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思春期、反抗期、進路選択…発達障害娘の親として、ライターとして奮闘した日々を振り返って【もうすぐ開設10周年】

LITALICO発達ナビ

思春期、反抗期、進路選択…発達障害娘の親として、ライターとして奮闘した日々を振り返って【もうすぐ開設10周年】

担当者さんとの「振り返り」の時間

発達ナビ編集部の担当者さんとは定期的にWeb会議をし、記事の振り返りや次のコラムのテーマについて話し合いをしています。

面談時には担当さんが、対象となる期間に出した私のコラムの反響や、読者さんの知りたい情報をふまえた資料をつくってくれるのですが、老眼eyeの私は話を聞いてただ頷いていることが多いです(担当さん、ごめんなさい!)。

季節ごとのコラムテーマ案や特集企画などのお誘いもありますが、執筆速度が遅い私はその波に乗り遅れることもしばしばです(これも申し訳ない)。

そんな私が今までライターを辞めることなく続けてこられたのは、ひとえに編集さんの寛容さのおかげだと思っています。

編集さんたちと二人三脚で

10年の間に私は『あるあるカルタ』、『思春期』シリーズ、『進路選択』シリーズ、『カラフルレンジャー』など、さまざまなスタイルのコラムを書いてきました。

その中でも特に印象に残っているコラム、そして編集さんとのエピソードは……。

発達ナビでライターを始めた当初、私は「発達障害によくあるエピソード」に「お役立ち情報」をプラスして『あるあるカルタ』という気軽に読める形式のコラムを書いていました。

その中でも一番思い出深い記事は、娘が小さかった頃に興味を持った絵本についてのエピソードを書いたときのものです。

年齢別に数回に分けて書いたのですが、娘が大好きだったノンタンの絵本を紹介した回で、当時の担当者さんが、「ノンタン」シリーズの出版社である偕成社さんの承諾のもとノンタンと娘のサムネイル画像作成を提案してくださったのです。

娘が大好きだったノンタンの絵本。もちろん私も大好きです。私たち親子のバイブルともいえるノンタンのイラストを描かせてもらえたことは私にとって夢のような出来事でした。

この担当者さんはサイト創設時からのメンバーで、繊細で優しくかわいらしい方でした。抜群のセンスを持っていてコラム内の画像選択でもよく助けていただきました。

Webサイトオープンから数年が経ち、読者さんのお子さんの年齢層が高くなり始めたころ、編集担当者さんから「思春期のお子さんを持つ保護者さんに向けたコラムを書いてほしい」との依頼がありました。

娘の思春期・反抗期は中学~高校の間と長く続いたので、一話では書ききれず、私は初めて数話にわたる記事を書くことになりました。

当時の記憶が曖昧だったこともあり、私は過去の日記やメールの記録(これがけっこう膨大)などを読み返してコラムの下書きを作成ました。

内容もそこそこヘビーだったので、当時のことを思いだしながら書く作業は、当初考えていたよりも精神的にきつい部分がありました。

サムネイルのイラストも『あるあるカルタ』とは違ったテイストにチャレンジしました。

下書きの段階から文章・イラストともに、何度も編集部の修正が入り、このとき私は初めて徹夜をして記事を仕上げました。

とても大変だったので、記事を書き終えた時には、二度と長い話は書きたくないと思ったほどでした。

さらに数年が経ったころ『進路選択』についてのコラム作成の依頼がありました。

これまた長編コラムになりそうな予感……。

当時の担当者Mさんは聞き上手な方で、Web会議の振り返りシートもとてもスマートに作成される方でした。

私は締め切りギリギリまで執筆をさぼりがちだった時期があったのですが、Mさんは時候の挨拶を兼ねた進捗状況確認の連絡を“絶妙なタイミングで”くれるので、彼女が担当になってからは締め切り間際に焦って書くことが減り、スムーズに作業を進めることができていました。

案の定『進路選択』のコラムは前回の思春期のコラムよりもさらに長編となりました。
あまりの長さに私は途中で物語の着地点が分からなくなってしまいMさんに相談をしました。
彼女は“指示”でも“答え”でもなく“ヒント”を投げかけてくれました。

おかげでコラムは無事完成させることができ、その記事はのちにまとめ記事としてインスタグラムにも再掲されました。

“聞き上手で、スケジュール管理ができ、ライターの力を十二分に引き出すことができる”

Mさんは編集者として天性の才能を持っていました。

彼女は今の発達ナビの編集長さんです。

娘が社会人になると、環境の変化に伴って娘のメンタルは不安定になりました。
当時の彼女は大人と子どもの間を行ったり来たりしていて、高校生の反抗期とはまた違った難しさがありました。

娘から病院の付き添いにはもう来なくても良いと言われたのもこのころです。
私は娘にどう接するのが良いか悩みました。

そんな時、生まれたのが『カラフルレンジャー』です。
軽い気持ちで描いたキャラクターが娘にハマり、彼女は意気揚々と最新のデジタル画の技法や流行りの絵柄などを私に教えてくれました。

面と向かうと喧嘩腰になりがちですが、横に並んで同じ方向を向くことで私たちの衝突は減りました。

カラフルレンジャーについて語っている間は親子のギスギスした雰囲気が和らぐので、私はカラフルレンジャーを潤滑油として使い、娘に伝えたいことを書くことにしました。

異色の連載企画を通してくださった編集部には心から感謝です。

『中の人』も同志!

発達ナビでライターをしている10年間で私は10人ほどの編集担当者さんのお世話になりました。
レスポンスが超早な方、子育て奮闘中の方、細やかな方、おおらかな方、パワフルな方……みなさんそれぞれ個性がありました。

経歴もさまざまでLITALICOの社員さん、別の会社で編集の仕事をしていた方、企業のマーケティングをしていた方などなど。

そしてすべての方に共通するのは、発達ナビサイトをより良いサイトにするためにアクションを起こしているということでした。

中の人も日々試行錯誤をしつつ、ユーザーと同じく、障害のある子どもと保護者を取り巻くの環境を良くしていきたいと考えている同志なのだと私は感じています。

◆中高生の保護者の方へ

私も大いに悩み、コラムでも反響の大きかった進路選択についてですが、最近では支援級在籍であっても
私立高校特別支援学校高等部高等特別支援学校通信制高校ネットの高校チャレンジスクールやクリエイティブスクール定時制高校高等専修学校など選択の幅が広がっています。

公立高校では通級指導の導入も始まっていますし、2025年4月にはLITALILO高等学院も開校しました。
福祉型カレッジの認知も広まってきています。

わが子が社会人になった今思うことは、どの選択をしたにせよ、それがゴールではないということです。
巡り巡って就労支援などの福祉の場に辿り着く場合もありますし、本人が学びなおしを希望する場合もあります。
本人が選んだ道が、保護者から見ると後退しているように感じることもあるかもしれません。でもそれは失敗ではなく本人の経験の積み重ねになります。

通常学級・特別支援学級・特別支援学校・高校・大学……どの進路を選んだとしても、学生時代はやはり無理に頑張ることやつらいことは避け、なるだけ本人の笑顔が多いような日々を過ごした方が良いのではないかと私は考えています。

そして育児放棄や、子どもを好き勝手にさせるわけではありませんが、高校生以降は、保護者は子どもを導く役目から、見守る姿勢へとポジションチェンジしていくことが大切なのではないかと感じています。

それまで一生懸命子どもを守り、支えてきた保護者からしたら、物足りなく不安でもどかしくもあるでしょうが、それが障害を持つ子どもからの子離れの第一歩なのではないかと思っています。

執筆/荒木まち子

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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