博物館マニアのエンジニア・丹治俊樹がピックアップ!技術者の好奇心をくすぐるスポット4選
エンジニア魂がくすぐられるスポットで、刺激と活力をチャージする。この夏の長期休暇をそんな風に有意義に過ごしてみるのはいかがだろうか。
フリーランスエンジニアをしながら博物館マニアとして知られ、テレビやラジオ、雑誌で活躍中の丹治俊樹さんに聞いた「エンジニア目線で気になる、刺激が得られるスポット」を紹介しよう。
【案内人】
博物館マニア
フリーランスエンジニア
丹治俊樹(
)
2013年に新卒でナビタイムジャパンに入社。Webアプリの開発において企画から保守運用までの業務に携わり、フロントエンドからサーバサイドまで多岐にわたる開発業務を経験。17年に独立してフリーとなりさまざまなシステムの開発に携わる。一方、自身で日本の知られていない魅力あるスポットをまとめたブログ『知の冒険』を始め、コアな博物館を中心に巡り続け、21年、23年には日本中の知られていない魅力ある博物館をまとめた書籍『世にも奇妙な博物館』『世にも至宝な博物館』(みらいパブリッシング)を商業出版する。以降は博物館マニアとしてテレビ、ラジオ、雑誌などさまざまなメディアに出る他、フリーライターとして『東洋経済オンライン』『Business Insider Japan』などのWeb媒体でライターの活動も行っている。平日はシステムエンジニア、休日はフリーライターや博物館マニアという二刀流の働き方を続けている
目次
いすゞプラザ(神奈川県藤沢市)門司電気通信レトロ館(福岡県北九州市)青函トンネル記念館(青森県津軽郡)八甲田山雪中行軍遭難資料館(青森県青森市)書籍紹介
いすゞプラザ(神奈川県藤沢市)
丹治さん:自動車メーカーのいすゞが運営する企業博物館。館内では、創業から現代までのいすゞにおける歴史がまとめられているほか、大型トラック、バスなど、たくさんの商用車が見られます。
エンジニア目線で気になったのは、“いすゞのくるまづくり”のコーナー。「デザイン→設計→試作・実験→生産→アフターセールス」という自動車を生産する上での工程が、模型や説明書きによって詳しくまとめられています。
丹治さん:エンジニアの業務でモノ作りをする上でも、「要件定義→設計→実装→テスト→リリース→保守・運用」のような流れでシステムを作成していくと思いますが、システム以外のモノ作りの流れを博物館を通して知ることができるだけでなく、エンジニアと共通する点、エンジニアではあまりない視点などを探しながら鑑賞することで、モノ作りにおいてさまざまな発見があるのではないかと思います。
施設information
【公式HP】https://www.isuzu.co.jp/plaza/
【開館時間】10:00~16:30 (受付15:30まで)
【入館料】無料
門司電気通信レトロ館(福岡県北九州市)
丹治さん:福岡県の門司港には、NTTの門司営業所だった建物を活用した「門司電気通信レトロ館」があります。館内では、明治11年の国産1号電話機から現代までに使われたさまざまな電話を鑑賞しつつ、日本における電話の歴史に触れることができます。
かつて電話をかけるには交換手の存在が必要だったほか、公衆電話には赤、青、黄、緑とさまざまなカラーがあったことなど、固定電話に馴染みのない世代にとっては大変新鮮な展示かと思います。
丹治さん:今では誰もがスマートフォンを持つ時代です。そのスマートフォンで使用するアプリやサイトを開発している中で、明治時代に開発された電話からどのような進化を経て今のスマートフォンがあるかを見つめ直すことも、エンジニアの仕事を進める上での刺激になるのではないでしょうか。
施設information
【公式HP】https://www.ntt-west.co.jp/kyushu/moji/
【開館時間】 9:00~17:00(入館は16:30まで)
【入館料】無料
青函トンネル記念館(青森県津軽郡)
丹治さん:北海道と本州の海面下には、北海道新幹線や貨物用として使われる青函トンネルが掘られています。そして、本州側の青森県龍飛崎には「青函トンネル記念館」があり、海面下140mに位置する体験坑道を歩けるだけでなく、21年にも及んだトンネル工事がどのように行われたかについて知ることが可能です。
丹治さん:地質調査のために本坑に先駆けてボーリングをする先進ボーリング、周囲から湧き出る水を止めるため、細い穴を複数掘りセメントを注入して固めてから掘り進めるなどの画期的な工法を用いてトンネルを掘り進めました。
度重なる出水事故などで34名の方が亡くなるなど幾多の困難があったこの工事。二階にあるトンネルシアターでは工事の様子を記録した映像が見られ、世紀の難工事を成し遂げた姿は、感極まるものがあります。
数々の苦難を乗り越えてトンネルを作り上げた先人たちの姿は、仕事を進める上での大きな刺激になるはず。
施設information
【公式HP】http://seikan-tunnel-museum.jp/
【開館時間】8:40~17:00
【入館料】大人400円・小人200円
八甲田山雪中行軍遭難資料館(青森県青森市)
丹治さん:本州北部に位置する八甲田連峰では、100年以上も昔である明治39年の冬の時期に、199名が亡くなった世界最大規模の雪山遭難事件が発生しました。
丹治さん:それはロシア軍との戦争に備えるために行われた、寒冷地における軍事訓練中の遭難事故だったのですが、青森市内にある八甲田山雪中行軍遭難資料館では、パネルや資料、そして映像を通して、雪中行軍が行われることになった当時の時代背景、行軍計画、さらには捜索の一部始終に関してを大変分かりやすく時系列に沿って展示されています。
この遭難事件が起こった要因は、短期間の行軍ということで危機意識が薄く、軽装で軍医からの凍傷予防の注意を怠ったことなどが多々あったと言われています。
丹治さん:仕事を進めていく上でも、軽微な対応だと軽く考えることでミスが発生することは、仕事を続けていくうえで経験したことがある方も多いかと思います。
危機意識が薄れたことで取り返しのつかない過ちが起こってしまったこの事件は、仕事をする上での一つの教訓になるのではないでしょうか。
施設information
【公式HP】https://www.moyahills.jp/koubataboen/
【開館時間】9:00~18:00(4月~10月)、9:00~16:30(11月~3月)
【入館料】一般270円、高校・大学140円、中学生以下と70歳以上は無料
※各施設の開館時間や入場料金などの詳細は施設の公式HPでご確認ください。
写真提供/丹治俊樹
書籍紹介
書籍『世にも奇妙な博物館~未知と出会う55スポット~』
著者:丹治俊樹
出版社:みらいパブリッシング
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ページをめくれば、そこはワンダーランド!!
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文/エンジニアtype編集部