静岡学園の技巧派レフティー北田優心(ガンバ大阪ジュニアユース出身)が静岡に来るきっかけになったのは…
サッカー静岡県高校新人大会決勝
<静岡学園 3−2 磐田東 1月26日・藤枝市民グラウンド>
連覇を達成した静岡学園の中で攻撃にアクセントを加えていたのが、MF北田優心(ガンバ大阪ジュニアユース出身)。レフティー独特のリズムを刻み、敵の意表を突くパスやドリブルで観衆の目を引く選手だ。
決勝で持ち味を披露したのはトップ下からボランチに移動した前半途中から。ボールに触る回数が増えると、左足の柔らかいタッチと精度の高いキックで見せ場をつくり始めた。
ハイライトは後半19分だった。右サイドから仕掛け、足の裏を使ったドリブルで長い距離を前進。いったん味方にボールを預けた後、最終ラインの裏に抜け出してスルーパスを呼び込み、決定的なシュートを放った。
最後の仕上げが右足になってしまったためわずかにコントロールが狂い、結果的にはGKの好セーブに。しかし、“学園らしさ”をのぞかせたシーンだった。
練習会で高橋隆大(ギラヴァンツ北九州)に掛けられた言葉
大阪生まれの北田は地元のエグゼ90FCからガンバ大阪ジュニアユースを経て、静岡学園に入った。進路に悩んでいた中学3年時、G大阪ユースに進む選択肢もあったが、周りのレベルの高さに自信が揺らいでいたという。
高体連でレベルアップを図ろうと静岡学園の練習会に参加した時に声を掛けてくれたのが、同じG大阪ジュニアユース出身で当時高校3年生だった高橋隆大(現ギラヴァンツ北九州)だった。
「『静岡学園に来ればいい。絶対に成長できる』と言ってくれて…。その言葉を信じて来ました。来てみたら、楽しかった(笑)」
「静学で成長したぞ」と言えるように
北田は新人戦でトップ下、ボランチ、サイドハーフの3つのポジションでプレーした。これから“本職”にしていきたいポジションはどこなのか。
「ボランチはボールに触ってリズムを作れるから楽しい」と言うが、将来を見据えた上で個人的に重視しているのは得点力のアップ。ゴールに近いトップ下で勝負したい気持ちもあるという。
決勝直後に行われた表彰式の後、県内三大タイトルの一つを取って喜びにわくイレブンの横で、北田は自身のプレーに納得していない表情を見せた。
「今大会はゲームメイクはできるなという感覚はあったけれど、結果(ゴールとアシスト)を残せなかったので全然満足していない。今はシュート練習に力を入れているので、いつか見せることができたらいいなと思う」
ガンバ大阪ユースがプレミア昇格
4月に開幕するプレミアリーグは今季、ガンバ大阪ユースが昇格してくる。中学時代に一緒にプレーしていた仲間たちと対戦する可能性が高い。
「そこで活躍して『静岡学園で成長したぞ』と言えるようにしたい。プレミアはプロのスカウトも注目していると思う。やっぱり僕のポジションは結果が物を言うポジションなので、数字にこだわっていきたい」
静岡に来たことが間違いではなかったと胸を張って言えるように。技巧派レフティーの勝負の1年が始まった。