猫を飼ってみたい人と保護猫をつなぐ「譲渡型保護猫Cafe あおねこ」。
田上町にオープンした「譲渡型保護猫Cafe あおねこ」は、猫ちゃんたちと癒しの時間を過ごせるだけではなく、猫ちゃんを探している人と保護猫をつなぐ場でもあります。今回はオーナーの五十嵐さんを訪ね、猫ちゃんたちを眺めつつお話を聞いてきました。
譲渡型保護猫Cafe あおねこ
五十嵐 葵 Aoi Ikarashi
1984年新潟市西蒲区生まれ。「国際ペットワールド専門学校」卒業。5年前に保護猫を飼いはじめたことがきっかけで保護猫活動に興味を持ち、「新潟市動物ふれあいセンター」を経て2023年より「譲渡型保護猫Cafe あおねこ」をオープン。役者としての一面も持つ。
保護猫を飼ったことがきっかけで、保護猫カフェをはじめる。
——かわいい猫ちゃんがたくさんいますね。みんな保護猫なんですか?
五十嵐さん:そうなんですよ。みんな保健所から引き取ってきた子たちです。
——五十嵐さんは以前から猫が好きだったんですか?
五十嵐さん:以前はワンちゃん派だったんです。トリマーになりたくて新潟市の「国際ペットワールド専門学校」を卒業したんですが、不器用だったこともあってその後は一般企業で働いてきました。
——ワンちゃん派だった五十嵐さんが、どうして猫ちゃん派に?
五十嵐さん:5年前に家で保護猫を飼いはじめたことがきっかけです。それまでは猫ちゃんが懐いてくれるというイメージがなかったんです。でも実際に飼ってみると、べったり甘えてくるのが可愛いくてすっかりハマってしまいました。
——ギャップ萌えに近い感じなんでしょうか。
五十嵐さん:そうかもしれないです。あと生活ペースが自分に合うと感じました。ワンちゃんはずっと甘えてくるので構ってあげないと可哀想ですけど、猫ちゃんは同じ空間にいればお互いのペースで生活できることが魅力ですね。
——なるほど。では「譲渡型保護猫cafe あおねこ」をはじめたいきさつを教えてください。
五十嵐さん:保護猫を飼いはじめたことで、自分でも保護猫に関わる仕事がしたいと思うようになりました。そこで祖父母が営んでいた電気店の空き物件を利用して、保護猫カフェをはじめることにしたんです。
——こういうお店って、すぐにはじめられるものなんですか?
五十嵐さん:動物の飼育に関わる実務経験が必要だったので「いくとぴあ食花」のなかにある「新潟市動物ふれあいセンター」で働かせていただきました。ワンちゃんや猫ちゃんだけじゃなくいろいろな動物たちがいるので、それぞれの種類に合わせたお世話をするのが大変でしたけど、なかなか触れ合う機会のない動物のお世話ができたのは勉強になりました。ここでの経験がお店のオープンにつながっているので、本当に感謝しています。
猫が卒業するたびに泣いていた、オープン当初。
——保護猫カフェを運営する上で、心掛けていることを教えてください。
五十嵐さん:猫ちゃんたちがストレスを感じることなく、快適に生活できるよう心掛けています。「ねこルーム」は12畳しかない狭いスペースなので、壁にキャットウォークを作って上下にも移動できるようにしました。あと疲れたら休憩できるように、隠れるスペースを設けています。
——ストレスは体調不良にもつながりますからね。体調管理も大変なんじゃないですか?
五十嵐さん:そうですね。特に何匹も飼っていると個々の体調変化に気付きにくくなってしまうので、できるだけ8匹前後に収めるよう気をつけています。元気がなかったり食欲がなかったりするのは糞便の状態をチェックすることも大切なんですけど、ただ多頭飼いだとそれも誰のものなのかわからないことも多いんです。
——たくさん飼育していると難しいことも多いんですね。他にも難しいと感じることはありますか?
五十嵐さん:人慣れしていない猫ちゃんを人に慣れさせることですね。なかには慣れるまで2ヵ月かかる子もいます。「人慣れ練習中」の猫ちゃんと触れ合うときには、ちょっと気をつけていただけると助かりますね。触れ合うときの参考にしていただけるよう、猫ちゃんそれぞれの個性がわかるプロフィール帳を作ってあるんです。
——おおっ、これはわかりやすいですね。猫ちゃんたちへの愛情も感じられます。そんな猫ちゃんたちの里親になるためには、どんな手続きをするんでしょうか?
五十嵐さん:まず必要事項を記入した書類を審査した上で、飼うお部屋をリモートで確認させていただきます。その際に気になるところを指摘して改善していただき、それから2週間一緒に生活してトライアルをしていただくことになるんです。当店にて猫ちゃんのお迎えをご検討されている方には譲渡の流れをご説明しますので、店頭にてお気軽にお声がけください。
——みんな問題なくトライアルを終えるんでしょうか?
五十嵐さん:ほとんどは問題ないんですけど、なかには上手くいかないケースもあります。先住の猫ちゃんが新入りの猫ちゃんを怖がってしまい、お部屋に入ってこれなくなってしまったことがあったんです。でも期間中でなんとか仲良くなることができ、無事譲渡できたので安心しました。ペットショップ出身の子のなかには、猫との生活に慣れていない猫ちゃんもいるんです。
——無事トライアルを終えて里親が見つかったら、引き取られていっちゃうんですよね。五十嵐さんは寂しいんじゃないですか?
五十嵐さん:今まで卒業した猫ちゃんは21匹なんですけど、最初の頃は卒業のたびに泣いていましたね(笑)。特にスタメンはオープン前からずっと一緒にいたので、寂しさも大きかったんです。
——今は慣れました?
五十嵐さん:それもありますけど、里親さんがインスタグラムで引き取った猫ちゃんの写真や動画を投稿してくれるので、幸せそうに暮らす姿を見て安心することができるんです。今では寂しいいうよりも「幸せになってくれてよかった」と思うようになりましたね。
人も猫も寿命が延びているなかで考えてほしいこと。
——これから猫を飼う人に気をつけてほしいことはありますか?
五十嵐さん:猫ちゃんの脱走にはいちばん気をつけてほしいですね。昔は家を出入りするのが当たり前だったかもしれませんが、今は完全室内飼育の時代になっています。猫ちゃんが外に出ることで事故にあったり、何か食べたことで寄生虫や病原菌をもらったりするリスクもありますから。完全室内飼育の方が長生きできるんです。
——猫ちゃんたちの寿命も、昔と比べたら伸びているんでしょうね。
五十嵐さん:そうですね。ただ人間の高齢化もどんどん進んでいるんですよ。当店は里親さんの条件を「原則60歳以下」と決めているんですけど、このままでは譲渡できる里親さんが減っていっちゃうので、いずれは譲渡の仕組みを見直さなければならないと考えていますが、現時点ではまだ構想中です。
——こんなところにまで高齢化の影響がきているんですね。
五十嵐さん:保護猫のなかには、元の飼い主が亡くなったり入院したりしたことが原因で引き取られているんです。これから猫ちゃんを飼おう思っている方は20年先のことを想像して、きちんと最後まで面倒が見られるか考えてから検討してほしいですね。
——確かにその通りですね。では最後にひと言お願いします。
五十嵐さん:保護猫の里親さんになりたい方はもちろん、触れ合って癒されたい方も、猫ちゃん好きならどなたでも大歓迎です。ぜひ猫ちゃんたちに会いに来てください。
譲渡型保護猫Cafe あおねこ
南蒲原郡田上町川船河甲711-3
0256-46-0436
10:00-18:00
不定休