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発達障害小学生の夏休みのポイントは「見える化」!?放デイとファミサポもフル活用、わが家の乗り切り方【読者体験談】

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発達障害小学生の夏休みのポイントは「見える化」!?放デイとファミサポもフル活用、わが家の乗り切り方【読者体験談】

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

「暇ー!暇ー!」が口癖の息子との日常。わが家流の夏休みを親子で乗り切るコツを紹介

「見える化」で予測できる1日を作る!
外部サービスを上手に活用し、親の休息時間を確保する!
イベント参加や交流で夏休みならではの体験を満喫する!

現在9歳になる息子は、3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。常に好奇心旺盛で、少しでも時間があると「暇ー、暇ー」が口癖。「楽しまなきゃ損!」というタイプです。

ですが、体の不器用さや独特な会話の仕方をする面があり、同世代の子どもたちとの遊びはなかなかうまくいきません。衝動性や不注意もあるため、時間や持ち物の管理、そして安全面では常に私がフォローしています。

そんな息子との長期休みは、親子で一緒に楽しめることを見つけるのが大きな課題でした。わが家が試行錯誤しながら見つけた、夏休みの過ごし方についてご紹介したいと思います。

これが中々苦労をしたのですが、夏休み期間中は毎朝息子と話し合って、「お家時間割」を決めることで長期休みの悩みが解決しました!

「お家時間割」は学校のように大体1時間ごとに区切り、「体操→宿題→工作→昼食と昼休み→宿題→運動→自由時間→習い事」といった流れが多め。息子にとって、先の見通しを持つことはとても重要です。この時間割があることで、1日の流れを把握できるのは大きなメリットでした。

私の家事は、息子の自由時間に済ませていましたが、夫が休みの時くらいしか自分の時間が取れないのが現状です。しかし、それでは自分の用事をこなすのも難しいので、放課後等デイサービス(放デイ)とファミリーサポート(ファミサポ)の利用をしていました。

放デイとファミサポは、まさに私にとっての救いの手でした。自分の時間を確保できるだけでなく、息子にとっても充実した時間を過ごさせてもらうことができました。

放デイでは、買い物や公園、水遊び、科学館、工場見学といった外出活動のほか、簡単な調理や工作など、バラエティ豊かなワークショップが用意されています。好奇心旺盛な息子は外出活動をいつも全力で楽しんでいます。工場見学など、普段行けないような場所などにも連れていってくれたり、買い物体験などもいつもは親と一緒だったりするので、放デイのお友だちと一緒に新鮮な気持ちで取り組めているようです。しかし、楽しんでいるのはいいのですが帰宅後も興奮さめやらぬことも……。家でもテンションの高いままはしゃいでしまうこともよくあり、その点は少し心配です。今後は自分の力でクールダウンできるようになってほしいと願っています。

ちなみに、放デイには「クールダウンルーム」があり、各自が静かに過ごせる時間が設けられています。基本的には自主性を尊重してくれますが、息子があまりにも興奮している時は、落ち着かせるような声かけをしてくれるので安心です。
また、同世代の子どもたちとの外出を通して、自分で持ち物を管理したり、人を待つこと、ルールやマナーを守ることなどを意識するようになってきました。体力もついてきて、本当に助かっています。

ファミサポでは、主に自宅で息子が好きな遊び(工作やボードゲームなど)に付き合ってもらっており、リビングは息子の好きなもので溢れています。自分なりのマイルールを作るのが好きなので、ボードゲームなどでも息子なりの設定を追加したり、作った工作を使ったごっこ遊びなどを考え、それをファミサポの方に付き合ってもらえることで、息子は終始ご機嫌です。自分の思い通りにならないと癇癪を起こすことも多いので、このように寄り添ったサポートはとてもありがたかったです。

地域のお祭りや花火大会などのイベント、イベントではないですが通院など、夏休み中は毎日何かしら親子で活動することが多かったです。
ほかにも、友だち親子と夜ごはんまで一緒に過ごしたり、遠方に引っ越した友だちが遊びに来てくれたりと、私自身も夏休みならではの醍醐味を満喫できました。
年々、花火の正しい扱い方ができるようになり、他人の家で冷蔵庫を勝手に開けない、夜は大声を出さない、夜道で迷子にならないようにする、といったルールやマナーを守ろうとする気持ちが芽生え、挨拶などもできるようになってきています。こうした息子の成長を日々感じています。

親としても

毎日の送迎がなく、寝坊ができる
放デイやファミサポで息子と離れる時間ができる
さまざまな夏のイベントでリフレッシュできた
と、ストレスも少なく、心穏やかに過ごすことができました。
息子も「お祭りやラジオ体操、すごく楽しかった!」と、充実した夏休みを過ごせたようです。

親子ともに成長を感じた夏休み

放デイに行く日やファミサポさんが来てくれる日は、息子は「やったー!」と大喜び。目をキラキラさせ、前日からワクワクしています。親以外にも信頼できる大人がいることや、違う遊び方、新しい遊びを教えてもらえることが嬉しいようです。

息子は、この経験を通して語彙力がさらに増し、言葉で表現できるようになってきました。それが、癇癪が減ったことにもつながっていると感じています。私も安心して預けることができ、その間に自分の用事を済ませたり、身体を休めたりと、つかの間のレスパイト(一時的な休息)にもつながりました。

長期休みは親にとって大変な時期でもありますが、放デイやファミサポといったサポートを上手に活用することで、息子も私も充実した夏休みを過ごすことができました。そして何より、息子の確かな成長を感じられる貴重な時間だったと心から思います。
この体験談が、長期休みの過ごし方に悩むどなたかの参考になれば幸いです。

イラスト/taeko
エピソード参考/七転八起

(監修:鈴木先生より)
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは自由が苦手です。夏休みも自由に過ごすよりは「お家時間割」で何をやるかを具体的に視覚化するのがいいと思います。絵や写真も入れるとさらに効果的です。学校では授業中はみんなと同じ教科書を開いて一緒にいられる安心感があるのに対して、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんにとって休み時間はグループの輪に入れず何をしていいかわからず孤立しがちです。休み時間難民とも言われています。

また、外部サービスに関してはファミサポと重なるかもしれませんが、訪問看護という手もあります。これは、かかりつけの主治医にお願いして指示書を書いてもらえれば可能です。訪問看護というと老人看護のイメージがありますが、小児と精神に特化したステーションも最近は増えてきています。週1~3回、1回30~90分程度、専門の看護師が見てくれるので何かあった場合でも安心です。訪問看護の内容がその都度主治医へ報告されるので医療との連携もスムーズです。お母さまの自由な時間をさらに増やしてリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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