「SUMMER SONIC」と連携した音楽とアートの融合によるプロジェクトが開催
2024年8月12日(月)~25 日(日)の期間、日本を文化芸術のグローバル発信拠点へと成長させるプロジェクト「MUSIC LOVES ART 2024- MICUSRAT-」が千葉県千葉市幕張新都心で開催中だ。
会期中、都市型音楽フェスティバル「サマーソニック(SUMMER SONIC)」と連動し、現代アーティストやアートプロジェクトと連携した作品が、フェス会場や会場周辺のほか幕張ベイタウンを巡回する(サマーソニック幕張会場内の展示作品については、フェスの入場券が必要)。
国際的に影響力のある音楽フェスティバルと連携することで、音楽ファンや普段アートに目を向けないような人にも作品に気軽に触れてもらい、現代を担うアーティストや作品に関心を持ってもらうことを目的としている。
会場の一つである海浜幕張駅の南口広場に到着すると、スマートフォンを使ってグラフィックを描くアーティスト、コインパーキングデリバリー(COIN PARKING DELIVERY)の作品、『五元気』が出迎えてくれる。
本作では、悲しみの色として捉えられやすい青色をポジティブな「挑戦」の色として表現。「怒り」や「喜び」「愛」「自負」を加えた5つの感情をポップな色と動きのあるシルエットで直感的な彫刻として形にし、社会の認識に挑戦する革新的なインスタレーションとして打ち出している。
テレビショッピングなどで知られるQVCジャパン本社ビルのガラス面にはアーティスト、ウィットネス(witness)による『スプレッド フラワーズ(Spread Flowers)』が色鮮やかに描かれているので、ぜひ注目してみてほしい。
花が持つ人間のような佇まいや、枯れていく姿に魅力的に感じるというウィットネス。音楽と視覚芸術の融合を体現した作品は、6種の花の絵を描いたテープをガラス面に貼り、それをランダムに剥がして制作する「ブレイクビーツ」という手法を使って作られている。これは音楽のサンプリングをする際の手法になぞらえたものであり、DJとしての音楽活動も行う彼らしい表現方法だ。
ビル周辺の階段では、彼の作品をモチーフにしたデジタルサイネージも複数鑑賞することができる。夜になるとビルは内側から光を放ち、昼とまたひと味違った作品の姿を垣間見ることができるので、時間に合わせた変化を楽しもう。
「幕張メッセ」中央広場には、コインパーキングデリバリーと「ガンダム(GUNDAM)」がタッグを組んだ作品、『遊びは悪じゃない』が設置されている。ガンダムの歴史に思いを乗せた同作は、ガンダムのプラモデル「ガンプラ」を素材に遊びの価値と可能性を表現した彫刻作品だ。
ニッパーなどの工具を巨大化し、周辺に設置することで、大人が子どもの視点で体験できるよう設計しているという。遊びの象徴であるガンプラから飛び出してきたオリジナルキャラクター、「白井さん」を展示することで、人生における遊びを肯定することを提示した。
『遊びは悪じゃない』のすぐ右奥には、ハマダラカ(HAMADARAKA)によるインスタレーションが展示されている。時空を超越した楽園を視覚化したという作品『アコーダンス(ACCORDANCE)』の中には、世にも美しい鳴き声を持つ瑞獣「麒麟」が描かれ、鑑賞者は過去と未来、さらには夢が混じり合う楽園への階段を上ることができる。
そして、「サマーソニック」会場内の「幕張メッセ」展示ホール9・10で待ち受けているのが、ユニットDUVによる革新的なインスタレーションだ。中央に設置されたアートトラックは、エイチ ナイトウ(H-NAITO)によって50年もの間進化を遂げ続けている「シルバーサターン」である。
両サイドには、「雰囲気の向こう側」をイメージしたという美術家のミナミリョウヘイによる絵画などが施され、周辺をリユースした椅子やパイプを組み上げた立体が取り巻いている。
作品はA面とB面に分かれており、裏側に回ると表面とは異なる表情が楽しめる。トラックの荷台の中にチカチカと光る電飾を施すことで「瞑想(めいそう)空間」と「迷走する空間」を同時に表現しているそうだ。従来の芸術の枠を超え、観る者の感覚と想像力に訴えかける、カオスな表現を実際に体感しよう。
会期中は、地図機能のあるスタンプラリーアプリケーションを利用することで、会場区域を巡りながら参加できる「スタンプ マップ アート(STAMP MAP ART)」も実施中だ。展示作品を巡って集めたスタンプに応じ、オリジナル記念品が当たる企画となっているので、詳細は公式ウェブサイトをチェックしてみてほしい。