SNSの分断から離れ、日常の足元からつながっていこう
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、8月20日の放送にライターでコラムニストのブレイディみかこが出演。6月に発売したエッセイ集『SISTER“FOOT”EMPATHY(シスター“フット”エンパシー)』について語った。
大竹まこと「今回の御本は『SISTER“FOOT”EMPATHY(シスター“フット”エンパシー)』。帯には“もっと自由になるためのシスターフッド論”と書かれています。シスターフッド論というのが耳慣れないんですけど、どういう意味で使われているんですか?」
ブレイディみかこ「シスターフッドという言葉を皆さん、耳にされたことあると思います。私は、他者の靴を履く、地べたなど、足元に関係あることをよく書いているんですね。編集者の方がシスターフッドのフッドをフット(足元)という意味に変えて。そこに、これについても私がよく書かせていただいている、エンパシーをくっつけて。そういうタイトルで書いたらどうかと、とご提案いただいたんですよ」
大竹「はい」
ブレイディ「そのとき、シスターフットっていい言葉だなと思って。シスターフッドって女性たちのつながり、という本来の意味がありますけど、政治的にはフェミニズムが割と60、70年代の女性解放運動でスローガンに掲げてきた言葉でもありますよね。シスターフッドって女性たちの連帯やつながりというのがありますけど、いまだとSNS上でけっこう、フェミニズムも分断している部分があると思うんですよ」
大竹「そうですねえ」
ブレイディ「そういう分断を超えて足元からもう1回つながっていこうよ、という意味で、シスターフットって。まあダジャレですけど、新しいスローガンになるかな、と思って」
大竹「元来のシスターフッドの意味も2つぐらいあると、御本でお書きになっています」
ブレイディ「AI辞書を引くと1個目は、女性同士のつながり、姉妹のような関係、という昔からの意味が出てきます。2個目は、共通の目的のために戦う女性たちの連帯、と。もう少し政治的なフェミニズム系の意味になる。どうもやはりSNSなどの女性同士の議論を見ていると、共通の目的のために戦うシスターフッドのはずなのに、小さな島宇宙のシスターフッドがいろいろできて、分断してしまっている感じがすごくある」
大竹「はい」
ブレイディ「でもこれは大きなうねりになって現実を変えていこう、とはなりにくいですよね。そのとき思い出さないといけないのは女性同士のつながり。女性同士ならちょっとしたことでわかりあえる部分があるよね、と。女性のイシューというか、そういうことで足元からつながっていけたらいいな、と思います」
大竹「日本でも女性同士の分断みたいなことは感じますか?」
ブレイディ「そうですね。ちょっとした言葉遣い、こういう言い方は良くないんじゃないかとか。女性同士がそうしていると脇から見ている男性がおもしろがって、SNSで囃し立てることもあるじゃないですか。ああいうのも良くないでしょうし。SNSから1回離れて、日常の足元の場でつながっていけば、割と簡単なことってあると思うんですけどね」
大竹「SNSが戦う場みたいになっています」
ブレイディ「人とつながる場所だったはずなんですけどね」