猫は『飼い主さんの不調がわかる』は本当?そう言われる3つの説
猫が人間の不調がわかる3つの説
猫が飼い主の体調や精神状態の変化がわかるといわれるには、それなりの根拠が考えられます。それは、猫の優れた能力にあるようです。
1.飼い主の動きの変化を感じ取る
いつも寝ているような猫でも、実は一緒に暮らす家族の日常の動きをよく観察しています。それは、猫が自分のなわばり内(飼い猫の場合は、家庭内)の変化を好まないという習性にあるためです。
飼い主が体調を崩したり、とても疲れたりしているときには、心なしか動きが少なくなり、遅くなるものです。特に日中お留守番の多い家庭では、昼間に飼い主がゆっくりと休んでいることは非日常なできごとです。
猫にとって飼い主は生活環境の一部なため、家族の様子がいつもと違うと感じ取った猫は、潜在的に不安を感じることから、飼い主の異変に気づけるのかも知れません。
2.呼びかける声のトーンで異常に気づく
薄明薄暮性で薄暗い中を活動する猫にとって、聴覚は視力よりも重要です。そのため、猫は繊細な音を聞き逃さないという優れた能力を持っています。
飼い主が体調を崩しているときには、愛猫に話しかける声の強さやトーンに違いがあらわれます。風邪を引くと喉が炎症を起こすこともありますし、体調不良時には自律神経の関係でエネルギーを抑制しようという働きが発声にも影響することがあるためです。
猫は飼い主のいつもと違う声を聞けば、異変にすぐに気がつくのです。不調だけでなく、機嫌がいい、悪いも、バレている可能性大です。
3.身体から発するニオイで察知する
聴力と同じように、猫は非常に優れた嗅覚を持っています。特にニオイの分析能力は、人間の数万〜数十万倍にもおよぶとされています。
人の体は、病気、ストレスやホルモンの変化などで体臭が変化するといわれています。たとえば、糖尿病になると、呼気や汗から甘酸っぱいニオイ(アセトン臭)がし、肝臓に問題があればアンモニア臭がすることがあります。また、がんからは特有のニオイが発生しはじめるため、動物は人よりも早期に察知できるのです。
実は、海外では飼い主の病気を猫が本人よりも早く察知し、命が助かった例がいくつも報告されています。
ある日、糖尿病の持病がある飼い主が寝ていると、猫が噛みついて無理やり起こしました。ふだんはそんなことをしない猫に驚いて飼い主がなんとか起きあがると、ひどいめまいがします。調べてみると、昏睡寸前の低血糖になっていたというのです。
このような例は各地で報告されており、もし猫が察知して起こしてくれなければ、そのまま危険な状態になっていたことでしょう。
飼い主の不調を察知した猫が取る行動
実際に、飼い主の体調が悪かったときに、一緒にいてくれた愛猫たちの話を見ているといくつか共通点があることに気づきます。
飼い主の不調を察した猫が取る行動を見てみましょう。
✔ピッタリ寄り添って離れない
✔じっと見つめて様子をうかがってくる
✔執拗に頭を擦りつけて甘えてくる
✔いつもと違う声で鳴く
✔飼い主の体に乗って温めようとする
体調不良のときに限っていつも以上に甘えられたり、横になっているところに身体の上に乗ってきたりして、苦しかったという飼い主さんもいるかもしれませんね。
群れで暮らす動物は具合の悪い個体を避けようとしますが、本来なら単独で生活する猫にとっては、深い交流のある個体(飼い主さん含む)の異常は、よく観察して現状を把握するべき状況です。
これは、私たちが様子のおかしい仲間などに対して「どうしたの?」「大丈夫?」「具合悪い?」と心配するのと同じ感覚なのでしょう。小さな体で気遣いを見せる猫たちには、思わず感謝と愛情が深まりますね。
まとめ
猫が飼い主の不調がわかるというのは本当で、それは猫ならではの優れた才能によるもののようです。人の身体に異変がある場合、猫は視覚・聴覚・嗅覚を使い「いつもと違う」という異常を感じられるのです。
なによりも興味深いのは、猫が飼い主の不調を感じ取ると、寄り添ったり、一緒に寝たりして行動を共にしようとすることです。猫が信頼している飼い主の異常を、しっかりと観察が必要だと認識しているためと考えられます。
人間の「心配」に似た感覚を、猫なりの方法で表現しているのかもしれませんね。