋(本宮市)の三瓶正人さん。この日第一回目の回には8組が参加し、にぎやかな雰囲気の中でそれぞれが味噌づくりに挑戦した。

▲講師の三瓶正人さん。穏やかな語り口と、参加者一人ひとりに寄り添う丁寧な声かけが印象的だった(筆者撮影)

参加した女の子は「味噌を作るのは初めて。ねんどみたい!」と話した。また、他の参加者からは「自分で作った味噌を持ち帰って食べるのが楽しみ」といった感想が寄せられた。

発酵が導いた、カフェのかたち

隣のブースで発酵調味料「醤油麴」づくり体験を担当していたのは、いわき市で「Knuckles Café」を営む舘敬さん。農家に生まれ、自家製のぬか漬けに親しんでいたことから発酵に興味を持つようになったという。

▲「Knuckles Café」は市内の旧国民宿舎で営業していたが、今年5月に移転し、再スタートしたばかり(筆者撮影)

「カフェの方向性を模索していた時、“発酵”というキーワードに出会ったんです。ちょうどその頃、コロナ禍で自家製調味料や健康への関心が高まり、自然とこのテーマに導かれました」と舘さんは語る。

▲自慢の発酵調味料を紹介してくれた舘さん。シンプルなデザインにも目をひかれる(筆者撮影)

ブースには、同カフェならではの個性的な発酵調味料がずらり。米糀・青唐辛子・しょうゆをそれぞれ1升ずつ使った「三升糀」は、小野町では「一升糀」と呼ばれるなど、地域ごとの呼び名やアレンジがあるのも興味深い。使用する唐辛子は、福祉施設で栽培されたもので、日光種と激辛種の2種類を使い分けている。「グラタンに入れてもおいしい」という声も聞かれた。全量を施設から買い取ることで、地域の福祉との連携を実現している点にも、発酵文化が持つ“人を結ぶ力”が感じられた。

▲注目は「カレー麹」。一見ミスマッチに思えるが「グラタンに入れてもおいしい」のだとか(筆者撮影)

福島が誇る発酵文化、全国へ

今回のフェアを担当した福島県観光交流局・観光交流課の大越さんによれば、福島県は2020年から他県に先駆けて発酵文化に着目した取り組みを進めてきたという。

「今年は特別列車SATONOを利用して郡山、会津・喜多方にあるワイナリーや酒造店などを巡る“美を醸すふくしまの旅”が特に人気で、すでにキャンセル待ちの状態。福島の発酵文化への注目度は、ますます高まっています」と大越さんは言う。

▲1泊2日コースで見学予定のふくしま逢瀬ワイナリー。テイスティングと買い物も楽しめる予定(筆者撮影)

「ふくしま発酵フェア」は、これまで浪江町や福島市内の各施設、また、都内にある福島の物産館「日本橋ふくしま館 MIDETTE(ミデッテ)」などで開催されており、小名浜での開催は去年に引き続き今回で2回目。今回は8社が出店し、それぞれの地域の特色を生かした商品を販売した。

発酵は、暮らしの文化

近年の健康志向や自然志向の高まりを背景に、「塩こうじ」をはじめとする発酵食品は注目を集めている。県産素材と人々の手仕事によって生まれる発酵食品は、単なる保存食や健康食品にとどまらず、地域の風土や人の営み、知恵を体現する文化そのものだ。

▲「撮ってください!」と参加者からのリクエストにも気さくに対応する舘さん(筆者撮影)

実際にフェアを訪れて感じたのは、“発酵”という一見地味に思えるテーマが、子どもから大人までをひきつけ、香り、手ざわり、味など五感を刺激する体験へと昇華されていたこと。福島の発酵文化は、単なる「食」を超えた、暮らしと結びついた生活文化としての魅力を持っている。

「発酵って難しそう」と思っていた私自身も、今回のフェアを通して、その奥深さと面白さ、そして何より“人の手が生み出す温もり”に心を打たれた。まさにこのフェアは、そうした文化の価値を再認識し、未来へとつなげていく第一歩となった。

昆愛

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