【多摩市】市内小学生 「緑の効果」学ぶ 国交省と大学が連携授業
ESD(持続可能な開発のための教育)を行っている多摩市内の小学生の意識をより高めようと、国土交通省が推進するグリーンインフラに関する授業がこのほど、諏訪小学校と豊ヶ丘小学校で行われた。同省の職員と大学の名誉教授らが登壇し、気候変動が続く地球にとって緑がもたらす効果などについて話をすると児童らは真剣な表情で耳を傾けていた。
諏訪小学校6年生を対象に10月2日に行われた総合の学習の時間では、同省総合政策局環境政策課の松本彩さんと、緑があることで気温にどのような影響があるか、市内や都心などで気温上昇の研究を行っている日本工業大学の成田健一名誉教授が登壇した。
同省では、人間の社会・経済活動は自然環境を基盤として成り立っており、人間と自然の共生が重要だと世界的に提唱されている「グリーンインフラ」について、約10年前から広める活動を行ってきた。2019年には「グリーンインフラ推進戦略」を公表した。
今回、緑が豊かなまちづくりをすることで多様な効果を生み出すことを児童らに伝えた松本さんは「言葉では推進しているが、効果があるということが浸透していない気がしていた。次代を担う子どもたちに伝えたかった」と話し、全国で初めて小学生を対象とした授業を行った。
また、成田名誉教授は長年研究を続けてきた緑の量が気温に与える影響を市内、都心、世界の例を挙げて児童らに教えていた。
保護者や地域とともに学校農園での栽培から販売(すわっ子市場)までの学習、多摩ニュータウンの緑道の遊歩道を使ったESD学習に取り組んでいた諏訪小の児童らは、環境が地域に与える社会影響や経済効果について話し合い、発表していった。
話を聞いた児童は「グリーンインフラが何か分かってきた」「興味がわいてきた」などと話した。また同校の齋藤幸之介校長は「子どもたちも理解しやすかったと思う。すわっ子市場からさらに上を行くヒントになったのでは」と振り返った。
翌日には学校林の保全・活用する学習を行っている豊ヶ丘小学校でも授業が行われた。両校の児童は来年1月に開かれるグリーンインフラ産業展でプレゼンをする予定になっている。